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異世界でスター扱いを受ける歌姫達
しおりを挟むシャルルもだけど、西田佳代にとっては今まで、こんな大スター扱い、
しかもモロ異世界外国での大スター級の扱いに戸惑いながらも嬉しさが後から後から込上げる、
と言ったニヤニヤ顔で、
「この異世界での、私に対する扱い方がホント、半端無いです。
まるで私、何処かの外国の国のプリンセスにでもなった気分だし、それプラス、
世界的なアーティスト、歌姫になった気分ですよ。
これを味わっちゃうと、ホント、スターやアイドルは止められなくなりますね。
ホント、武藤さんには感謝感激、雨(あめ)霰(あられ)です」
そう言っている西田佳代の表情は、
以前の池袋のショーパブでキャバ嬢アルバイトをしながら、代々木上原の劇団の研究生として、
女優を夢見る女優の卵としてあくせくしていた不安と焦りが入り混じった時代の顔付からガラッと変わったと言うか、
ハッキリ言ってオーラが違う、以前は美女ではあったけど、
それは所詮(しょせん)キャバクラ嬢の格好とメイクをしての、その場の夜の世界の綺麗さだから、
本当では無い偽りの世界の事だから、なんか彼女自身には引け目を感じていて、
その根本的な気持ちが自信の無さとして、オーラ自体を消していたんだけど、
ここ異世界でシャルルと一緒に数々のステージに立ち、
大勢のお客達の前で歌うと言うパフォーマンスをこなした結果や実績経験を積んできたから、
ある意味、本物の自信が付いて、その舞台出演の場数と、
異世界の人々に受け入れられていると言うアウェーからホームにしたと言うことも自分の力になり、
強力なオーラを知らず知らずに発し始めている感じがした。
確かに、僕も西田佳代に大スターとして有名アーティストとして接している瞬間が多々あったのは事実だ。
「私ね、最近、東京の渋谷や新宿で買物しながら歩いていると、
スカウトされることが以前より多くなって来て、
しかも今まではキャバクラや風俗のスカウトが多かったんだけど、
今は名の通った芸能事務所からのスカウトがメインになったわ」
昼食が終わって、また宮殿の芸術劇場にリニューアル中舞台上でマイクの音量テスト中に、
そんな雑談のやりとりをした。
「そうなの?
私のグラムデル城内では、今まで普通に接してきた偉い王族の方達や、衛生班の女性達も特別扱いと言うか、大物歌手みたいな扱いで、ちょっとチヤホヤされ過ぎで困ってます」
シャルルも今の異世界での現状を話し、苦笑して見せた。
「だったら、今度は、裏方として、今後、
新たに出て来る第2、第3のシャルルや西田を目指す若手たちの支援組に回るのはどう?」
僕が意地悪にそう言うと
「結構です~、私たちはまだまだやること、やりたいこと、
もっと歌が上手くなって、色々な歌を歌いたいので、
本当に結構です~」
と二人の歌姫に軽く拒否されたので、僕も思わず苦笑してしまった。
確かにシャルルも僕が初めて観た時の、
オルネラの居酒屋舞台上でお客の歓談宴会中の場に小さな声で歌っていた光景が嘘のように感じてしまうほど、
シャルルも西田佳代も本当にスターのオーラに変わってしまった。
ホント、女性は変わるのが、変身するのが早いです。
早過ぎます。
でも、当然、嬉しいけどね。
前田カメラマンと撮影の打ち合わせと、
露出を計る為にシャルルと西田佳代にもダンジョンを通ってリニューアル中の宮殿に来て頂いて、
王立劇場玄関前や屋内舞台等で定位置に立ってもらってストロボをたいた。
前田カメラマンはバッテリーストロボを台車に積んでダンジョンから異世界に運んで来て、
僕と片岡さんは手が空いた時に手伝っていた。
主に前田さんのスタジオ兼ね事務所から撮影用機材を台車に置くだけで、
後は異世界に着いたら、
衛生班の女性達もシャーロンが用意したダンジョンを通ってエルザの指示のもと甲斐甲斐しく手伝っていたので、
結局は僕と片岡さんは邪魔なのかもしれない。
僕はと言えば、小型発電機プラス出来るだけ自然を使った発電を考えていて、
300Wソーラーパネル発電や風力発電機の自作キット用を軍資金から手配して、
それらは宮殿屋上屋根部分やテラス部分に設置して、
その太陽の光や風力からの電気を業務用大容量ポータブル蓄電器も用意し、
基本的に音響機器のみにしか電気を使わないので充分な出力が確保できた。
最終的には発電機はいらなくなるかもしれない。
ま、前田カメラマンは
「いつでもその小型発電機を買取しますよ」
と言ってもらえたが、一応、自然発電の不具合の為に念の為の予備出力として当分は劇場に置いておいた。
前田カメラマンは、露出に関してはエルザや他の衛生班がいれば大丈夫なので、
何回かシャルル達を使ってストロボとレフ板での露出計を記入していたが、
今は異世界衛生班の若い娘達やエルザを使っていた。
特にエルザを被写体にしてカメラのシャッターを切る前田カメラマンの助手兼ねアシスタントのエルザは、
カメラのシャッター音やストロボに最初こそ、慣れず、現世界のテクノロジーに圧倒されていたが、
今ではテストでカメラのシャッターをきられ、ストロボの光を浴びる度に、表情が女の顔と言うか、
カメラに撮られる度に、発情した瞳がトロンとした、媚びて濡れた瞳に変わってきた。
因(ちな)みにエルザの瞳の色はブルーだった。
異世界の女性も、現世の世界の女性と一緒で、自分がモデルとなって写真を撮られたり、
カメラのシャッター音に興奮するのは同じなんですかね。
なんか時空を超えた女性のサガと言うか、なんというか、
だから昔から画家も女性にモテたとか言われるのでしょう。
今ではエルザは嬉々として前田カメラマンの指示に従って、熱心にアシスタントをこなしています。
僕はと言うと、空いた時間に片岡さん事務所の金庫に保管してある金塊20gインゴットをネットで探した金買取店を調べてはダンジョンを出して金を日本円に替える業務もせっせとこなした。
そこで分かったのは、某貴金属工業の代理店よりも、
都内の街に多く点在している何でも買取店の方が、面倒臭い手続きが少なく、
またちょっと高額に引き取ってもらえ、
しかも事実上1,000万円までを現金で取引出来た。
ま、金だけでなく宝石の買取もしているから、今度、冗談でシャーロンに給料は宝石類を聞いてみようかな、
と、僕も人の子、欲が出てきたのかもしれません。
なにせ、最近では買取店で100万以上の買取現金取引しているので、
金銭感覚が麻痺しているのかもしれません。
ある意味、自分自身でセルフコントロールと言うか、日々、戒(いまし)めないとね。
今の日本の世界は空前の買取ブームなんですかね。
昼間から若い娘たち、如何(いか)にも職業キャバクラ嬢、または今流行りのパパ活?
な、風俗まがいのことをして高級アクセサリーや高級バックを貢(みつ)がせて、プレゼントされた新品な商品を現金に換えに来ているギャルたちを見るにつけ、
日本も、世も末ですね。
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