ダンジョンを操れたので、異世界の芸能総監督になり、異世界美女と逆転人生を楽しみます

ムービーマスター

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善は急げ、とばかりに片岡さんと並んで歩き、
片岡さんはさっきお台場TV局の岩沼から貰ったコピー機で拡大された名刺、
アメリカの動画配信会社で、ネットムービーズ日本支社がある「表参道」駅を目指して、
ゆりかもめ線「お台場」駅に片岡さんは何時もの感じで歩いていたので、
僕は徐(おもむろ)に

「片岡さん、またダンジョンを使いませんか?」

と言うと、

「先にネットムービーズ日本支社に連絡を入れますので」

と言って、その場で連絡をした。

すると、受付の女性から名刺の人物である日本支社長のマイケル・ピーターは1時間後に
社内に戻ると言われたので

「たまには、のんびり電車で行きませんか?」

と提案されたので、僕も最近のダンジョン生活の便利さに慣れ始めていて、
運動不足状態だったから、丁度イイ運動とばかりに賛成し、
「お台場」駅からまずは「新橋」駅を目指した。

片岡さんは、どうも僕と色々と話がしたかったみたいで、
僕のパスモに1万円分もチャージしてくれ、まずは向かった。

久し振りと言うか、年に数回、
東京ビックサイトでの「健康博覧会」のイベントにサプリメントの原料注文で、
お世話になっている健康食品会社で、
出店している企業ブースへの挨拶周りの為に乗った時くらいで、
久し振りのゆりかもめ電車内からの風景を見続けていると

「実は、この機会に色々な映像ストリーミング配信事業会社と面識を作りたいな~と思っていた次第(しだい)でして、
ホント丁度(ちょうど)良(よ)いタイミングで、
しかもアメリカの最大手の映像ストリーミング配信事業会社であるネットムービーズの日本支社長や、
もしかしたら創業者でCEOであるキース・ハルスティングとも面識が作れそうで、ワクワクしていますし、
このようなきっかけになったのも武藤さんとの出会いが無ければ、
なかなか今の私の人脈では面識を作るなど難しいですから、
ホント感謝しています」

電車の中で片岡さんはまるで、
座席に正座をしそうな勢いで襟を正した格好で僕にそう言って深々と頭を下げた。

「ちょっと、片岡さん、止(や)めてくださいよ、電車の中で、
それに僕だって色々と片岡さんにはお世話になっていますし、
今後とも業界の事で、ご指導ご鞭撻を承(うけたまわ)ろうと思っているんですから、
ホント頭を上げてください」

片岡代表はホント律儀(りちぎ)な人です。

そして、久し振りな感じで新橋駅に着き、
新橋駅の駅から階段を降りている時に、また片岡さんが

「本当はこの手前の駅が近いのかな?
あのビルに、ネットムービーズとは違った映像ストリーミング配信事業会社が入っていて、
その会社も本社はアメリカです。
それで、提携しているのがやはり住所が新橋に本社がある某TV局です。
と言うことで、昨今はメディアの王様と言われた各TV局もアメリカに遅れること5年で、
遂に凋落が始まってきたんですかね」

「と言うことは、
アメリカでは5年前からTV局が映像ストリーミング配信事業会社の脅威にさらされて、
凋落し始めたって訳ですか」

「そうなりますね。
今では日本の各テレビ局も日本に進出してくるアメリカの映像ストリーミング配信事業会社と提携して、
なんとか生き延びようと悪戦苦闘し始めているようですが、
根本がね~違いますから」

「と言いますと」

「今までの地上波やBSなどのTV放送はCM収入、
各大企業が人気の番組枠の中のCM枠を莫大な広告宣伝費を払って買って、
そこにCM映像をこれまた大手広告代理店に映像制作をお願いしてやっぱり結構な金額でCM映像制作をお願いして、
と、そう言った仕組みだったのですが、
新進の映像ストリーミング配信事業会社は仕組みとしてはケーブルTVと同じで、
視聴者が月額料金を払って各動画配信会社からの映像が見放題となると言う。会員制での収入ですから、
殆ど広告宣伝費無しで会社を運営しているから、
経営が安定していて、更に今では魅力的な映像コンテンツも制作し、
オリジナルコンテンツとして配信しているから、
今まで映像コンテンツを制作していた映画会社、
各TV局をいよいよと脅かす存在になってきたので、
その内に逆転現象と言うか、
今はまだまだ映画会社とか各TV局が制作した映像コンテンツが多いから、
その映像の放映権を購入してそれぞれの映像ストリーミング配信事業会社が月額のお客様に配信していたんだけど、
自社でコンテンツを作り始めれば、
放映権をTV局などに払わなくて良いし、
今度は自社のコンテンツを各地上波TV局が購入するという逆転現象もあるようなね。
それに彼らの会社は元々IT系の会社でマーケティングや顧客の嗜好(しこう)を分析することに長けているので、
要は今、現在、
月額に登録している視聴者の嗜好を可視化して数字化し、
今、視聴者はどんな物語を欲しているのか?
を高い確度で予想し答えを導き出すそうです」

片岡さんは目的地である「表参道」駅に向かう為に地下鉄銀座線「新橋」駅に乗る為に地下のプラットホームを目指して階段を降り続け、
そして喋り続けた。

「まだまだ、色々あるんですがね、
例えば視聴率のこととか、
これも要は映像ストリーミング配信事業会社だと、
視聴者一人一人をコンピューターで把握しているから、
今だとAIですか、
だから視聴率も一人一人正確に出ますから、
これって地上波TVやBSTVでは正確な視聴データは取れないし、
今までビデオリサーチセンターが取っていた視聴率だって、
あれはホント笊(ざる)状態(じょうたい)です。
しかも、視聴率は匿名性の秘密主義ですから、
本当の視聴率の実態が判らない。
とか、
今までのブラックボックス状態だった地上波TV局の負の部分と殿様商売の精神だった上層部や年配者と若手社員との軋轢(あつれき)もかなり出てきたみたいです」

それが、先程のお台場TV局での若手社員のリストラの噂(うわさ)なのね。

「WEBサイト、ホームページのアクセス解析みたいな感じなんですね」

「まさに、ネット環境があれば動画配信出来ますから、
WEBテレビと言った方が良いのかもしれませんね。
地上波TV局もデジタル放送に切り替えたタイミングの時に、
もっと視聴者と双方向が出来る番組作りをするべきだったと思うのですが、
今でも上から下に流す、
殿様商売!
まさに上から目線の、
日本国民は我々TV局が制作したコンテンツを有難く見るが良い、感覚ですからね。
いくらクチでは視聴者を一番に考えて、
とか言ってても肝心のTV局社員がね、
さっきの態度でも良く分かるでしょう。
態々、私達がTV局まで出向いたのに、
お茶の一つも出て来ませんでしたからね
特に零細企業にはね」

確かに、打ち合わせの席に前の業者が残したのか?
のような、紙コップが置いてあり、テーブルも若干汚かったような気がした。

「そんな、失礼な態度を自分たちTV局員は知らず知らずに取っているんだけど、
さっきの岩沼氏にしても、
ああ見えて気が小さいと言うか、
近いうちにリストラがTV局でも始まるとの噂なのか雰囲気を察知してなのか、
色々と転職の準備をしているみたいですよ」

ようやく地下鉄銀座線の新橋駅プラットホームに辿り着き、
改めて電車を待つ、電車から降りる人の多さに辟易(へきえき)しても、
片岡さんはいつものような感じで都内の地下鉄や各電車を乗り継ぎしているから、
僕と違って普通と言うかなんとも涼しそうな表情で移動しながら、
色々と現在のTV業界のことを継続して話し中です。

「岩村氏は、
と言うよりも岩村氏も若手TV局社員と一緒で、
あわよくば次世代の映像ストリーミング配信事業会社に転職したいのだとか、
東新橋に支店がある同業他社の映像ストリーミング配信事業会社は今も社員を募集していて、
給料も良いそうです。
しかし、アメリカ本社の外資系ですから語学、英語を喋れるのは必須(ひっす)で、
しかもビジネス会話や文章も作成出来ないとダメ。
因(ちな)みに、
私もTV局の若手社員達に散々言われたのでネットで調べてみましたら、
求人欄には採用条件にエンタメ業界の豊富な人脈、
ビジネスレベルの英語力、
高いコミュニケーション能力、
セルフマネジメント能力は当たり前で、
部署によってはライセンス契約業務の担当経験、
学士学位必須、
PCスキル等と正に神様スペックを持った一握りの人しかエントリー出来ないって感じで調べて読んでいて、
思わずひっくり返りましたよ。
それに今では、
よく訳の分からない部署名、コンテンツアクイジション部と言う、
私は知らなかったんですが、武藤さんは御存じですか」

僕は当然と言うか、全く知らないので片岡さんに首を振った。

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