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異世界芸能セレブ達に歌姫達を披露
しおりを挟む多分、その彼の目の印象としては、目で訴えたいことは
(極東の訳の分からない国から来たのか知らないが、
音響建築の知識や技術はあんたらなんかには負けないぜ~)
な圧を感じたので、まずは自己紹介止まりだった。
本当は、彼、
ルイジとキサナ国王立芸術劇場リニューアルの音響スピーカーの設置の事で色々と打ち合わせせねば、
と、ちょっと焦ってはいましたが、
今はその時期じゃないです。
と、一通りの挨拶とお茶会の優雅な時間が流れ、
今度はグレアム王子がキサナ国の芸能ギルドの皆様も集まっていたので、
宣伝も兼ねて舞踏会大広間の奥に簡易舞台が設置されていて、
そこで、彼らの簡単な、映画で言えば宣伝予告編レベルの演劇を披露したり、
音楽隊が2曲ほど演奏したり、歌やダンスも披露された。
中々の見ごたえはあったが、
しかし歌に関しては、
やはり古い昔から伝わっている民族音楽からのちょっとアレンジして歌謡にしたような、
その位のレベルで、
僕が初めて異世界に来てシャルルの自信なげに歌っていたオルネラの店の舞台を思い出してしまった。
グレアム王子も、先日の西田VSシャルルの歌合戦を見て聴いていたから、
僕やシャーロン、シャルル達をみながら
(まあ、こんな感じで、君たちの足元にも及ばないけどね)
的なゼスチャーをしてみせた。
但(ただ)し、音楽隊のレベルはなかなかな感じで、
確かにちょっとしたオーケストラレベルで、
クレア国の歌手が歌うアカペラの歌に比べたら、
熱心に聴いている人達が多くいた。
あくまでも今は余興タイムだから、
静かにだが、各テーブルの集まる著名人白人男女達がヒソヒソ話をして、
多分、今行われている予告宣伝の出来映えと言うか、
所謂(いわゆる)、この最新作の予告映画を観て、
「本編を観に行く?」な会話をしているみたいだった。
片岡さんも僕に色々と感想を言いたそうだけど、
あまり本音を言っちゃうと異世界の人達にも悪いよな~な感じもあるから、
当たり障りのないどうでもイイ話し、例えば
「異世界の人達も日本語を喋ってくれて、ホント有難いです」
とか
「こんな豪勢で豪華絢爛な城内は、ホント驚きです」
と、そんな会話が終止で、反対に前田カメラマンは邪魔にならないようにだけど
、余興兼ね、作品予告で舞台上に現れるアクター達も撮影していた。
そして、僕らのテーブル席に戻ると、
僕に今撮影した舞台上の人物、異世界女優が甲冑(かっちゅう)を着た画像を熱心に見せた。
今日のシャルルのような女騎士なのか女戦士の格好をしていたので
「武藤さん、自分が前に言っていた、写真集を作りたいって言っていた。
戦場で戦死した女戦士たちを撮影して自分の写真集を作るのが夢って言っていたじゃないですか?
それが、ここ、異世界で実現出来そうな、ね、
この女優の女戦士の格好、もろドンピシャですよ」
と言って、
またまたデジタル1眼レフカメラで撮影した画像をカメラ裏の小型パネルにお気に入りを再生して僕に見せながら興奮した感じで喋った。
なるほど、そう言えば前田カメラマンは以前居酒屋で飲んだ席で、
そんな事を言っていたような、
あれはサプリメントの原材料(げんざいりょう)繋(つな)がりで商品リーフの撮影を前田カメラマンに頼んで一緒にスタジオで物(ぶつ)撮(ど)りした後の二人だけの打上げ飲み会の時かな。
「そうそう、思い出しました。
そう言えば、シャルルも実は本物の女戦士、
シャーロン姫のボディーガードもしているから、
ほら、これがその時のシャルルの格好ですよ」
僕もそう説明しながら前田カメラマンにシャルルの女騎士の格好をした、
革パンツ姿の凛々しい、
だけど顔中汗だく状態が妙にエロいスマホの画像を見せた。
「え~、自分の撮りたいイメージにピッタリのモデルなんですけど、
カッコイイじゃないですか、彼女、身長も高いし、程良い筋肉が付いていて、
だけどプロポーションも良いし、シャルルがメインですね。
自分の夢の写真集「タナトス!戦国女戦士~戦闘と死への誘惑~」を是非、
撮らせて下さいよ」
前田カメラマンから僕に熱心に口説かれても、
要はモデルの本人であるシャルルの承諾を受けないと、
と宥(なだ)めると、前田カメラマンは
「その辺の処を上手く繋(つな)いでくださいよ
説得してくださいよ」
と言いながら、今ではドレス姿のシャルルをチラチラと見ていた。
クレア国の芸能人達が終了して、
この流れだと当然、と言いますか、
今度はキサナ国の今、話題の歌姫が勢揃い、ってシャルルと西田佳代だけど、
ここに集まっている両国の芸術芸術セレブたちは当然のように期待しています。
この流れだと、
彼らが催(もよお)した舞踏会内簡易舞台上でアカペラになるんだけど、
やっぱりラジカセ伴奏があるオルネラのお店で披露したいです。
そう考えて、そのような城内のそわそわした各セレブ、
王家、貴族、芸能ギルドの皆さんの意向を汲(く)んで、シャーロンに
「この際、
何処でもドア型ダンジョンを使ってオルネラ店ホールに皆さんを移動してシャルル達の歌を聴かせない?
折角(せっかく)、ここに集まっている著名な人達も、
大部分は生で聴いたことは無いんでしょう。
丁度良いタイミングだし、
彼らが認めてくれたら色々とこれからしたい事の話しがスムーズになるでしょう?」
僕にそう言われたシャーロンも乗り気になり、
早速、席を立って、クレア城の何も装備品が無い壁方向に歩き、
そしてそこにダンジョンを登場させた。
最初は所謂、お家のドアサイズだったので、
その狭さだとここに集まっている人々が100名弱位なので縦一列で入っての移動になるので大きくしたら、
と思っていたら、当然、シャーロンもその辺は気付いていて、
今度は人差し指を高く上げて、上部の壁にまるでアーチの線を描くように動かしたら、
あ~ら不思議、今までのドアサイズのダンジョンが幅も高さもあるアーチ型のダンジョンに早変わりし、
僕たちに
「先にオルネラ店に行って、準備しいて、お願いね」
と、僕やシャルル達にシャーロンが指示したので、
早速僕ら席は席を立ってダンジョンを通って移動した。
片岡さんと前田カメラマンは、
当然、何をしていいか判らず、ウロウロしていたので、
取敢(とりあ)えず後方舞台2階(かい)櫓(やぐら)の長テーブル席、
所謂(いわゆる)オーディション審査員席みたいな所の空いた席に座ってもらっていて、
その間に、僕はラジカセに電源を入れ、
シャルルと西田佳代は舞台中央にある三脚に固定されたタブレットにスイッチを入れ何時もの確認作業をしていた。
今の処、全部正常に動く。
僕がオルネラ店側のアーチ型大型ダンジョンの前に急いで現れ、
シャーロンに両手を使って大きな丸を作ってOKのゼスチャーをすると、
シャーロンはクレア国城内舞踏会の間で待機している王族、貴族、芸能ギルド、
クレア国芸能人達をこちらに誘導し始めた。
一括(ひとくく)りに紹介する異世界両国の著名人たち
約100人位はぞろぞろと談笑しながら歩いて30歩で居酒屋ショーパブホール・オルネラ店の
庶民的木製丸テーブルへとグループごとに着席して頂き、
今回は王族と芸能ギルドの担当でもあるシャーロン姫がホストとして彼らを対応し、
厨房で開店前の準備をしていたオルネラとスタッフ達に、
彼らに飲み物だけでも用意してとテキパキと指示していた。
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