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グレアム王子は自国の芸術総監督
しおりを挟む僕はなんかイマイチ納得いかない表情でいたら、シャーロンが徐に僕に両手で輪を作り、所謂、ダンジョンボイスのポーズを取ったので、僕はどっちの耳から聞こえるか分からないけど、聞き耳を立てた。
すると
《ごめんね、実は色々と訳があって、グレアムはハンサムだけど女の子よりも男の子が昔から好きなのよ》
そのシャーロンからのダンジョン内緒話を左耳から聞こえたので、今度は僕が輪を両手で作ります。
もはやここまで近いと、テーブルのみんなにダダ漏れですが、仕方ないか。
と言うことで、一応、ダンジョンボイス内緒話の内容を要約しますと、確かにキサナ国のグラムデル王家とクレア国のラヴァン王家は古くからのお付き合いをし、一応、シャーロンとグレアムは許嫁として両王家が決めていたこともあったが、グレアムは超絶イケメンに良くある話で、ゲイだったんですね。
だから、もしかしたら、シャーロンや西田佳代よりも僕にアプローチするかもしれないから気を付けて!とシャーロンに注意までされたが、これもどうやらこの場ではダダ漏れ、ですか。
「まさかシャーロンまで、私と同じ芸術芸能関係、しかも音楽関係に携わっているとは、驚きましたよ。
しかも、あちらの世界の、歌の大先生と専属契約をしているとは羨ましい限りです。
私も、と言いますか、私の真似をしたのがシャーロンだと思いますが、
わたくしはクレア国で芸術、芸能全般を担当しておりまして、
音楽ではこちらの三国の中では我が国だけの音楽隊を結成しております」
音楽隊を詳しく説明されると、まさに現世ニッポンで言うところのオーケストラで、他は芸術芸能は演劇や声楽歌手によるステージ、そしてクレア国の観光事業までを彼は請け負っていた。
クレア国自体が風光明媚な北国の環境を活かし、観光と芸術で財政を賄っているとのことだった。
「それでなんだけど、ここキサナ国の町中にある大きな宮邸があるけど、現在は他の国の王家、貴族達が滞在する為のゲストハウスなんだけど、最近は余り稼働していなくて、その宮廷にここオルネラのお店を引っ越そうと考えているのよ」
「なるほど、と言うことは、今日、ステージを見に来て分かったけど、
この連日の大盛況ぶりでは、お客が溢れて嬉しい悲鳴だからかな」
「それもあるんだけど、実は前にグレアムが言っていたじゃない、キサナ国にもそろそろ王立の大劇場でも作ったらイイんじゃないって」
「ああ、言いましたね。
実はさ、今まではクレア国の音楽隊や芝居、芸能関係の殆どはグラムデル城内でしか行われず、我が国カスナにある大劇場がキサナ国にもどんどん出来れば、キサナ国ももっともっと外貨を獲得出来るのに、なんて思っていて、シャーロンにそんなことを言ったかもしれない」
「で、出来ればクレア国の芸術劇場を設計している建築家さんを派遣して貰いたいんだけどな。
あの大きな宮邸の中身をリニューアルして、まずは簡易で劇場を作りたいんだ」
「なるほど、いいね。
流石は節約志向のシャーロンだね。
あの大きな建物ならここの10倍は観客が集客出来るしね」
僕は10倍?と言う大きさにちょっと困ってしまった。
と言うのは、今の小ホールだからミニコンポセレベルのスピーカー出力で良かったのだが、ここの10倍の広さだと、確実にコンサートホール用のスピーカーが必要では、と考えてしまった。
ま、その辺は帰ったら片岡さんにでも相談しよう。
しかし、この異世界でも芝居やら舞台やらオーケストラみたいなものがあったとは、しかも隣国クレア国が、芸能の世界では群を抜いているのか?
タイミングが合えば、異世界の芝居も是非!鑑賞してみたいです。
「分かった、その辺の技術的な面は直ぐに手配するよ、明日にはあの宮廷に建築家や技術者を向かわせるよ」
それに対し、私のダンジョンを使わせて!とシャーロンはシャーロンもダンジョンを使えるのね、魔法使いだから当たり前か~とも思った。
「そんなに魔法やダンジョンを使って平気なのか、シャーロン!
また魔法の森のチエノフ女王代理に怒られるんじゃない?」
「大丈夫よ、基本的に世の中の人々が喜んだり感動することに使うのは、良い魔法なんだから」
グレアム王子もやれやれと言った表情で、シャーロンのスーパーポジティブ発言にはお手上げなようだ。
うんうん、判るよグレアム王子、シャーロンの性格には誰も逆らえない時があるよね。
僕は気になっていたことを彼らに徐(おもむろ)に聞いた。
「シャルルはグレアム王子の妹なんですか?」
「いや、彼女は親戚、従兄だね」
そして、シャーロン姫の#侍女_じじょ__#でもあるんだよ、
ボディーガードみたいなもんさ、ほらシャルルは身長も高いだろう、
で、脱ぐと結構な筋肉質で力も強いし、格闘技なんか私よりも上手いし強いんだ。
小さい頃は何回泣かされたことか」
シャルルは、今度はグレアム王子にクチパクしながら怒った表情で
【なんで今のタイミングでそんな事を言う訳?】
な、ゼスチャーをしたので、そこにいた全員が思わず笑った。
そんな訳で、僕は健食粉砕工業㈱を突然!
でもなく、まあ、遅かれ早かれ辞めていたと思っていたので、きっぱり辞めてしまいました。
晴れて自分の今好きなこと、異世界での歌姫プロデュース、
からの今ではクレア国の王子であり芸術観光大使でもある超イケメンのグレアム・ラヴァンとも面識を作り、
そう遠くないウチに彼の総合監修している芝居やオーケストラや歌のステージや舞台を見せて頂いたり、
コラボしたり、最終的にはクレア国のこれからの芸能活動に対しての共同プロデュースまでも頼まれると言う、
異世界の話しだけど僕にとっては夢のような展開になっていた。
僕は、そんな今までの経緯を、僕としては逸る気持ちを押し殺して、努めて冷静な調子で片岡代表、片岡さんに報告した。
今では豊洲ビル2階の広いフロアーには新しい事務用デスクが6台とデスクの上には新品のノートパソコンやタブレットまであり、Wi‐Fiが設置されていた。
フロアーが大きいので、それでも半分以上はガランとした空間が広がっていて、そこは蛍光灯が消えているから昼間でも薄らと暗い感じだ。
片岡さんは取敢(とりあ)えずパーテーションで近日中までに事務所を仕切るとの事。
そんな豊洲ビル2階の元美術出版「藝文社」ビルの新生「㈱スクール・オブ・シネマ」事務所オフィスで社長デスクに囲むように椅子を近付けて座って歓談中です。
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