ダンジョンを操れたので、異世界の芸能総監督になり、異世界美女と逆転人生を楽しみます

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西田佳代による新次元歌謡の幕開け

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実はシャルルは西田佳代が舞台に立たない日は、新しい歌の練習をしていた。

今までのレパートリーは松田聖子の3曲「瑠璃色の地球」、「SWEET MEMORIES」、「ガラスの林檎」だったが、僕は密かにシャルルの声質が低くて力強い伸びやかさがあるので、男性歌手の曲を歌わせて見たいと思っていて、シャーロンにも黙って密かにシャルルにある動画を見せて学んでもらっていた。

それは福山雅治が作詞作曲した「最愛」だ。

シャルルにはまず、柴崎コウが歌ったPV動画を見せ、次に福山雅治が歌うPV動画を見せて、彼女の率直な感想を教えてもらいコミュニケーションを取りながらシャルルとこの「最愛」をシャルルが如何(いか)に咀嚼(そしゃく)して自分の歌にしていくか一緒に戦略を立てていったのだ。

「同じ歌なのに、女性と男性が歌うだけでも同じ歌の印象が全く違いますね。

私は個人的には男性の歌手が歌う方が心に響きます」

「そうですか、この歌を作ったのは元々、男性の福山雅治だから、思い入れ自体が違うのかもしれない。
例えば、シャルルが今、持ち歌にしている松田聖子の【瑠璃色の地球】も、色々な歌手が歌っていて、歌唱方法も変えて最終的には自分の個性に合わせ自分の歌にしているんだね。
ま、それが出来ないと、ただのモノ真似になってしまい、誰の心にも響かない」

「そうなのですか、歌って奥が深いのですね」

「そうだね。奥が深いと言えば深いんだけど、だからと言って頭で考えながら歌ったとしても、歌唱の技術を優先して歌ったとしても、それが正解とは言わない。
シャルルは今までの歌い方。
まずは自分がこっちの世界の歌を聴いて、次に自分でも歌ってみたいと言う、まずは自分で感動して、その感動から自分も歌って見たいとなって、その次に、この自分が感動した素晴らしい歌を、一人でも多くの、まだ知らない人々に届けて、聴いた人々も感動して頂ければと言う、感動の言霊プレゼントかもしれないな。
本来、歌って」

「は、はい!そうですね、私は私がまずは感動して好きになって、自分で歌いたいと思った歌を練習し、自分の歌にしてから皆さんに披露したい、届けたいです」

「で、この【最愛】はどう?シャルル」

「めちゃくちゃ好きな歌です。
もう、感動しまくりですよ。
この二人から素晴らしい処を学び、自分流に租借しないと・・・」

「シャルルの声質は低音が伸びる声だから、柴崎コウと福山雅治の丁度半分位の音程での歌唱が良いのでは?と、僕は勝手ながら考えている。
とは言え、僕のアドバイスだって、プロのアドバイスじゃないから参考にはならないかもだけど、まずは、自分なりに歌い込んで納得するのが一番かも、ではシャルル、期待していますよ」

「ええ、期待に応えられるように頑張ります」

西田佳代の新兵器とシャルル・ラヴァンの隠し球、その勝負の行くへは如何(いか)に?だね。


最初のステージはやはり、異世界ご当地歌姫ことシャルル・ラヴァンによる松田聖子の曲が披露され、今では超、超満員となった居酒屋ホールは僕たちのいる後方舞台までも客席が作られ、店側は急遽、僕ら専門に後方舞台の上に二階ディレクター席の櫓(やぐら)を建設してくれて、その2階部分から僕とシャーロンはシャルルのステージを確認していた。

以前の、僕は現世ニッポンからの歌謡曲を提供していない時は、一応、舞台背景には美術背景として、この異世界の風景、山とか高原とか湖とかの絵、多分、シャーロンが異世界の画家が描いた絵を見て思い出して魔法で拡大劣化コピーしたものをステージ背景にしていたから、僕がそれを最初に観た時は、そこだけ小学校の学芸会?と、周りの世界観(最初はSF映画製作と勘違いしていた)とのクリエイティブの違いに、監督の制作意図は凡人の僕にはよう解らんと、と首を捻(ひね)ったものだったけど、実は作者はシャーロンでした。

今では僕のアドバイスというか、僕が現世ニッポンから画像を取り込んできた地球の写真!だったり、様々な80年代歌謡曲の今は懐かしTVステージ画像、昔のランキング形式の歌番組の貴重なステージ画像をタブレットに保存して来て、シャーロンとリハーサル時や、お店終了時にお店に残って

【あ~でもない、こ~でもない】

と議論ディスカッションをして作っていたので、と言っても基本はシャーロンの魔法だけど、シャーロンが最終的に念写みたいな、自分の頭に細部まで思い描いた美術背景を舞台上に、まるで空間内の空気の中にあるのでは?と思える分子なのか原子を集めて来て、巨大な宇宙空間に漂う地球のポスターを積み木やパズルがの早送り映像のように魔法で創造し、現世ニッポンのようなステージを照らすスポットライトは、鏡とシャンデリアの蝋燭を巧みに使って、それらしく演出することに成功させた。

なにせ、異世界では電気はありませんから、夜の明かりは全て炎の明かりであり、蝋燭の明かりです。

ただし、シャーロンの魔法をちょくちょく使って頂く、例えば、居酒屋ホール内の全シャンデリア蝋燭を一気に消したり、反対に舞台ステージ上のスポットライト的照明にもシャーロンは魔法を駆使して舞台演出をし、圧倒的なシャルルの歌唱を盛り上げる効果を存分に発揮していた。

まさに相乗効果で、連日、大挙として押し寄せるお客達、観客達を熱狂させた。

その理由の一つに、常にステージは進化していることが伺わせた。

ステージは最初にシャルルの十八番になった「瑠璃色の地球」で始まり「ガラスの林檎」で一先ず、シャルルは舞台を下(さ)がり、そして、シャルルと同じようなドレスの格好の西田佳代が登場し、大勢の観客達がざわついた。

そして、ざわめきが引き始めた時に、カラオケの曲が流れ始め、彼女は異世界ステージではぶっつけ本番で新曲!
異世界では勿論、新曲の歌が披露された。

その曲は伊藤由奈が歌った「Endless Story」(2007年)だった。

その初めての西田佳代のドレス姿と始まりのピアノの調べは、一気に異世界の観客達の心を吸い寄せ、彼女の世界に引き込んで行った。

その時の状況をシャルルは舞台袖から驚愕の表情で見ていて、僕は西田佳代の出だしが上手く言ったのにホッとしていて、隣のシャーロンは思わず机の上に置いていた僕の手に自分の手を重ね、そしてギューッと握り始めた。

僕は驚いて思わずシャーロンの横顔を見ると、シャーロンはうっとりとした瞳を前方舞台中央で熱唱する西田佳代を見ながら、そして静かに涙を流していた。
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