吸血鬼伝説の始まり

Ｂ国の城内に潜入

元Ｂ国兵に案内されたＢ城視察隊が、Ｂ城に着くと、
いつも居る筈の城壁上の番兵の姿が無かった。

そして、予想はしてはいたが跳ね橋が上がっていた。

元Ｂ国兵が、大声を出して城壁内の仲間に呼びかけたが返事は無く、
遂に隠し出入り口を使って、城壁内に潜入し、門を開けた。

宿直室には、多くの若い兵士の亡きがらが横たわっていた。

城壁内は無人であり、城内への扉も固く閉ざされていた。

Ａ王国兵は上層部に命令されていた為、Ｂ城の建物等のあらゆるものに触れることを禁じられていた。

Ａ王国の国王様と医療関係有識者の見解によると、
【流行り病】の目には見ないほど小さな菌が、
感染した人間から放出され、
患者が行動した動線全てに菌がばら撒かれていると考えられていたからだった。

【流行り病】に罹り治ったＢ王国の兵士や、同じく治った３０代のＡ王国兵が、主に先頭に立ち、扉を開け、感染で亡くなった兵士の死体を城内広場に集め火葬して行った。

死体が焼かれる煙により、Ｂ国城内の上層階で初めて人のいる気配、物音がした。

Ｂ国王の間だった。

元Ｂ王国兵が、国王の間に駆け付けた時、そこには王様と王族たち、
そして王族に仕える使用人兼ね近衛兵が怯えるように部屋の隅に蹲(うずくま)っていました。