吸血鬼伝説の始まり

ムービーマスター

文字の大きさ
15 / 26

B王国の惨状、B王国兵語る

しおりを挟む
隣国の国王たちは、
A国王のように日頃から【流行り病】の対策と準備を怠っていたので、
実際に【流行り病】や疫病が国内で大感染すると、
パニックになり、適切な対策を打つことが出来ず、
更なる悪化へと繋がった。

人々は【流行り病】に次から次へと感染し、多くの国民が死んでいった。

【流行り病】自体は人々に平等に罹り、平等に死を与えるので、
貴族だろうが国王だろうが、感染を免れることは出来なかった。

免(まぬが)れるのは、日頃から【流行り病】や疫病のことを勉強し、正しい知識を得ている者だけとなる。

その1人がA国王様だった。

「A国王さまは、自ら率先して現場に向かい、
この【流行り病】の難局と有事に強い王様であることを立証しています」

今では、国民学校の大ホールで、定期的にA国内と隣国での【流行り病】の状況を報告し、尚且(なおか)つ、【流行り病】に対する知識と対策を徹底する公演会が、先生によって開かれていた。

先生とは、A王国民学校の先生であり、A国王様の妹でもあったのだった。

大ホールの壇上には先生の他に、敵国である筈のB王国の兵士2人やF国の国民など数人が後ろに立っていた。

「こちらの方々は、隣国から【流行り病】に罹ってしまい、
A王国での治療により完治した者たちです。
彼らは、A王国への感謝の気持ちと、帰属すること等の、
思いを語ってくれるそうです」

B王国兵のお礼と証言

「私はB王国の近衛兵です。
2週間前にA王国へと助けを求める伝令兵として参ったのですが、
既に部下の1人は流行り病の感染で重篤になり、
ここにいる彼と私も流行り病に罹り始めの症状でした。
実は、B王国城内でも、徐々に【流行り病】が広がりつつあり、B城は現在も閉じられたままでしょう。
もしかしたら、城内の王族たちにも広がり、現在はもっと最悪なことになっているのかもしれません。
私はA国王様の許しが下り次第、B王国へと一時的に戻り、現状把握と、B国王様の救出も行いたいと考えています。
私と彼は、現在、このようにすっかり元気になり、【流行り病】から治りましたが、残念ながら、一番若い兵士が看病の甲斐もなく、亡くなってしまいました。
本当に残念でなりませんが、もし、B王国での治療だとすると、まずはハッキリ言って治療などされなかったと考えられますし、また、A王国のような理にかなった処置をされなかったと思います。
B王国の医療従事者は【流行り病】に対しては無知であり、衣服の熱湯消毒や、画期的なアルコール消毒までも行われていないのですから、それよりも、流行り病は悪魔が原因として、流行り病が蔓延する中、魔女狩りが行われ、多くの村の家に火を付け、多くの女性達が火炙りの刑で犠牲になりました。
残酷なことに、家の中で熱に魘(うな)されている病人まで一緒に焼く始末でした。
B王国は、今では昔と変わらないほど、
野蛮でヒステリックな場所になっています」

「彼がお話しした通り、いま現在の、
B王国の確かな情報は分かっておりません。
先日も、A王国に一番近いB国駐屯地の兵1人が【流行り病】に感染し重篤な状態で現れ、現在、治療中ですが予断が許されぬ状態です。
このような状態なので、近々、A国王さま自ら出向いて、
B王国に視察隊を派遣致します。
つきましては、その視察隊に貴方がたも御参加願えますでしょうか」

「願ったり叶ったりです」

そして、B王国へ視察隊が派遣されました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

かぐや

山碕田鶴
児童書・童話
山あいの小さな村に住む老夫婦の坂木さん。タケノコ掘りに行った竹林で、光り輝く筒に入った赤ちゃんを拾いました。 現代版「竹取物語」です。 (表紙写真/山碕田鶴)

あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

にたものどうし

穴木 好生
児童書・童話
イモリとヤモリのものがたり

処理中です...