吸血鬼伝説の始まり

新「創世記」の長い長い６日目と、吸血鬼の始まり

今から３００年前のお話しですが、東方からヨーロッパに伝わったイスラエルの書物『ベン・シラのアルファベット』によりますと、イヴではなくリリスがアダムと同時に同じ塵(ちり)から作られ、アダムの最初の妻となったとされています。

さらにリリスはアダムと神に対して平等を要求し、
性交時にアダムの下になることを拒否したと記述されています。

詳細な内容は

「リリスは『私は下に横たわりたくない』と言い、
アダムは『私はきみの下になりたくない、上位にしかいたくない。きみは下位にしかいてはならないが、私はきみより上位にいるべきだ』と言った」

アダムの最初の伴侶となるはずであったリリスは、アダムと対等に扱われることを要求し、同じく土から造られたのだから平等だと主張してアダムと口論となったリリスは神さまの名を叫んでエデンの園から飛び出し、紅海沿岸に住みついたのでした。

また、ある書物によるとアダムがリリスを自分の下にしようとすると、彼女はエデンから空に逃亡し、そこで悪魔（堕天使サマエル）と性交して妊娠し、１日に１００人以上の子を産みました。

神さまはアダムにリリスが戻ってくるようお願したので、
３人の天使（セノイ、サンセノイ、セマンゲロフ）を遣わせ、
天使たちは紅海でリリスを見つけだし、

「逃げたままだと毎日子供たちのうち１００人を殺す」

と脅迫しましたが、リリスはアダムのもとへ戻ることを拒絶しました。

天使たちがリリスを海に沈めようとすると、リリスは天使たちに答えて、

「わたしは生まれてくる子どもを苦しめる者だ」

ただし

「３人の天使たちの名の記された護符を目にした時には、子どもに危害を加えないでやろう」

と約束したのでした。


リリスがアダムのもとへ戻ることを拒否したため、
神さまはアダムを深く眠らせて、アダムの肋骨からイヴを作り、
アダムの後妻としたのでした。

このことから、リリスは悪魔の伴侶となり、
人間の子供に禍をもたらす悪霊となったのです。

そして、リリスこそが吸血鬼の始まりとなったのです。