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新歓の季節再び、今度はシェア大作戦その1
しおりを挟む早春の穏やかな陽だまりがGaiaの部室に広がる午後、
本城直人は部室の隅にある何処から持って来たのか今では覚えてない机に、
最近セットされたデスクトップパソコンを相手に悪戦苦闘していた。
新しくGaiaのホームページを作った?
正確には同大学Webマーケティングサークルに作って頂いた、
そして序(ついで)に言うのなら、このセットされたデスクトップパソコンもWebマーケティングサークルとのある条件を基に、半永久的にK‐POPダンスサークルGaiaに貸し出して頂く約束をしてゲットしたのだった。
というのも早1ヶ月を切った4月の新歓ブース場所で、
Webマーケティングサークルのブース前で、客寄せパンダのようにGaiaの何名かが得意のダンスやビラ配り要員として手伝うという約束をしてしまったのだ。
といった塩梅で他のサークルとの共存共栄、シェアし合うという考えの元々は、
「ナナオ」店でナオミ改め直人を指名する相澤純からのアドバイスだった。
「サステナビティってなんですか?」
「ウチの会社である㈱ウシ内部統括グループで打ち出している会社の方向性の一つで、
意味は持続可能性っていうんだけど、
もっと詳しく説明すると、今までのアパレル産業や繊維業界での、
原料となる糸や繊維の製造で使われている機械のエネルギーの基となる電気は、
石油である化石燃料を燃やして電気にするので、
要は地球温暖化になる二酸化炭素を日夜大量に発生させて服の原料やら服自体を製造していたのを大きく改善させる、
例えば今まで石油を燃やして作った電気を使っていたのを自然エネルギーを使って、
ソーラーによる太陽光発電や水力発電からの電気を使うことにシフトする。
といったようなのが温暖化によって危機的に瀕している地球を守るため、
各企業が今、何が出来るか、を総称して持続可能性、
地球を温暖化から守るために私たちが何が出来るか、
何を変えなければいけないのかを考えるキーワードとしてサステナビティが世界各国で叫ばれて来て、遅ればせながら㈱ウシもその方向に舵を切り変え始めて行く、
まさにそんな岐路に立つ最前線本部が、
俺が移動した部署内部統括グループの実態なんだけどね」
「へ~、そうなんですか、それって、
今流行りのシェアとかサブスクってやつと同じみたいなの?
実はよく詳しくは分かんないけど、イメージ的には地球環境に優しい的な」
「考え方は、だいたい同じような事だと思うよ、
今の時代にマッチしているような、二つとも共有するといった感じで、
みんな仲良く分けあったり共有して助け合う、みたいな」
「それって前に話したことがあった『みんな仲良く』って相澤さんが言っていたことじゃないですか?
あれ、元々は私が言いだしっぺだったかな」
「ナオミ君が話した『分かった分かった』を連発する人の話から、
モデルのガールフレンドの話しで、その娘の勝ち気な性格、
上昇志向とか意識高い系で、常に主導権を取っていたい、みたいな」
「そうそう、そうだ、そこから話しが盛り上がって、
相澤さんが、その考えは好きだけど現実は難しいみたいなことを言って、
私がちょっと熱くなって、最終的にはよくないよネ的に熱弁を披露したような、
思い出した、あ~恥ずかしい」
「でも、あれから会社の中で、内部統括グループ内での会話に出てきたり、
考える為のキーワードとなるサステナビティとかSDGsの考え方が話題になると、
あの時、ナオミ君が熱弁していたことが重なって来てさ、時代は、
社会は確実にナオミ君の考えが主流になってきている、そうじゃないと、
今までのように一握りの優秀な、優秀だと思っていた傲慢で常に主導権を握っていたくて、
自分だけの都合のよい正義を持っていた『みんな仲良く』とは対極的な、
自分さえよければ的考えは、今後の近未来では通用しない、
だけじゃなく、未来の子供達に対しても害になる罪悪な人々と指弾されそうな、
そんな戒め的な感じで思い出したりしてね」
相澤純とは他にも色々な話をしたけど、
そこから大学内の他サークルとのシェアの話しがでて、それは面白そうと早速、
直人は動き出したのがWebマーケティングサークルとの持ちつ持たれずのシェア精神からの、今は使っていないデスクトップパソコンの半永久的貸出ゲットだった。
もう一つの理由は経済的な理由、
本城直人がニューハーフクラブでアルバイトしだしたきっかけも、
ホームページを作ったり、
Gaiaの広報宣伝のため、サークル活動の為のダンス用衣装を揃えるためとかを考えての軍資金の為だったのだが、その考えすら「サステナビティ的じゃないね」と相澤純に指摘され、
「ナナオ」店も辞めようかとも思っていた。
その後押しになったのが、相澤純が
「自分の会社で、シェア的に応援できることがありそうなので、ちょっと調べるよ」
的な話題から、後日、純に会社のアパレルPBブランドやお付き合い先のセレクトショップからの売れ残り在庫を融通して頂ける運びになり、
更に女性部員にとっても嬉しいコスメ関係の商品協力、
商品協賛も紹介され、益々、本城直人はアルバイトを辞める決心と、
自分の大学内でのシェアの可能性をもっと真剣に考えることを痛感していた。
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