Cウイルス・クロニクル

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平穏なひと時を切り裂く、フェンスを突破してきた軽自動車

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ここも危ないかもしれない!私は即座にそう思い、自分と年齢の近い桐山千賀子に自衛隊員男女4人で盛り上がっているところ、遠慮しながら声を掛けた。

「どうしました?北川さん」

「ちょっといいですか」

私は自衛隊員3人から引き離す感じで、距離を置き、ヘリの燃料も満タンになったことだし、もっと北の東北は仙台市を目指しませんか?的なことを言ってみた。

「はい?・・・ここまで移動すれば、まずは一安心では無いですか?それとも何か?」

私は桐山千賀子に毎度毎度のマインドコントール的超感覚的知覚を使うのを躊躇っていたし、ホント!これは私個人的な考えだが、むやみに私の特殊能力を多くの人々、今現在の状況なら、加藤と佐藤と言う男性自衛隊員にも知ってもらいたくはないと思っていたので、その辺は桐山千賀子にも曖昧な態度で濁していた。

佐々木ミカは20代で若いことも有り、また、正直!男性受けする可愛い娘ちゃんタイプだから宇都宮の田舎自衛隊員にちやほやされ、昨夜のことなど忘れている?または本能的に思い出したくないのか、気持ちテンション上がりっぱなしではしゃいでいて、コロコロと女子高生が笑う感じの笑い声で二人の男達を楽しませていた。

「兎に角!ここまで来れば、一安心だと思いますし、今現在の状況を宇都宮駐屯地にも報告する義務が私にはあるのですが・・・」

私と桐山千賀子が会話している最中でも、若い3人は楽しそうに歓談していた。

そんな風景を見ていると、一瞬!私までもが、先ほどの悪夢的な予知映像なのか、昨夜の細部を見落としたVTR録画映像再生検証の恐るべき事実を封印しようかとまで、考えたのだが、やはり胃の辺りが妙にムカムカするような生理的な部分からも警告を発せられている感じだった。

「そちらのお二人も、立話もなんですから、まずは事務所内で休みませんか?そこで、今までの経緯をお聞かせください」

「そうしましょう。しかし、宇都宮駐屯地からの応答が無いのが不気味だよな~」

と男性では一番若い佐藤が、一瞬!いぶかしげる表情を見せたが、加藤と佐々木ミカが楽しげに笑いあいながら、事務所へと歩いている処へと追い付こうと急ぎ足になった。

「北川さんも、一緒に行きましょう。少し休みましょ・・・」

そう、桐山千賀子が私に言葉を掛ける途中で、物凄い勢いで道路沿いに面して建っているフェンスをなぎ倒して、一台の軽ワゴンがフロント部分がフェンス激突時でベコベコになりながらもこちらに向かって疾走してきた。

軽ワゴンはそして、ハンドル?かタイヤがパンクしたのか急に蛇行し、勾配のある緑の芝部分!滑走路のセメントまで辿り着く前に、芝の低い部分で横転した。

その喧騒した状況の遥か後方から、多くの人々?人なのか奴らなのか分からないが、人のような群れがフェンスのお奥の奥か近付いて来るのが遠目で見えて来た。

少し離れて軽ワゴンが横転する処を見ていた佐々木ミカと二人の自衛官も何が起きたのか?

何が起きようとしているのか?

あまりの突然のことに、身体が固まっているようだった。

「早く逃げましょう。おそらく感染者です。
兎に角!・・・」

そう3人に言いながら、私は朝霞駐屯地から操縦してきたベルヘリコプターのタラップに脚を掛け搭乗しようとした。

3人は右往左往しだし、管制塔の建物横に駐車しているジープ目指して男たち自衛官が走りだした。

その何秒か遅れで、佐々木ミカも二人の男達について行く感じで追い始めた。

桐山千賀子は同じ位置で足踏み状態で、私とヘリ方向を見たり、ジープに逃げようとする3人を交互に見続けていた。

「ジープじゃ裸同然だから、直ぐに感染するから、装甲車みたいなガッチリしたので逃げろ~」

そう老婆心ながらヘリコックピットのマイクから外部スピーカーを使って、ジープに走る3人に注意した。

私がそう指示しながら、コックピット内で慌ただしくエンジンを掛けプロペラのロータリーを回し始める姿を見た桐山千賀子は、決心したかのようにベルヘリコプターへ!私の処に駆け寄って来た。

横転した軽ワゴンから男!若い感じの男が横転した上のドア部分!ドアの窓から上半身を出して必死に這い上がろうとしていたが、何回も下に引っ張られている?引き摺り下ろされ、その都度

「ギャー、ギャー」と悲痛な叫びを上げながら、脚や腰部分に掴まり、噛んでいる?長い髪を振り乱しながら男の両足に縋りつく女の姿がフロントガラスから微かに見えた。

桐山千賀子はそんな軽ワゴンの状況など見る余裕は無く、必死にタラップに掴まり、今まで女二人でタンデム状態で座っていた前の席に潜り込み座った。

3人の若手自衛官らは、早速!ジープから方向転換し、管制塔建物の裏方向に進路を変えて、後ろを何回も振り向きながら、多分、軽ワゴンの惨事?を見ながら、多分!自衛隊装甲車があるだろう方向へと全速力で走っていった。

軽ワゴンの上部に腰まで這い上がった男も、悲鳴はもはや上げては無く、力無く車内へと崩れ落ちて行った。
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