221 / 252
第8章
第262話
しおりを挟む
リアーヌさんから告げられた情報に、姉さんたちのテンションが一気に上がるのを感じる。だがドワーフたちとエルフたちの合作だと聞けば、姉さんたちの様な酒豪たちから嗜む程度の酒好きであったとしても、皆テンションが一気に上がる代物である事は間違いない。
しかし、そんな流通量の少ない貴重なお酒を、よく手に入れる事が出来たな。おっちゃんは、何時の間にそんな凄い人脈を築いていたんだろうか?もしかしてリアーヌさん本人か、リアーヌさんのご実家の伝手か何かで、今回の天星祭に合わせて手に入れる事が出来たのかもな。
「ドワーフたちとエルフたちが共同で造ったお酒って、確か市場にあまり流れる事もなくて、結構なお値段がするって聞いた事あるけど……」(リナ)
「そんな貴重な酒を幾つも買って、懐の方は大丈夫なのか?」(レイア)
「ふふふ、大丈夫よ」(リアーヌ)
姉さんたちの心配を余所に、リアーヌさんはニコニコとしている。先程まで黒字になるか不安だと言っていた人と、同じ人物とは思えない程に楽観的だ。そんなリアーヌさんがこちらに近づき、小声になってその訳を教えてくれる。
「ここだけの話なんだけれど、ドワーフさんたちとエルフさんたちが共同でお酒造りを始める時に色々と協力したのが、父さんの商会と、父さんと仲の良い商人さんたちなのよ。今回は、その付き合いから買わせてもらえたってわけ」(リアーヌ)
「それじゃあ、今回限り、今年の天星祭でしか買えないのか?」(レイア)
「そりゃあなしだぜ。ドワーフの連中の腕に、エルフの知識と魔術が掛け合わさった酒だぜ?飲む前から美味しい事が分かってる酒が、今回限りしか楽しめないなんてよ~」(モイラ)
「彼らが造るお酒は、相当な手間暇がかかっていると聞いた。そうであるのなら、量よりも質を重視するのは仕方ない」(セイン)
「寧ろ、こうして一度でも飲める機会をくれたリアーヌに感謝しなくちゃ」(ユリア)
「そうよ。私たちがするべき事は、貴重な機会をくれたリアーヌにしっかり代金を払う事よ。そうすれば、また飲ませてもらえるかもしれないわ」(リナ)
リナさん…………。確かに、生産活動には莫大な資金がいるのは間違いない。だが品物を購入した対価である代金を支払ったからといって、おっちゃんやリアーヌさんが、貴重なお酒を定期的に仕入れる事が出来るわけじゃない。それに、お酒を造っているドワーフたちやエルフたちと親交が深いのは、リアーヌさんのお父さんの方だ。今回はその付き合いから買わせてもらえた様だが、次の機会にも同じ様に買わせてもらえるかは分からないという所もある。だから、変な期待をしない方がいいと思うけど。
「皆、安心してちょうだい。天星祭が終わった後でも、父さんの商会経由で、今後も定期的に仕入れる事が出来る様になったのよ」(リアーヌ)
『!?』
「ただ、値段の方は相応に高くなっちゃうけどね。多分親父さんたちも高すぎて買えないから、今の所レイアたちか、メリオス行政府やフォルセ様の所にしか売れないけどね」(リアーヌ)
リアーヌさんからの朗報に、姉さんたちがもの凄く真剣に考え込んでいる。恐らく、今全員の脳内では、もの凄い速度で計算が行われている事だろう。何の計算かと言えば、当然ながら貴重なお酒を買うための諸々の計算だ。一日の内に稼ぐお金と使うお金の合計やプラスマイナスを算出し、何を削って何を残せばお金に余裕ができて、定期的に貴重なお酒を買い占める事が出来るのか考えているんだろう。
姉さんたちは、自分たちの武具や好きなものなどに対して、金に糸目は付けない主義だ。だが無節操に散財するのではなく、色々な物事に対して優先順位を付けてから、懐からお金を出す様にしている。一番は武具にかけるお金だが、その次は酒と料理だ。武具を除けば酒にもっともお金を使いこんでおり、もの凄い量のお酒を毎日の様に買ってきては、一日の内に飲み干してしまうのが日常の風景なのだ。
全員脳内計算が終わった様で、姉さんたちが思考の集中から戻ってくる。姉さんたちの顔には笑みが浮かんでおり、お酒を手に入れるための計算が上手く出来たみたいだ。それと同時に、店の裏に消えていたおっちゃんが、木製の箱の中に何本かの瓶のお酒を入れて戻って来た。おっちゃんは、机の上にお酒の入った箱を丁寧に置き、軽く一息吐く。姉さんたちの視線は、既に箱の中のお酒に釘付けになっている。
「ふぅ~、待たせたな。一部だが、これらが高級な酒だ」(酒屋のおっちゃん)
「……瓶の方も特注なのか」(レイア)
「やっぱり分かるか。レイアの言う通り、この高級な酒が入っている瓶には、万に一つでも落として割ったりしない様に、魔術と魔力による保護がかけられてる」(酒屋のおっちゃん)
「魔力による保護だけではなく、魔術を用いてまで保護するとは徹底しているのね」(ユリア)
「まだまだ生産量自体が少ないからこそでしょうね。聞いた話だけど、結構な衝撃でもなければ瓶が割れる事はないそうよ」(リアーヌ)
「魔術の得意なエルフならではって感じだな」(モイラ)
「貴重なお酒は一滴も無駄に出来ない。酒飲みの事をよく分かってる、素晴らしい対応」(セイン)
「それで?一本幾らくらいなの?」(リナ)
五人の中で最もお酒が大好きなリナさんが、堪え切れずにリアーヌさんに値段を聞く。聞かれたリアーヌさんは、右手をスーッと肩の高さまで上げて、指と指の間を広げる。一見すると掌を見せている様に見えるが、会話の流れから考えると……。
「瓶入りのお酒だと、一本金貨五枚ね。木の樽に入れられた方のお酒になると、一樽金貨十五枚から二十枚ね」(リアーヌ)
「樽の方で値段が変わるのは、一体なんでなんですか?」
「それは、一樽の大きさと入れる量に違いがある時の場合ね。瓶の方はほどんど規格が変わらないから、金貨五枚で統一してるみたいね」(リアーヌ)
「樽で買うお客さんは、それなりの量を買う事が出来てしまうんですか?」
「生産量が少ないと言っても、ドワーフさんやエルフさんたちにも生活があるからね。売れないと次のお酒も造れないし、生産量も上げていく事が出来ないから。そこは理解してあげてちょうだい」(リアーヌ)
「はい、分かっています」
「それで、レイアたちはどれだけ買ってくんだ?」(酒屋のおっちゃん)
「全て買うとなると、幾らぐらいになるんだ?」(レイア)
「瓶入りのお酒が十本で金貨五十枚、普通の大きさの樽入りが三つで金貨四十五枚、それから大きなの樽入りのお酒が二つで金貨四十枚。合計で、金貨百三十五枚ね」(リアーヌ)
子供が一人の三人家族、もしくは子供二人の四人家族が、メリオスで一年間普通に暮らしていくために必要な金額が、金貨二枚から三枚程となる。それを考えると、金貨百枚以上するお酒を買おうというのは、如何に贅沢な事なのかが分かる。
姉さんたちは天星祭を全力で楽しむ為に、開催される今日に向けて依頼をこなし、ダンジョンへ潜って得た素材をギルドに買い取ってもらい、結構な額のお金を貯め込んできた。毎日散財して、好きな事を楽しんできた姉さんたちがだ。だが姉さんたちが貯め込んだ額がどれだけになったのか知らないが、金貨百枚以上も持っているのだろうか?
「金貨百三十五枚ね。ちょっと待ってちょうだい」(リナ)
「どうする?全員で等分してお金を出す?」(ユリア)
「そうね。そうしましょうか」(リナ)
「一人金貨二十七枚」(セイン)
「それにしても、この店金貨百三十五枚以上も稼いでたのか?そんなに繁盛してたなんて知らなかったぜ」(モイラ)
「これでもコツコツ貯めてるのよ。それに親父さんたちやレイアたちが、毎日の様にお酒を大量に買っていってくれるからね。その事もあって、嬉しい事に一日の稼ぎは一介の酒屋にしては多いから、私たちももの凄く助かってるわ」(リアーヌ)
「それに酒屋としてだけじゃなく、普段の生活の方にも大分余裕が出来てるからな。ある日突然店が潰れてたなんて事はないから安心しろ」(酒屋のおっちゃん)
「そうか。それなら安心だ」(レイア)
「リアーヌ。金貨百三十五枚ピッタリあるはずよ。確認してもらえるかしら」(リナ)
「それじゃあ少し待っててね。直ぐに確認するから。貴方、手伝って」(リアーヌ)
「おう」(酒屋のおっちゃん)
リアーヌさんとおっちゃんが協力して、金貨を一枚一枚数を確認していく。何度か繰り返し、しっかりと百三十五枚を確認した後、おっちゃんがそのお金を袋に入れて、大事に抱えながら店の裏に消えていく。
「金貨百三十五枚、しっかりと確認出来たわ。それから樽のお酒の方は、あの人に持ってくるようにお願いしたから、直ぐに持ってきてくれるわ」(リアーヌ)
「分かった」(レイア)
店の裏から、樽を両腕で抱えたおっちゃんが現れる。樽を瓶同様気を遣いながら地面に置いてから、再び店の裏へと向かう。それを二回繰り返して、全ての樽を持ってきてくれた。
「待たせたな。こっちの三つが普通の大きさの樽で、こっちの二つが大き目の樽だな。どうする?いつも通りそのまま持って帰るか?それともこっちでレスリーの家まで送るか?」(酒屋のおっちゃん)
「いつも通り、そのまま持って帰る事にする」(レイア)
「分かった」(酒屋のおっちゃん)
「また次の仕入れの日が分かったら、皆には直ぐに教えてあげるから。まあ生産量は少ないままだから、気長に待っていてちょうだい」(リアーヌ)
「了解よ」(リナ)
姉さんたちは、ドワーフさんたちとエルフさんたちの合作である貴重なお酒を、せっせと空間拡張された鞄へと仕舞いこんでいく。その間、僅か数十秒。姉さんたちのお酒への想いの強さが良く分かる光景だ。おっちゃんは呆れた様にその光景を見て、リアーヌさんはニコニコと笑顔を浮かべてその光景を見ていた。
最後におっちゃんとリアーヌさんに一礼をしてから、姉さんたちに続いて酒屋を出る。さて、今度こそ美味しい料理やお菓子を楽しませてもらう事にしよう。
しかし、そんな流通量の少ない貴重なお酒を、よく手に入れる事が出来たな。おっちゃんは、何時の間にそんな凄い人脈を築いていたんだろうか?もしかしてリアーヌさん本人か、リアーヌさんのご実家の伝手か何かで、今回の天星祭に合わせて手に入れる事が出来たのかもな。
「ドワーフたちとエルフたちが共同で造ったお酒って、確か市場にあまり流れる事もなくて、結構なお値段がするって聞いた事あるけど……」(リナ)
「そんな貴重な酒を幾つも買って、懐の方は大丈夫なのか?」(レイア)
「ふふふ、大丈夫よ」(リアーヌ)
姉さんたちの心配を余所に、リアーヌさんはニコニコとしている。先程まで黒字になるか不安だと言っていた人と、同じ人物とは思えない程に楽観的だ。そんなリアーヌさんがこちらに近づき、小声になってその訳を教えてくれる。
「ここだけの話なんだけれど、ドワーフさんたちとエルフさんたちが共同でお酒造りを始める時に色々と協力したのが、父さんの商会と、父さんと仲の良い商人さんたちなのよ。今回は、その付き合いから買わせてもらえたってわけ」(リアーヌ)
「それじゃあ、今回限り、今年の天星祭でしか買えないのか?」(レイア)
「そりゃあなしだぜ。ドワーフの連中の腕に、エルフの知識と魔術が掛け合わさった酒だぜ?飲む前から美味しい事が分かってる酒が、今回限りしか楽しめないなんてよ~」(モイラ)
「彼らが造るお酒は、相当な手間暇がかかっていると聞いた。そうであるのなら、量よりも質を重視するのは仕方ない」(セイン)
「寧ろ、こうして一度でも飲める機会をくれたリアーヌに感謝しなくちゃ」(ユリア)
「そうよ。私たちがするべき事は、貴重な機会をくれたリアーヌにしっかり代金を払う事よ。そうすれば、また飲ませてもらえるかもしれないわ」(リナ)
リナさん…………。確かに、生産活動には莫大な資金がいるのは間違いない。だが品物を購入した対価である代金を支払ったからといって、おっちゃんやリアーヌさんが、貴重なお酒を定期的に仕入れる事が出来るわけじゃない。それに、お酒を造っているドワーフたちやエルフたちと親交が深いのは、リアーヌさんのお父さんの方だ。今回はその付き合いから買わせてもらえた様だが、次の機会にも同じ様に買わせてもらえるかは分からないという所もある。だから、変な期待をしない方がいいと思うけど。
「皆、安心してちょうだい。天星祭が終わった後でも、父さんの商会経由で、今後も定期的に仕入れる事が出来る様になったのよ」(リアーヌ)
『!?』
「ただ、値段の方は相応に高くなっちゃうけどね。多分親父さんたちも高すぎて買えないから、今の所レイアたちか、メリオス行政府やフォルセ様の所にしか売れないけどね」(リアーヌ)
リアーヌさんからの朗報に、姉さんたちがもの凄く真剣に考え込んでいる。恐らく、今全員の脳内では、もの凄い速度で計算が行われている事だろう。何の計算かと言えば、当然ながら貴重なお酒を買うための諸々の計算だ。一日の内に稼ぐお金と使うお金の合計やプラスマイナスを算出し、何を削って何を残せばお金に余裕ができて、定期的に貴重なお酒を買い占める事が出来るのか考えているんだろう。
姉さんたちは、自分たちの武具や好きなものなどに対して、金に糸目は付けない主義だ。だが無節操に散財するのではなく、色々な物事に対して優先順位を付けてから、懐からお金を出す様にしている。一番は武具にかけるお金だが、その次は酒と料理だ。武具を除けば酒にもっともお金を使いこんでおり、もの凄い量のお酒を毎日の様に買ってきては、一日の内に飲み干してしまうのが日常の風景なのだ。
全員脳内計算が終わった様で、姉さんたちが思考の集中から戻ってくる。姉さんたちの顔には笑みが浮かんでおり、お酒を手に入れるための計算が上手く出来たみたいだ。それと同時に、店の裏に消えていたおっちゃんが、木製の箱の中に何本かの瓶のお酒を入れて戻って来た。おっちゃんは、机の上にお酒の入った箱を丁寧に置き、軽く一息吐く。姉さんたちの視線は、既に箱の中のお酒に釘付けになっている。
「ふぅ~、待たせたな。一部だが、これらが高級な酒だ」(酒屋のおっちゃん)
「……瓶の方も特注なのか」(レイア)
「やっぱり分かるか。レイアの言う通り、この高級な酒が入っている瓶には、万に一つでも落として割ったりしない様に、魔術と魔力による保護がかけられてる」(酒屋のおっちゃん)
「魔力による保護だけではなく、魔術を用いてまで保護するとは徹底しているのね」(ユリア)
「まだまだ生産量自体が少ないからこそでしょうね。聞いた話だけど、結構な衝撃でもなければ瓶が割れる事はないそうよ」(リアーヌ)
「魔術の得意なエルフならではって感じだな」(モイラ)
「貴重なお酒は一滴も無駄に出来ない。酒飲みの事をよく分かってる、素晴らしい対応」(セイン)
「それで?一本幾らくらいなの?」(リナ)
五人の中で最もお酒が大好きなリナさんが、堪え切れずにリアーヌさんに値段を聞く。聞かれたリアーヌさんは、右手をスーッと肩の高さまで上げて、指と指の間を広げる。一見すると掌を見せている様に見えるが、会話の流れから考えると……。
「瓶入りのお酒だと、一本金貨五枚ね。木の樽に入れられた方のお酒になると、一樽金貨十五枚から二十枚ね」(リアーヌ)
「樽の方で値段が変わるのは、一体なんでなんですか?」
「それは、一樽の大きさと入れる量に違いがある時の場合ね。瓶の方はほどんど規格が変わらないから、金貨五枚で統一してるみたいね」(リアーヌ)
「樽で買うお客さんは、それなりの量を買う事が出来てしまうんですか?」
「生産量が少ないと言っても、ドワーフさんやエルフさんたちにも生活があるからね。売れないと次のお酒も造れないし、生産量も上げていく事が出来ないから。そこは理解してあげてちょうだい」(リアーヌ)
「はい、分かっています」
「それで、レイアたちはどれだけ買ってくんだ?」(酒屋のおっちゃん)
「全て買うとなると、幾らぐらいになるんだ?」(レイア)
「瓶入りのお酒が十本で金貨五十枚、普通の大きさの樽入りが三つで金貨四十五枚、それから大きなの樽入りのお酒が二つで金貨四十枚。合計で、金貨百三十五枚ね」(リアーヌ)
子供が一人の三人家族、もしくは子供二人の四人家族が、メリオスで一年間普通に暮らしていくために必要な金額が、金貨二枚から三枚程となる。それを考えると、金貨百枚以上するお酒を買おうというのは、如何に贅沢な事なのかが分かる。
姉さんたちは天星祭を全力で楽しむ為に、開催される今日に向けて依頼をこなし、ダンジョンへ潜って得た素材をギルドに買い取ってもらい、結構な額のお金を貯め込んできた。毎日散財して、好きな事を楽しんできた姉さんたちがだ。だが姉さんたちが貯め込んだ額がどれだけになったのか知らないが、金貨百枚以上も持っているのだろうか?
「金貨百三十五枚ね。ちょっと待ってちょうだい」(リナ)
「どうする?全員で等分してお金を出す?」(ユリア)
「そうね。そうしましょうか」(リナ)
「一人金貨二十七枚」(セイン)
「それにしても、この店金貨百三十五枚以上も稼いでたのか?そんなに繁盛してたなんて知らなかったぜ」(モイラ)
「これでもコツコツ貯めてるのよ。それに親父さんたちやレイアたちが、毎日の様にお酒を大量に買っていってくれるからね。その事もあって、嬉しい事に一日の稼ぎは一介の酒屋にしては多いから、私たちももの凄く助かってるわ」(リアーヌ)
「それに酒屋としてだけじゃなく、普段の生活の方にも大分余裕が出来てるからな。ある日突然店が潰れてたなんて事はないから安心しろ」(酒屋のおっちゃん)
「そうか。それなら安心だ」(レイア)
「リアーヌ。金貨百三十五枚ピッタリあるはずよ。確認してもらえるかしら」(リナ)
「それじゃあ少し待っててね。直ぐに確認するから。貴方、手伝って」(リアーヌ)
「おう」(酒屋のおっちゃん)
リアーヌさんとおっちゃんが協力して、金貨を一枚一枚数を確認していく。何度か繰り返し、しっかりと百三十五枚を確認した後、おっちゃんがそのお金を袋に入れて、大事に抱えながら店の裏に消えていく。
「金貨百三十五枚、しっかりと確認出来たわ。それから樽のお酒の方は、あの人に持ってくるようにお願いしたから、直ぐに持ってきてくれるわ」(リアーヌ)
「分かった」(レイア)
店の裏から、樽を両腕で抱えたおっちゃんが現れる。樽を瓶同様気を遣いながら地面に置いてから、再び店の裏へと向かう。それを二回繰り返して、全ての樽を持ってきてくれた。
「待たせたな。こっちの三つが普通の大きさの樽で、こっちの二つが大き目の樽だな。どうする?いつも通りそのまま持って帰るか?それともこっちでレスリーの家まで送るか?」(酒屋のおっちゃん)
「いつも通り、そのまま持って帰る事にする」(レイア)
「分かった」(酒屋のおっちゃん)
「また次の仕入れの日が分かったら、皆には直ぐに教えてあげるから。まあ生産量は少ないままだから、気長に待っていてちょうだい」(リアーヌ)
「了解よ」(リナ)
姉さんたちは、ドワーフさんたちとエルフさんたちの合作である貴重なお酒を、せっせと空間拡張された鞄へと仕舞いこんでいく。その間、僅か数十秒。姉さんたちのお酒への想いの強さが良く分かる光景だ。おっちゃんは呆れた様にその光景を見て、リアーヌさんはニコニコと笑顔を浮かべてその光景を見ていた。
最後におっちゃんとリアーヌさんに一礼をしてから、姉さんたちに続いて酒屋を出る。さて、今度こそ美味しい料理やお菓子を楽しませてもらう事にしよう。
0
お気に入りに追加
3,126
あなたにおすすめの小説
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。