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第8章
第236話
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「あ、お兄さんだ!!お帰りなさい!!」(クトリ)
「ホントだ!!お帰り~!!」(ロッシ)
「カイル兄ちゃんだ~!!わ~い!!」(マニーニャ)
『主様!!お帰りなさいませ!!』(リベルタ)
『主だ~!!帰ってきたんだ~!!』(フェデルタ)
孤児院の庭へと姿を見せた俺に向かって、子供たちやスライムアニマルたちが集まってくる。皆笑顔を浮かべて駆け寄ってくれるので、俺も自然と頬が緩み笑顔になって、その場にしゃがんで子供たちやスライムアニマルたちを迎える。次々と俺の身体に飛びついてくる子供たちや、肩や頭の上に乗ってくる猫・犬・鳥型のスライムアニマルたち。そんな子供たちやスライムアニマルたち一人一人の頭を、ゆっくりと丁寧に撫でていく。
最初に俺の身体に飛びついてきた子供たちや、肩や頭に乗っていたスライムアニマルたちは、俺に頭を撫でられると、次の子供たちやスライムアニマルたちに場所を譲っていく。そして、子供たちやスライムアニマルたちの見事な連携によって、短時間で全員の頭を撫で終わる。
「皆ただいま、良い子にしていたか?」
『うん!!』(子供たち)
『してた~!!』(スライムアニマルたち)
俺の問いかけに対して、子供たちもスライムアニマルたちも、元気一杯に返事を返してくれる。とりあえず、どの子たちも見た目的には元気そうなので一安心する。さらに、念の為に魔術も使って子供たちの健康状態を確認していくが、どの子も健康という結果が出てくれた。
子供たちの健康を確認できたので、次はスライムアニマルたちの状態を確認していく。実際に両手でスライムアニマルたちの身体を触っての健診と、スライムアニマルたちの心臓とも言ってもいい核である魔石の状態を、魔術を使って注意深く健診していく。
〈目立つような傷もないし、性質を変化させた水にも異常はなし。全員、水の身体の方は特に問題はなしだな。核である魔石の方も、魔石自体や付与した術式に傷一つなしか。うん、スライムアニマルたちの方も一切問題なしだな〉
「お兄さん、皆はどうだった?どこか悪い所とかあった?」(クトリ)
クトリちゃんが不安そうに聞いてくる。他の子供たちもクトリちゃんと同じ様に不安そうにしながら、スライムアニマルたちの健診結果を待っている。俺は子供たちを安心させるためにも、笑顔を浮かべながら健診結果を答えてあげる。
「全然大丈夫。水の身体にも、魔石の方にも一切問題はないよ。皆元気一杯な健康体だよ」
「そうなんだ!!良かった!!皆健康だって!!」(クトリ)
クトリちゃんの歓喜の声に、他の子供たちの不安が吹き飛んで、大きな声で喜んでいく。そして大喜びの子供たちは、そのままスライムアニマルたちに駆け寄って抱き着いていく。そんな子供たちとスライムアニマルの触れ合いの様子を、シスターたちが微笑ましく見ている。
「カイルさん、帰っていらしたんですね」(エマ)
「エマさん、お久しぶりです。昨日、シュターデル獣王国から帰ってきました」
「それで、これは一体?」(エマ)
エマさんは、子供たちとスライムアニマルたちのいつもよりもテンションの高いスキンシップに、何があったのかと困惑している。俺は今までの流れを、エマさんに分かりやすく説明していく。エマさんは俺の説明に納得すると同時に、子供たちのテンションの高さに理解を示す。
「クトリたちも私たちも、ミストラルやリベルタたちが元気なのかどうかを判断できませんから。なのでカイルさんがメリオスから離れている間、ミストラルたちに異変が起きていないかどうか、皆もの凄く心配してたんですよ」(エマ)
「う~ん、やっぱりそうですよね。でも術式が誰かに見られてしまう可能性を考えてしまうと、今の状態が俺としても安心するんですよね」
「はい、それは私たちも子供たちも分かっています。ミストラルたちは、カイルさんが善意から生み出してくれた存在ですから。ですので、それ以上の事は望んでいません。それに、自らが一から構築した独自の魔術術式を秘匿するのは、魔術師としては当然の事ですから」(エマ)
エマさんが真剣な表情をしながら、ハッキリとそう断言する。確かにエマさんの言う通り、世の中の魔術師たちの一般的な常識としては、自分で構築したオリジナルの魔術を他人に知られる事をよしとはしない。それと同じく、他人が一から構築したオリジナルの術式について、安易に探ったり暴こうとはしないのも一般的な常識だ。
そんなオリジナルの魔術を構築して生み出した魔術師は、死ぬまでその魔術の内容を秘匿するか、自分の家族にのみ相伝させていく。
ただ、そういった魔術を再現するために、自分で一から術式を構築する事を咎められる事はあまりない。魔術師たちが最も嫌っている行為は、他人が一から構築して生み出したオリジナルの魔術を、そのまま丸パクリして使用する事だ。自分は何の努力も積み重ねもしていないのにも関わらず、他人の成果や努力の結晶を掠め取って自分のものにしてしまうのは、魔術師ではなく盗賊の行いだ。
「子供たちにも、そう言った所はしっかりと言い聞かせてありますから。カイルさんも、子供たちの為にと気を遣い過ぎないでください。今日の様に孤児院や教会へと定期的に訪れてくれて、子供たちやミストラルたちを健診してくれるだけでも、私たちからしてみれば十分ありがたい事ですから」(エマ)
「分かりました。でもミストラルたちに異変が起きたなら、直ぐに俺を呼んでくださいね。メリオスや帝国内にいる時には直ぐにでも駆けつけますし、他国にいた場合でも、帰ってきてから直ぐに対処しますから」
「はい、分かりました」(エマ)
「それともし本当に異変が起きた時なんですが、ミストラルたちに下手に触れる事をせずに、そのままの状態を維持しておいてください。友達が苦しんでいる姿を見て、何かをしてあげたいという気持ちになるのは俺にも十分理解できます。ですが異変が起きてからの状態が変化してしまうと、何が原因なのかが分からなくなってしまう可能性もあります。そうなると、ミストラルたちを完全に元に戻す事が出来なくなるかもしれません。それだけは子供たちの為にも避けなければいけません」
俺が真剣な顔でエマさんにそう言うと、エマさんも真剣な顔に変わり頷いてくれる。だが俺の伝えた、最悪の場合ミストラルたちが元に戻らないかもしれないという言葉が影響しているのか、エマさんの顔色は少々悪くなっている。
「分かりました、子供たちにもその事は徹底させておきます」(エマ)
「お願いします。…………それじゃあ、真剣な話はここまでにしましょうか。皆さんの様子を見にきたのもあるんですが、皆さんに聞きたい事がありまして」
「聞きたい事ですか?」(エマ)
「ええ実はですね…………」
エマさんに天星祭が開催されている期間、子供たちやミストラル、それにエマさんたちがどうすのかを確認するために質問していく。冒険者ギルドでは催し物をするみたいだし、宗教関係の人たちも何かしらの催し物を行うかもしれないしな。
色々と話を聞いていくが、どうやら予想通り、各宗派でそれぞれ天星祭での催し物を行うそうだ。ダモナ神を信仰している宗派であるエマさんたちも、毎年天星祭が開催されている期間中は、教会を訪れた人たちに渡すクッキーなどを作ったり、訪れる病人たちに回復魔術をかけてあげたり、子供たちと一緒に聖歌を歌ったりと中々の忙しさとの事。
「カイルさん、こちらからもお願いしたい事がありまして。そのお願いは私たちだけのものではなく、他の宗派の者たちも同じ思いを抱いていまして……」(エマ)
「もしかして、ミストラルたち、スライムアニマルたちについての事ですか?」
「……はい、そうなんです。天星祭が開催されている期間中、教会を訪れた人々がミストラルたちと触れ合う事や、子供たちが外出する際に護衛として一緒に外出してもらいたいと考えています。どうか、許可をいただけないでしょうか?」(エマ)
「ホントだ!!お帰り~!!」(ロッシ)
「カイル兄ちゃんだ~!!わ~い!!」(マニーニャ)
『主様!!お帰りなさいませ!!』(リベルタ)
『主だ~!!帰ってきたんだ~!!』(フェデルタ)
孤児院の庭へと姿を見せた俺に向かって、子供たちやスライムアニマルたちが集まってくる。皆笑顔を浮かべて駆け寄ってくれるので、俺も自然と頬が緩み笑顔になって、その場にしゃがんで子供たちやスライムアニマルたちを迎える。次々と俺の身体に飛びついてくる子供たちや、肩や頭の上に乗ってくる猫・犬・鳥型のスライムアニマルたち。そんな子供たちやスライムアニマルたち一人一人の頭を、ゆっくりと丁寧に撫でていく。
最初に俺の身体に飛びついてきた子供たちや、肩や頭に乗っていたスライムアニマルたちは、俺に頭を撫でられると、次の子供たちやスライムアニマルたちに場所を譲っていく。そして、子供たちやスライムアニマルたちの見事な連携によって、短時間で全員の頭を撫で終わる。
「皆ただいま、良い子にしていたか?」
『うん!!』(子供たち)
『してた~!!』(スライムアニマルたち)
俺の問いかけに対して、子供たちもスライムアニマルたちも、元気一杯に返事を返してくれる。とりあえず、どの子たちも見た目的には元気そうなので一安心する。さらに、念の為に魔術も使って子供たちの健康状態を確認していくが、どの子も健康という結果が出てくれた。
子供たちの健康を確認できたので、次はスライムアニマルたちの状態を確認していく。実際に両手でスライムアニマルたちの身体を触っての健診と、スライムアニマルたちの心臓とも言ってもいい核である魔石の状態を、魔術を使って注意深く健診していく。
〈目立つような傷もないし、性質を変化させた水にも異常はなし。全員、水の身体の方は特に問題はなしだな。核である魔石の方も、魔石自体や付与した術式に傷一つなしか。うん、スライムアニマルたちの方も一切問題なしだな〉
「お兄さん、皆はどうだった?どこか悪い所とかあった?」(クトリ)
クトリちゃんが不安そうに聞いてくる。他の子供たちもクトリちゃんと同じ様に不安そうにしながら、スライムアニマルたちの健診結果を待っている。俺は子供たちを安心させるためにも、笑顔を浮かべながら健診結果を答えてあげる。
「全然大丈夫。水の身体にも、魔石の方にも一切問題はないよ。皆元気一杯な健康体だよ」
「そうなんだ!!良かった!!皆健康だって!!」(クトリ)
クトリちゃんの歓喜の声に、他の子供たちの不安が吹き飛んで、大きな声で喜んでいく。そして大喜びの子供たちは、そのままスライムアニマルたちに駆け寄って抱き着いていく。そんな子供たちとスライムアニマルの触れ合いの様子を、シスターたちが微笑ましく見ている。
「カイルさん、帰っていらしたんですね」(エマ)
「エマさん、お久しぶりです。昨日、シュターデル獣王国から帰ってきました」
「それで、これは一体?」(エマ)
エマさんは、子供たちとスライムアニマルたちのいつもよりもテンションの高いスキンシップに、何があったのかと困惑している。俺は今までの流れを、エマさんに分かりやすく説明していく。エマさんは俺の説明に納得すると同時に、子供たちのテンションの高さに理解を示す。
「クトリたちも私たちも、ミストラルやリベルタたちが元気なのかどうかを判断できませんから。なのでカイルさんがメリオスから離れている間、ミストラルたちに異変が起きていないかどうか、皆もの凄く心配してたんですよ」(エマ)
「う~ん、やっぱりそうですよね。でも術式が誰かに見られてしまう可能性を考えてしまうと、今の状態が俺としても安心するんですよね」
「はい、それは私たちも子供たちも分かっています。ミストラルたちは、カイルさんが善意から生み出してくれた存在ですから。ですので、それ以上の事は望んでいません。それに、自らが一から構築した独自の魔術術式を秘匿するのは、魔術師としては当然の事ですから」(エマ)
エマさんが真剣な表情をしながら、ハッキリとそう断言する。確かにエマさんの言う通り、世の中の魔術師たちの一般的な常識としては、自分で構築したオリジナルの魔術を他人に知られる事をよしとはしない。それと同じく、他人が一から構築したオリジナルの術式について、安易に探ったり暴こうとはしないのも一般的な常識だ。
そんなオリジナルの魔術を構築して生み出した魔術師は、死ぬまでその魔術の内容を秘匿するか、自分の家族にのみ相伝させていく。
ただ、そういった魔術を再現するために、自分で一から術式を構築する事を咎められる事はあまりない。魔術師たちが最も嫌っている行為は、他人が一から構築して生み出したオリジナルの魔術を、そのまま丸パクリして使用する事だ。自分は何の努力も積み重ねもしていないのにも関わらず、他人の成果や努力の結晶を掠め取って自分のものにしてしまうのは、魔術師ではなく盗賊の行いだ。
「子供たちにも、そう言った所はしっかりと言い聞かせてありますから。カイルさんも、子供たちの為にと気を遣い過ぎないでください。今日の様に孤児院や教会へと定期的に訪れてくれて、子供たちやミストラルたちを健診してくれるだけでも、私たちからしてみれば十分ありがたい事ですから」(エマ)
「分かりました。でもミストラルたちに異変が起きたなら、直ぐに俺を呼んでくださいね。メリオスや帝国内にいる時には直ぐにでも駆けつけますし、他国にいた場合でも、帰ってきてから直ぐに対処しますから」
「はい、分かりました」(エマ)
「それともし本当に異変が起きた時なんですが、ミストラルたちに下手に触れる事をせずに、そのままの状態を維持しておいてください。友達が苦しんでいる姿を見て、何かをしてあげたいという気持ちになるのは俺にも十分理解できます。ですが異変が起きてからの状態が変化してしまうと、何が原因なのかが分からなくなってしまう可能性もあります。そうなると、ミストラルたちを完全に元に戻す事が出来なくなるかもしれません。それだけは子供たちの為にも避けなければいけません」
俺が真剣な顔でエマさんにそう言うと、エマさんも真剣な顔に変わり頷いてくれる。だが俺の伝えた、最悪の場合ミストラルたちが元に戻らないかもしれないという言葉が影響しているのか、エマさんの顔色は少々悪くなっている。
「分かりました、子供たちにもその事は徹底させておきます」(エマ)
「お願いします。…………それじゃあ、真剣な話はここまでにしましょうか。皆さんの様子を見にきたのもあるんですが、皆さんに聞きたい事がありまして」
「聞きたい事ですか?」(エマ)
「ええ実はですね…………」
エマさんに天星祭が開催されている期間、子供たちやミストラル、それにエマさんたちがどうすのかを確認するために質問していく。冒険者ギルドでは催し物をするみたいだし、宗教関係の人たちも何かしらの催し物を行うかもしれないしな。
色々と話を聞いていくが、どうやら予想通り、各宗派でそれぞれ天星祭での催し物を行うそうだ。ダモナ神を信仰している宗派であるエマさんたちも、毎年天星祭が開催されている期間中は、教会を訪れた人たちに渡すクッキーなどを作ったり、訪れる病人たちに回復魔術をかけてあげたり、子供たちと一緒に聖歌を歌ったりと中々の忙しさとの事。
「カイルさん、こちらからもお願いしたい事がありまして。そのお願いは私たちだけのものではなく、他の宗派の者たちも同じ思いを抱いていまして……」(エマ)
「もしかして、ミストラルたち、スライムアニマルたちについての事ですか?」
「……はい、そうなんです。天星祭が開催されている期間中、教会を訪れた人々がミストラルたちと触れ合う事や、子供たちが外出する際に護衛として一緒に外出してもらいたいと考えています。どうか、許可をいただけないでしょうか?」(エマ)
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