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第1章
第三話
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活火山の頂上付近を縄張りにしている、ガロさんやマレナさんたちが住んでいる山村の集落を訪れてから、四日程経った。その四日間の間、ガロさんとマレナさんの家に泊めてもらい、この山村に住んでいる妖精や精霊と親交を深めていった。その中で、サラマンダーや、イフリートやイフリータの日々の生活の様子や、活火山で暮らしてきた長い歴史などを教わった。かつての時代での、種族関係なく仲良くしていた頃の話から、昔の喧嘩などでどの様に勝ったのかを、誇らしげに語ってくれる者もいた。
その流れの中で、戦闘などに役立つ火の魔法などを教えてもらったし、堕ちた火の妖精や精霊と対峙した時の、戦闘での立ち回り方なども教えてもらった。
「次は、人族の所に向かうのか?」
「はい、そうするつもりです。特殊な混血ですけど、猫の獣人にしか見えない様にしていますから。それに、人の町や国を見て回るのも、一つの勉強だと思いますので」
「そうね。この先シャルルがどう生きる事になっても、見聞きした事や経験した事は無駄にはならないわ。ただ、どんな場所でも、身分や種族を気にする者がいることは忘れてはダメよ」
「はい、分かってます。………では、数日間お世話になりました。また遊びに来ます」
「おう、待ってるよ」
「何時でもいらっしゃい。私たちは、どんな時だって歓迎するわ」
山村に住む皆に見送られながら、最後に一礼して、山村に展開されている結界を抜けて下山を始める。
活火山を登っている時と同様に、気配を周囲に溶け込ませて移動する。今日も今日とて、魔物や魔獣の生存競争が所々で起こっているようで、魔力の高まりをそこかしこで感じる。
そんな魔境の様な活火山を下山し、麓に近い位置にある、フレグレイ王国に所属するベズビオという町の、城壁の門の近くまできた。その時、二つの魔力が複数の魔力に囲まれているのを感知する。さらに、下位の妖精たちが周囲に現れて、その二つの魔力の存在を助けてほしそうに、俺に語りかけてくる。
『追われてるよ』
『噛みつかれちゃうよ』
『幼い兄妹』
『狼の群れ』
『助けてあげて』
妖精たちが、矢継ぎ早に伝えてくる。どうやら、追われている二つの魔力の存在は、妖精や精霊に好まれるような、純粋な者の様だ。俺は下位の妖精たちの頼みに応える為に、生命エネルギーである氣を丹田に集中し、凝縮・活性化させる。そして、内丹を練り上げ、自らの精神と肉体を強化する。
先程までとは違い、余計な邪魔が入らないように、膨大な氣でもって周囲一体を威圧しておく。周囲の魔物や魔獣たちは俺の氣を感じ取り、ジッと息を殺して通りすぎるのを待ったり、我先にと一目散に逃げ出していく。
俺が、幼い兄妹の元にたどり着いたと同時に、狼の群れの一匹が妹に飛びかかり、口を大きく開けて鋭い牙で噛みつこうとする。
(させるか!!)
加速した勢いのまま、トンッと地面から空中に飛び上がり、右腕に氣を纏わせて強化し、落下と共に狼の脳天に拳を振り下ろす。
「…………!!」
振り下ろした右拳をモロに受けた狼は、声をあげる事もなく頭蓋骨が粉砕され、脳を破壊された事で即死する。そのまま地面に激突し、地面にクモの巣状の罅を作り出す。後に続こうとした狼たちが俺の存在を認識し、勢いを殺しながら動きを止め、俺の動きに対応出来るようにと警戒態勢をとる。そこから、半円を形作るように広がり、俺と兄妹を包囲しようとする。
俺はさらに氣を高め、内丹をさらに練り上げる事で、狼たちを威圧する。だが狼たちは威圧されながらも、魔獣としての矜持があるようで、一歩も退く事なく、唸り声を上げて俺を威嚇する。だから俺も、それに応える様に、精神や感覚を研ぎ澄ませていく。幼い兄妹は、突如乱入した俺という存在や、一撃で倒された狼など、目まぐるしく変わる状況についていけずに、戸惑った様子でいる。だが兄として妹を守ろうとしているのか、震える身体に鞭打って、必死で妹を背に隠している。
「すぐに終わらせるから。そこから動かないでくれ」
幼い兄妹にそう言って、兄妹を守るように仙法で結界を展開し、狼たちが二人を狙っても大丈夫な様に対策しておく。幼い兄妹が不用意に動くことがない様に、結界を視認できる様にしておき、守っている事を分かりやすくしておく事も忘れない。幼い兄妹が、展開された結界と俺を交互に見ている。一応は、守られていると理解してくれたのか、その場でジッとしてくれている。
俺は、腰に差しているサーベルを抜き放つ。リラックスした状態で、自然体なままで狼と対峙する。刀身に氣を纏わせて強化し、こちらから仕掛ける。
「アオーン!!」
狼の群れの中にいる、一回り身体の大きい赤い毛並みの狼が、迫る俺に対応するように遠吠えを響かせて、仲間たちに指示を出した様だ。灰色の毛並みの狼たちが、群れのリーダーの指示に従って迎撃を開始する。麓とはいえ、この魔境の様な環境で生きてきた魔獣たちだ。修行中・鍛練中に遭遇した狼の魔獣たちと比べても、高度で綿密な連携に、魔力や魔法の扱いも比較にならない程だ。
狼たちは、魔力による身体強化に、牙や爪にも魔力を纏わせて強化する。俺はそんな狼たちを気にする事なく、群れのリーダーである赤い毛並みの狼の魔獣に向かって、さらに速度を上げて真っ直ぐに駆ける。
周囲三百六十度から、狼たちが次々と襲いかかってくる。牙での噛みつきや爪での斬撃、さらには、口から魔力弾を放ってくる。それら全てを体術とサーベルで対処し、速度を落とす事なく、赤い毛並みの狼へ迫る。
「ウォン!!」
赤い毛並みの狼の短く吠えた声に反応し、赤い毛並みの狼の奥の茂みから、灰色の狼たちが大量に現れる。どうやら先程の遠吠えは、指示であると同時に、周囲にいる仲間をここに呼び寄せるためのものだった様だ。赤い毛並みの狼が、跳躍して俺から距離を取る。
『そんなに簡単には、大将はとらせてくれないか』
赤い毛並みの狼は高みの見物をする様で、ただジッとそこに立っており、自分からは動く気はない様だ。
『周囲の狼たちを倒さない限りは、状況は変わらないか』
狼たちが再び動き出す。そこに増援で来た狼たちも加わり、積極的に仕掛けてくる。俺も全身に氣を纏わせていき、身体機能を向上させ、目には見えない氣の鎧を形成する。噛みついてきた狼の牙や、斬撃を繰り出す爪を氣の鎧が弾き、無力化していく。そこに、サーベルでの一振りを繰り出し狼を斬り裂き、内丹と氣で強化された拳と蹴りを放ち、狼たちの肉体を破壊していく。
増援を含めると三十体以上いた狼たちが、俺の周囲に倒れている。既に狼たちの命はなく、どの個体もピクリとも動く事はない。
「…………!!」
倒れ伏す狼たちの姿を見て、赤い毛並みの狼が、魂の叫びとも言える様な、言葉にならない咆哮を上げる。その咆哮は空気を震わせて、衝撃波が俺を襲う。
「…………ハッ!!」
俺も、練り上げた氣を周囲に放ち、赤い毛並みの狼の、咆哮による衝撃波を相殺する。そこから両者、無音の世界を作り出す。
「…………!!」
「…………!!」
動き出したのは、両者同時。俺は氣の質と密度を上げて、より頑丈な氣の鎧に強化する。赤い毛並みの狼は、灰色の狼たちと同じように身体強化をし、爪や牙にも魔力を纏わせて強化する。違う点があるとするならば、その魔力は、炎のような真っ赤な赤色をしている所だろう。
「ウォン!!」
赤い毛並みの狼が吠えると、その真っ赤な魔力が変質していく。
「火の魔法か」
狼の爪や牙に纏わせていた赤色の魔力が、炎に変わる。そして、赤い毛並みの狼の全身の毛が、まるで燃え上がっているかのようにユラユラと揺らめき、高密度の魔力を放つ。さらに、その毛並みから発せられる熱によって周りの気温が上昇し、空気が急速に乾燥していく。
赤い毛並みの狼は、超高熱の塊となって高速で移動し、炎を纏った爪を振るい、牙で噛みついてくる。そして極めつけに、圧縮された超高熱の炎弾を放ってくる。それらを、灰色の狼たちとの戦闘と同じ様に、体術とサーベルで対処していく。
さらに、周囲の木々を足場にして加速し、三次元での動きを足してくる。赤い毛並みの狼が足場にした木々も、炎弾が着弾した箇所も炎が燃え移り、だんだんと広がっていく。俺は広範囲の結界を展開し、結界の範囲外には燃え移らない様に対処する。
これ以上長引かせると、幼い兄妹たちにどのような影響が出るか分からないので、次で仕留める。サーベルの刃に纏わせている氣の性質を変化させ、風の氣に変質させる。そして、それを示すかの様に、無色の氣から緑色の氣に変化する。赤い毛並みの狼も、全力全開で魔力を練り上げて、自身の全てを強化する。そして、その身体を炎の弾丸に見立てて、最高速で突っ込んでくる。その速度と炎の相乗効果で、触れただけで消し炭になってしまうだろう。
俺は、迫りくる赤く燃え上がる狼の真っ正面に立ち、サーベルの柄を両手で持って、真上に振り上げる。そして最後の仕上げに、サーベルの刀身に纏わせていた風の氣を、一気に凝縮させる。すると、凝縮された風の氣は洗練され、刀身を沿う様に緑のオーラとなる。
そして、サーベルを振り下ろす。
「〈風迅〉」
燃え盛る赤い毛並みの狼の身体の炎が、一瞬で消え去る。徐々に、赤い毛並みの狼の速度が落ちていく。そして、俺の眼前で完全に動きが止まり、ゆっくりと縦に真っ二つになり、左右に分かれていく。
サーベルを血振《ちぶ》りし、鞘に納刀する。狼たちの死体を影の空間倉庫に収納し、漁夫の利を狙う魔物や魔獣を氣で威圧して近づけない様にしつつ、幼い兄妹の元に向かう。
その流れの中で、戦闘などに役立つ火の魔法などを教えてもらったし、堕ちた火の妖精や精霊と対峙した時の、戦闘での立ち回り方なども教えてもらった。
「次は、人族の所に向かうのか?」
「はい、そうするつもりです。特殊な混血ですけど、猫の獣人にしか見えない様にしていますから。それに、人の町や国を見て回るのも、一つの勉強だと思いますので」
「そうね。この先シャルルがどう生きる事になっても、見聞きした事や経験した事は無駄にはならないわ。ただ、どんな場所でも、身分や種族を気にする者がいることは忘れてはダメよ」
「はい、分かってます。………では、数日間お世話になりました。また遊びに来ます」
「おう、待ってるよ」
「何時でもいらっしゃい。私たちは、どんな時だって歓迎するわ」
山村に住む皆に見送られながら、最後に一礼して、山村に展開されている結界を抜けて下山を始める。
活火山を登っている時と同様に、気配を周囲に溶け込ませて移動する。今日も今日とて、魔物や魔獣の生存競争が所々で起こっているようで、魔力の高まりをそこかしこで感じる。
そんな魔境の様な活火山を下山し、麓に近い位置にある、フレグレイ王国に所属するベズビオという町の、城壁の門の近くまできた。その時、二つの魔力が複数の魔力に囲まれているのを感知する。さらに、下位の妖精たちが周囲に現れて、その二つの魔力の存在を助けてほしそうに、俺に語りかけてくる。
『追われてるよ』
『噛みつかれちゃうよ』
『幼い兄妹』
『狼の群れ』
『助けてあげて』
妖精たちが、矢継ぎ早に伝えてくる。どうやら、追われている二つの魔力の存在は、妖精や精霊に好まれるような、純粋な者の様だ。俺は下位の妖精たちの頼みに応える為に、生命エネルギーである氣を丹田に集中し、凝縮・活性化させる。そして、内丹を練り上げ、自らの精神と肉体を強化する。
先程までとは違い、余計な邪魔が入らないように、膨大な氣でもって周囲一体を威圧しておく。周囲の魔物や魔獣たちは俺の氣を感じ取り、ジッと息を殺して通りすぎるのを待ったり、我先にと一目散に逃げ出していく。
俺が、幼い兄妹の元にたどり着いたと同時に、狼の群れの一匹が妹に飛びかかり、口を大きく開けて鋭い牙で噛みつこうとする。
(させるか!!)
加速した勢いのまま、トンッと地面から空中に飛び上がり、右腕に氣を纏わせて強化し、落下と共に狼の脳天に拳を振り下ろす。
「…………!!」
振り下ろした右拳をモロに受けた狼は、声をあげる事もなく頭蓋骨が粉砕され、脳を破壊された事で即死する。そのまま地面に激突し、地面にクモの巣状の罅を作り出す。後に続こうとした狼たちが俺の存在を認識し、勢いを殺しながら動きを止め、俺の動きに対応出来るようにと警戒態勢をとる。そこから、半円を形作るように広がり、俺と兄妹を包囲しようとする。
俺はさらに氣を高め、内丹をさらに練り上げる事で、狼たちを威圧する。だが狼たちは威圧されながらも、魔獣としての矜持があるようで、一歩も退く事なく、唸り声を上げて俺を威嚇する。だから俺も、それに応える様に、精神や感覚を研ぎ澄ませていく。幼い兄妹は、突如乱入した俺という存在や、一撃で倒された狼など、目まぐるしく変わる状況についていけずに、戸惑った様子でいる。だが兄として妹を守ろうとしているのか、震える身体に鞭打って、必死で妹を背に隠している。
「すぐに終わらせるから。そこから動かないでくれ」
幼い兄妹にそう言って、兄妹を守るように仙法で結界を展開し、狼たちが二人を狙っても大丈夫な様に対策しておく。幼い兄妹が不用意に動くことがない様に、結界を視認できる様にしておき、守っている事を分かりやすくしておく事も忘れない。幼い兄妹が、展開された結界と俺を交互に見ている。一応は、守られていると理解してくれたのか、その場でジッとしてくれている。
俺は、腰に差しているサーベルを抜き放つ。リラックスした状態で、自然体なままで狼と対峙する。刀身に氣を纏わせて強化し、こちらから仕掛ける。
「アオーン!!」
狼の群れの中にいる、一回り身体の大きい赤い毛並みの狼が、迫る俺に対応するように遠吠えを響かせて、仲間たちに指示を出した様だ。灰色の毛並みの狼たちが、群れのリーダーの指示に従って迎撃を開始する。麓とはいえ、この魔境の様な環境で生きてきた魔獣たちだ。修行中・鍛練中に遭遇した狼の魔獣たちと比べても、高度で綿密な連携に、魔力や魔法の扱いも比較にならない程だ。
狼たちは、魔力による身体強化に、牙や爪にも魔力を纏わせて強化する。俺はそんな狼たちを気にする事なく、群れのリーダーである赤い毛並みの狼の魔獣に向かって、さらに速度を上げて真っ直ぐに駆ける。
周囲三百六十度から、狼たちが次々と襲いかかってくる。牙での噛みつきや爪での斬撃、さらには、口から魔力弾を放ってくる。それら全てを体術とサーベルで対処し、速度を落とす事なく、赤い毛並みの狼へ迫る。
「ウォン!!」
赤い毛並みの狼の短く吠えた声に反応し、赤い毛並みの狼の奥の茂みから、灰色の狼たちが大量に現れる。どうやら先程の遠吠えは、指示であると同時に、周囲にいる仲間をここに呼び寄せるためのものだった様だ。赤い毛並みの狼が、跳躍して俺から距離を取る。
『そんなに簡単には、大将はとらせてくれないか』
赤い毛並みの狼は高みの見物をする様で、ただジッとそこに立っており、自分からは動く気はない様だ。
『周囲の狼たちを倒さない限りは、状況は変わらないか』
狼たちが再び動き出す。そこに増援で来た狼たちも加わり、積極的に仕掛けてくる。俺も全身に氣を纏わせていき、身体機能を向上させ、目には見えない氣の鎧を形成する。噛みついてきた狼の牙や、斬撃を繰り出す爪を氣の鎧が弾き、無力化していく。そこに、サーベルでの一振りを繰り出し狼を斬り裂き、内丹と氣で強化された拳と蹴りを放ち、狼たちの肉体を破壊していく。
増援を含めると三十体以上いた狼たちが、俺の周囲に倒れている。既に狼たちの命はなく、どの個体もピクリとも動く事はない。
「…………!!」
倒れ伏す狼たちの姿を見て、赤い毛並みの狼が、魂の叫びとも言える様な、言葉にならない咆哮を上げる。その咆哮は空気を震わせて、衝撃波が俺を襲う。
「…………ハッ!!」
俺も、練り上げた氣を周囲に放ち、赤い毛並みの狼の、咆哮による衝撃波を相殺する。そこから両者、無音の世界を作り出す。
「…………!!」
「…………!!」
動き出したのは、両者同時。俺は氣の質と密度を上げて、より頑丈な氣の鎧に強化する。赤い毛並みの狼は、灰色の狼たちと同じように身体強化をし、爪や牙にも魔力を纏わせて強化する。違う点があるとするならば、その魔力は、炎のような真っ赤な赤色をしている所だろう。
「ウォン!!」
赤い毛並みの狼が吠えると、その真っ赤な魔力が変質していく。
「火の魔法か」
狼の爪や牙に纏わせていた赤色の魔力が、炎に変わる。そして、赤い毛並みの狼の全身の毛が、まるで燃え上がっているかのようにユラユラと揺らめき、高密度の魔力を放つ。さらに、その毛並みから発せられる熱によって周りの気温が上昇し、空気が急速に乾燥していく。
赤い毛並みの狼は、超高熱の塊となって高速で移動し、炎を纏った爪を振るい、牙で噛みついてくる。そして極めつけに、圧縮された超高熱の炎弾を放ってくる。それらを、灰色の狼たちとの戦闘と同じ様に、体術とサーベルで対処していく。
さらに、周囲の木々を足場にして加速し、三次元での動きを足してくる。赤い毛並みの狼が足場にした木々も、炎弾が着弾した箇所も炎が燃え移り、だんだんと広がっていく。俺は広範囲の結界を展開し、結界の範囲外には燃え移らない様に対処する。
これ以上長引かせると、幼い兄妹たちにどのような影響が出るか分からないので、次で仕留める。サーベルの刃に纏わせている氣の性質を変化させ、風の氣に変質させる。そして、それを示すかの様に、無色の氣から緑色の氣に変化する。赤い毛並みの狼も、全力全開で魔力を練り上げて、自身の全てを強化する。そして、その身体を炎の弾丸に見立てて、最高速で突っ込んでくる。その速度と炎の相乗効果で、触れただけで消し炭になってしまうだろう。
俺は、迫りくる赤く燃え上がる狼の真っ正面に立ち、サーベルの柄を両手で持って、真上に振り上げる。そして最後の仕上げに、サーベルの刀身に纏わせていた風の氣を、一気に凝縮させる。すると、凝縮された風の氣は洗練され、刀身を沿う様に緑のオーラとなる。
そして、サーベルを振り下ろす。
「〈風迅〉」
燃え盛る赤い毛並みの狼の身体の炎が、一瞬で消え去る。徐々に、赤い毛並みの狼の速度が落ちていく。そして、俺の眼前で完全に動きが止まり、ゆっくりと縦に真っ二つになり、左右に分かれていく。
サーベルを血振《ちぶ》りし、鞘に納刀する。狼たちの死体を影の空間倉庫に収納し、漁夫の利を狙う魔物や魔獣を氣で威圧して近づけない様にしつつ、幼い兄妹の元に向かう。
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