247 / 348
第247話
しおりを挟む
「ジャック様もローザ様も、そんな事を……」
婚約式が無事終わり、興奮冷めやらぬ中で迎えた静かな夜。カノッサ公爵家の屋敷の広い一室の、大きなベットの上で皆でのんびりしながら、ジャック爺とローザさんとの会話の一幕を語る。話を聞き終えたイザベラたちは、その頬を赤く染めて恥ずかしがる。
「で、でも確かに、お二人にも私たちの子らを抱いて……ほしい……です」
「そ、そうよね。私たち、お二人にはもの凄くお世話になってるもの」
「ウォルターとの……子供…………」
「私たちの元に生まれてきてくれる子なら、女の子ならとっても可愛くて、男の子ならとってもカッコいい子になるわ。女の子ならローザ様に、男の子ならジャック様に、それぞれ名付けもしてもらいたいわね。その為にも…………」
カトリーヌさんが、頬を染めながらも艶のある声でそう言い、そっと俺の傍に寄り添ってくる。それを見たイザベラたちも、頬を赤く染めながら、カトリーヌと同じく俺の傍に寄り添ってくる。カトリーヌもイザベラたちも、妖艶な雰囲気を身体全体から放ち、俺を男性として誘惑してくる。カトリーヌが最後に言おうとしたのは、その為にも早く私たちの子供を作りましょう、という言葉なのだろう。だがその前に、俺と家族となる愛しいイザベラたちに、一つの贈り物を送らなければならない。
「皆、情熱的な夜を迎える前に、俺に少しだけ時間をくれ」
『?』
「今日という素晴らしい日を迎える時に、愛する皆に送るべきものだよ」
部屋の中に置いてあるバックパックから、木製の小箱を五つ取り出す。イザベラたちは、俺が取り出した五つの木製の小箱を見て、一体それはなんなの?といった感じでいる。そんなイザベラたちに向けて、優しく微笑んで返しながら、木製の木箱の一つをパカリと開ける。
「そ、それは……指輪?」
「ええ、イザベラたちに送る結婚指輪です」
「でも婚約式の時にも、指輪を付けてくれましたよね?」
「あの指輪は、この指輪が間に合わなかった時の為に用意した、婚約式のための指輪なんだ。そしてそれとは別に、皆に内緒にしていたけど、ローザさんに指輪の制作をお願いしていたんだ。それもただの指輪じゃなくて、当代‟ナターシャ”の技術の粋を集めた、指輪の形をした特別な魔道具だよ」
「指輪の……魔道具」
「それもローザ様の技術の粋を集めた魔道具となれば、アウレリア家の身内くらいしか手に入らない代物よ。しかも指輪型の魔道具となれば、さらに手に入れる事が難しい、超希少な魔道具になるわ」
「ローザさんも、カトリーヌさんたちのために時間をかけて完璧に作りたいって事で、婚約式が終わってからも最終調整を続けてくれていました。そして夕方の夕食前に、ようやく完成したと届けてくださいました」
夕食の前に、ローザさん本人が屋敷に訪れて、直接五つの木製の木箱を手渡してくれた。その時、ローザさんの顔には自信満々の笑みが浮かんでいた。
「皆、左手を出してくれ」
『はい』
イザベラたちは婚約指輪を外して、ゆっくりと左手を俺に向けてくれる。木製の木箱を一つ一つ丁寧に開けて、イザベラたちの左手薬指に優しくつけていく。イザベラたちは、薬指に付けられた指輪をジッと見つめた後に、右手でゆっくりと大切に撫でていく。皆喜んでくれている様で、俺としてもほっと一安心だ。
そんな風に安心していたら、イザベラたちが指輪から視線を外し、連携しながら女豹の様に襲い掛かってきた。次々と襲い掛かってくる女豹たちを返り討ちにしながら、今日という晴れの日の最後の時間、情熱的な夜を仲睦まじく過ごした。
婚約式が無事終わり、興奮冷めやらぬ中で迎えた静かな夜。カノッサ公爵家の屋敷の広い一室の、大きなベットの上で皆でのんびりしながら、ジャック爺とローザさんとの会話の一幕を語る。話を聞き終えたイザベラたちは、その頬を赤く染めて恥ずかしがる。
「で、でも確かに、お二人にも私たちの子らを抱いて……ほしい……です」
「そ、そうよね。私たち、お二人にはもの凄くお世話になってるもの」
「ウォルターとの……子供…………」
「私たちの元に生まれてきてくれる子なら、女の子ならとっても可愛くて、男の子ならとってもカッコいい子になるわ。女の子ならローザ様に、男の子ならジャック様に、それぞれ名付けもしてもらいたいわね。その為にも…………」
カトリーヌさんが、頬を染めながらも艶のある声でそう言い、そっと俺の傍に寄り添ってくる。それを見たイザベラたちも、頬を赤く染めながら、カトリーヌと同じく俺の傍に寄り添ってくる。カトリーヌもイザベラたちも、妖艶な雰囲気を身体全体から放ち、俺を男性として誘惑してくる。カトリーヌが最後に言おうとしたのは、その為にも早く私たちの子供を作りましょう、という言葉なのだろう。だがその前に、俺と家族となる愛しいイザベラたちに、一つの贈り物を送らなければならない。
「皆、情熱的な夜を迎える前に、俺に少しだけ時間をくれ」
『?』
「今日という素晴らしい日を迎える時に、愛する皆に送るべきものだよ」
部屋の中に置いてあるバックパックから、木製の小箱を五つ取り出す。イザベラたちは、俺が取り出した五つの木製の小箱を見て、一体それはなんなの?といった感じでいる。そんなイザベラたちに向けて、優しく微笑んで返しながら、木製の木箱の一つをパカリと開ける。
「そ、それは……指輪?」
「ええ、イザベラたちに送る結婚指輪です」
「でも婚約式の時にも、指輪を付けてくれましたよね?」
「あの指輪は、この指輪が間に合わなかった時の為に用意した、婚約式のための指輪なんだ。そしてそれとは別に、皆に内緒にしていたけど、ローザさんに指輪の制作をお願いしていたんだ。それもただの指輪じゃなくて、当代‟ナターシャ”の技術の粋を集めた、指輪の形をした特別な魔道具だよ」
「指輪の……魔道具」
「それもローザ様の技術の粋を集めた魔道具となれば、アウレリア家の身内くらいしか手に入らない代物よ。しかも指輪型の魔道具となれば、さらに手に入れる事が難しい、超希少な魔道具になるわ」
「ローザさんも、カトリーヌさんたちのために時間をかけて完璧に作りたいって事で、婚約式が終わってからも最終調整を続けてくれていました。そして夕方の夕食前に、ようやく完成したと届けてくださいました」
夕食の前に、ローザさん本人が屋敷に訪れて、直接五つの木製の木箱を手渡してくれた。その時、ローザさんの顔には自信満々の笑みが浮かんでいた。
「皆、左手を出してくれ」
『はい』
イザベラたちは婚約指輪を外して、ゆっくりと左手を俺に向けてくれる。木製の木箱を一つ一つ丁寧に開けて、イザベラたちの左手薬指に優しくつけていく。イザベラたちは、薬指に付けられた指輪をジッと見つめた後に、右手でゆっくりと大切に撫でていく。皆喜んでくれている様で、俺としてもほっと一安心だ。
そんな風に安心していたら、イザベラたちが指輪から視線を外し、連携しながら女豹の様に襲い掛かってきた。次々と襲い掛かってくる女豹たちを返り討ちにしながら、今日という晴れの日の最後の時間、情熱的な夜を仲睦まじく過ごした。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる