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第59話
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先週から考えて二週間ぶりに四人の顔を見たが、四人共元気そうで安心した。特にマルグリット嬢やナタリー嬢は自然な笑顔が増えたし、完全に心から安らいでいるのが見て分かる程だ。そして何よりも、イザベラ嬢やクララ嬢に対しての態度が本当に柔らかくなっていて、気を許せる友人という関係になった事が窺える。
そんな四人は、女性らしい話題で盛り上がっていた。美容に良いものの流行に関してや、美味しいお菓子やスイーツ、服や小物類に関することなど、本当に多種多様な話題についてお話していた。男の俺には分からない事も多かったが、美容に良いものの流行に関する話をしている時には、耳を澄ませて会話の内容を聞いていた。
やはりまだまだ若くても、色々と美容に関して気になるのが女性というものらしい。その証拠にという程ではないが、他の話題で話す内容が全体の四割程度なのに対して、残りの七割が美容に良いものの流行に関して話す内容についてだったからだ。
これらの話を聞いていると、母さんや叔母さんたち女性陣の誕生日に贈っていた果実なら、マルグリット嬢も喜んでくれるのではないのだろうか。
(だが果実だしな~。母さんや叔母さんたちは喜んでくれたが、マルグリット嬢たち若い女性なら、バックやら靴やらの方が嬉しい贈り物なるのかもしれない。その辺の事も、この後イザベラ嬢たちに詳しく聞いてみよう)
楽しい時間というものは、時間の流れが早く感じる。俺とイザベラ嬢たちとの情報共有が終わった後は、ただただお茶会をして過ごしていたが、外を見れば西に日が傾き始めいる事から、今日のお茶会はこれでお開きとなった。マルグリット嬢とナタリー嬢がカノッサ公爵家の馬車に乗り、それぞれの家路についていく。
俺たちはマルグリット嬢たちが家路につくのを見送ってから、三人でイザベラ嬢の部屋へと戻る。しかしナタリー嬢は寮へと戻ったのに、クララ嬢は戻らなくてもいいのだろうか?そんな事を心配していると、それが顔に出てしまっていたのか、クララ嬢が色々と説明をしてくれた。
「私はイザベラと少し話したい事があったから、今日は外泊の申請を事前にしてあったの。一年の頃からイザベラと私の仲が良い事は寮母さんも知ってるし、公爵家に宿泊する事も知ってる。それに学院側も、この国の貴族のトップである公爵家に宿泊するのに、ダメとは言えないという事もあるからね」
「使えるものは使ってこそよ。それに友達を屋敷に泊めるくらい、貴族じゃなくてもする事よ」
「それに関しては私も同意するけど、でもやっぱり何かあった時に責任取るのは学院だからね。学院にとって厄介な事になる前に、色々と芽を摘んでおきたいんでしょ」
魔法学院には、色々な爵位の貴族の子息と子女が通ってるからな。魔法学院の知らぬ所で外出・外泊をされて、何か事件に巻き込まれたり、最悪の場合死んでしまったりしてしまった場合、責任をとるのは学院側なのは間違いない。そういった事を事前に回避するためにも、学院も色々と考えて苦労しているだろう。
「この話はこれでお終い。これ以上は、長々と愚痴を続けちゃいそうだから」
「そうね、それがいいわ。……それじゃあ、ウォルターさんの相談事である、マルグリット様の誕生日の贈り物についての話を始めましょうか」
「よろしくお願いします」
「それでウォルターさん、ご自身の中で贈り物の候補などはありますか?思いつかないのならば、そこから助言させていただきたいと思っていますが……」
「ああ、それなら一つあります。母親や叔母たちの誕生日にこれを贈っているんですが、母親たちには非常に好評なんですよ。でも同年代の女性に喜ばれるのかは分かりません」
「今それをお持ちなんですか?」
「はい、持ってます。お見せしましょうか?」
「お願いします」
俺は何時も持ち歩いているバックパックから一つの果実を取りだして、机の上に乗せてイザベラ嬢たちに見せる。
「こ、これは!?」
「もしかして、あの!?」
「ええ、間違いないわ!!――――‟若返りの桃”よ!!」
そんな四人は、女性らしい話題で盛り上がっていた。美容に良いものの流行に関してや、美味しいお菓子やスイーツ、服や小物類に関することなど、本当に多種多様な話題についてお話していた。男の俺には分からない事も多かったが、美容に良いものの流行に関する話をしている時には、耳を澄ませて会話の内容を聞いていた。
やはりまだまだ若くても、色々と美容に関して気になるのが女性というものらしい。その証拠にという程ではないが、他の話題で話す内容が全体の四割程度なのに対して、残りの七割が美容に良いものの流行に関して話す内容についてだったからだ。
これらの話を聞いていると、母さんや叔母さんたち女性陣の誕生日に贈っていた果実なら、マルグリット嬢も喜んでくれるのではないのだろうか。
(だが果実だしな~。母さんや叔母さんたちは喜んでくれたが、マルグリット嬢たち若い女性なら、バックやら靴やらの方が嬉しい贈り物なるのかもしれない。その辺の事も、この後イザベラ嬢たちに詳しく聞いてみよう)
楽しい時間というものは、時間の流れが早く感じる。俺とイザベラ嬢たちとの情報共有が終わった後は、ただただお茶会をして過ごしていたが、外を見れば西に日が傾き始めいる事から、今日のお茶会はこれでお開きとなった。マルグリット嬢とナタリー嬢がカノッサ公爵家の馬車に乗り、それぞれの家路についていく。
俺たちはマルグリット嬢たちが家路につくのを見送ってから、三人でイザベラ嬢の部屋へと戻る。しかしナタリー嬢は寮へと戻ったのに、クララ嬢は戻らなくてもいいのだろうか?そんな事を心配していると、それが顔に出てしまっていたのか、クララ嬢が色々と説明をしてくれた。
「私はイザベラと少し話したい事があったから、今日は外泊の申請を事前にしてあったの。一年の頃からイザベラと私の仲が良い事は寮母さんも知ってるし、公爵家に宿泊する事も知ってる。それに学院側も、この国の貴族のトップである公爵家に宿泊するのに、ダメとは言えないという事もあるからね」
「使えるものは使ってこそよ。それに友達を屋敷に泊めるくらい、貴族じゃなくてもする事よ」
「それに関しては私も同意するけど、でもやっぱり何かあった時に責任取るのは学院だからね。学院にとって厄介な事になる前に、色々と芽を摘んでおきたいんでしょ」
魔法学院には、色々な爵位の貴族の子息と子女が通ってるからな。魔法学院の知らぬ所で外出・外泊をされて、何か事件に巻き込まれたり、最悪の場合死んでしまったりしてしまった場合、責任をとるのは学院側なのは間違いない。そういった事を事前に回避するためにも、学院も色々と考えて苦労しているだろう。
「この話はこれでお終い。これ以上は、長々と愚痴を続けちゃいそうだから」
「そうね、それがいいわ。……それじゃあ、ウォルターさんの相談事である、マルグリット様の誕生日の贈り物についての話を始めましょうか」
「よろしくお願いします」
「それでウォルターさん、ご自身の中で贈り物の候補などはありますか?思いつかないのならば、そこから助言させていただきたいと思っていますが……」
「ああ、それなら一つあります。母親や叔母たちの誕生日にこれを贈っているんですが、母親たちには非常に好評なんですよ。でも同年代の女性に喜ばれるのかは分かりません」
「今それをお持ちなんですか?」
「はい、持ってます。お見せしましょうか?」
「お願いします」
俺は何時も持ち歩いているバックパックから一つの果実を取りだして、机の上に乗せてイザベラ嬢たちに見せる。
「こ、これは!?」
「もしかして、あの!?」
「ええ、間違いないわ!!――――‟若返りの桃”よ!!」
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