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第31話
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ジャンたちの協力を得る事が決まった日から数日、遂にその時がやって来た。ジャンとマークの二人がカノッサ公爵家の屋敷に向かう日だ。恐らく二人は、朝から恐怖と緊張で震え続けていることだろう。その様子を想像しながら、今日もメイドさんが用意してくれた美味しい紅茶を口に含み、お菓子を口にしていく。
(ジャンたちも、俺と同じ様にカノッサ公爵家の馬車に乗り込んでくるはずだ。今の段階で各家の馬車と分かる様なもので公爵家に向かうと、要職に就いている各家の方から要らぬ指摘をされそうだしな)
代々要職に就いてきた一族の者たちだ。各家の当主や部下たちは、皆優秀である事は間違いない。だが、次代の後継者である側近候補たちが問題だ。イザベラ嬢曰く色ボケ男共が、マルグリット嬢やナタリー嬢に関して、当主や周りの者たちへ一体どの様に触れ回っているのかが気になる所だ。
受け取り方は人それぞれだが、中には伝えられた情報を信じ切ってしまう者や、愉快犯となってマルグリット嬢を標的にする者も出てくる可能性がある。優秀な当主やその側近たちは安易に信じる事は無いだろうが、各家の派閥の下の者たちは分からない。彼らは次期後継者である色ボケ男共の為にと、マルグリット嬢に対して色々と仕掛けて来るだろう。
だが現段階でそれがないという事は、色ボケ男共はあまり周囲に触れ回っていないのか、色々と訴えかけている相手である当主や側近たちが本気にせず、上手く受け流して大事にしない様にしている可能性もあるか。
(だが聞く限りの酷い言動を、学院と言う不特定多数の人々がいる場所で幾度となく行っている事から、それを見たり聞いたりした生徒たちから親へと情報が伝わり、貴族社会全体へと広まっていると考えた方がいいだろうな)
それについても、どのくらい正確な情報が伝わっているのか分からない。お茶会やパーティーに参加しているアンナ公爵夫人に、噂の真偽を確かめる為に直接聞いてくる夫人は、今の所一人もいないという話も聞いた。この事から、アルベルト殿下と側近たちの醜聞については、社交の場では安易に触れていい話題ではないと考えられているのだろう。
それにもう一つの問題がある。マルグリット嬢の生家である、ベルナール公爵家についてだ。ベルナール公爵家に仕えている者たちから、カノッサ公爵家の者たちが色々と情報を集めた所、当主や夫人はローラを昔から可愛がっているが、マルグリット嬢を可愛がっているのをあまり見た事がないという事が判明した。
そこでマルグリット嬢本人からも色々と聞いていくと、公爵家長女としての教育や教養をしっかりとつけてもらえたし、生活も普通にさせてもらえたそうだ。ただ、そこに娘としての愛情が薄かっただけだと、何時もと変わらない様子でそう言った。
(普通の乙女ゲームの世界だと思ったら、まさかの‟ざまぁ”要素もあるとはな。この一騒動が無事に終わった時、この国は果たして無事なのだろうか?)
心の中でそんな心配をしながら再び美味しい紅茶を飲んでいると、部屋の扉の向こう側にいるメイドさんから、ジャンとマークたちが屋敷に到着したとの一報が入った。
(ジャンたちも、俺と同じ様にカノッサ公爵家の馬車に乗り込んでくるはずだ。今の段階で各家の馬車と分かる様なもので公爵家に向かうと、要職に就いている各家の方から要らぬ指摘をされそうだしな)
代々要職に就いてきた一族の者たちだ。各家の当主や部下たちは、皆優秀である事は間違いない。だが、次代の後継者である側近候補たちが問題だ。イザベラ嬢曰く色ボケ男共が、マルグリット嬢やナタリー嬢に関して、当主や周りの者たちへ一体どの様に触れ回っているのかが気になる所だ。
受け取り方は人それぞれだが、中には伝えられた情報を信じ切ってしまう者や、愉快犯となってマルグリット嬢を標的にする者も出てくる可能性がある。優秀な当主やその側近たちは安易に信じる事は無いだろうが、各家の派閥の下の者たちは分からない。彼らは次期後継者である色ボケ男共の為にと、マルグリット嬢に対して色々と仕掛けて来るだろう。
だが現段階でそれがないという事は、色ボケ男共はあまり周囲に触れ回っていないのか、色々と訴えかけている相手である当主や側近たちが本気にせず、上手く受け流して大事にしない様にしている可能性もあるか。
(だが聞く限りの酷い言動を、学院と言う不特定多数の人々がいる場所で幾度となく行っている事から、それを見たり聞いたりした生徒たちから親へと情報が伝わり、貴族社会全体へと広まっていると考えた方がいいだろうな)
それについても、どのくらい正確な情報が伝わっているのか分からない。お茶会やパーティーに参加しているアンナ公爵夫人に、噂の真偽を確かめる為に直接聞いてくる夫人は、今の所一人もいないという話も聞いた。この事から、アルベルト殿下と側近たちの醜聞については、社交の場では安易に触れていい話題ではないと考えられているのだろう。
それにもう一つの問題がある。マルグリット嬢の生家である、ベルナール公爵家についてだ。ベルナール公爵家に仕えている者たちから、カノッサ公爵家の者たちが色々と情報を集めた所、当主や夫人はローラを昔から可愛がっているが、マルグリット嬢を可愛がっているのをあまり見た事がないという事が判明した。
そこでマルグリット嬢本人からも色々と聞いていくと、公爵家長女としての教育や教養をしっかりとつけてもらえたし、生活も普通にさせてもらえたそうだ。ただ、そこに娘としての愛情が薄かっただけだと、何時もと変わらない様子でそう言った。
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心の中でそんな心配をしながら再び美味しい紅茶を飲んでいると、部屋の扉の向こう側にいるメイドさんから、ジャンとマークたちが屋敷に到着したとの一報が入った。
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