やっぱり冬が好き

たろいも

文字の大きさ
上 下
3 / 3
二章:夏(なつ)

夏(なつ)

しおりを挟む

「お出ましか…蛇竜サラマンダー。」

 スッと自然な流れで構えをとった。そして改めてサラマンダーを観察する。

 デカイ……剥製にされていた子どものサラマンダーとは比べ物にならない。

 そして一番特徴的なのはだ。あの剥製には腕なんて生えていなかった。
 だとすれば成熟した大人のサラマンダーにしか生えていないものなのだろう。あれで掴まれたら握り潰されてしまうだろうな。

「さて、ラン…俺が何とか近接で相手をしてみるから、後ろから魔法で攻撃してくれ。アイツには普通の物理攻撃は効かないらしいからな。」

「わかったわ。」

「じゃあ頼んだぞッ!!」

 強く地面を蹴り、空中へと跳び上がる。サラマンダーの顔面を攻撃するためだ。

「シャアッ!!」

 サラマンダーは近付いてくる俺を丸呑みにしようと、大きな口を開けてこちらへ首を伸ばしてきた。

「フッ!!」

 空中で、体を捻り迫り来るサラマンダーの顎を蹴りあげた。
 衝撃で大きく仰け反ったサラマンダーをランの魔法が追撃する。

「フロストサイクロン!!」

 切れ味の鋭い無数の氷の結晶が、竜巻のように回転しサラマンダーに直撃する。
 それによって浅い傷ではあるがサラマンダーの体表に切り傷がつく。

 聞いていた通り、魔法が弱点のようだな。

 一度地面に着地し、再び距離を詰めようとしたが……。

「ッ!!」

 目の前にサラマンダーの酸がぶちまけられた。ジュウジュウと煙を上げて、目の前の地面が溶けていく。

 不味い、こっちは風下か。煙がこちらへと向かって流れてきている。
 風上へ向かって俺は即座に走り出した。俺を追ってサラマンダーは次々と酸を吐きかけてくる。

 飛んでくる酸を躱しながら、なんとか風上に着くと辺りは色んな場所が酸によって溶けジュウジュウと煙が立ち込めていた。
 風上とはいえ、なるべくあの煙は吸わないようにしないとな。

 改めてサラマンダーに向き直ると、サラマンダーは不気味な笑みを浮かべていた。
 その瞬間背筋をゾクゾクッと悪寒が襲う。

(なにかヤバイのが来るッ!! )

 警戒を強めているとサラマンダーは大きく口を開けてブレスの構えをとった。
 そして、先程辺りにばらまいていた酸に向かって炎のブレスを放ったのだ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】マスクの下が知りたくて。

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
青春
「邪魔だよなぁー……」  大学の講義中、たった一枚の布に対して俺はそんな言葉を呟いた。    これは高値の花・アオイにじれったくも強く惹かれる、とある青年の『出会い』と『始まり』の物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

余命半年の俺と余命3年の君

yukkuriSAH
青春
脳に腫瘍が見つかり、余命半年と告げられた清輝。病院に入院中、凄く綺麗な女性に遭遇する。女性も余命3年だと言われ、自然と仲間意識が沸いた。清輝と女性の(名前はお楽しみ)胸キュン&感動の物語!

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

Missing you

廣瀬純一
青春
突然消えた彼女を探しに山口県に訪れた伊東達也が自転車で県内の各市を巡り様々な体験や不思議な体験をする話

処理中です...