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無神経
しおりを挟むしばらくすると足音が響いた。
「上がったのか·····」
うっすら目を開くと翔太が来た時と同じ服を着ていた。
それもそうだろう。
俺より、10センチくらい大きい翔太が切れるわけが無い。
静かに床に座ったような音がした。
目を開くとどうやら布団を持ってきていたらしい。
泊まる予定だったのかよ。
布団を取り返して貰えたのにそんな事言えるはずもなく。
「なあ、智斗」
眠たそうな声がした。
「なんだ?」
人妻相手以外では口が悪いなと自分でも思った。
「なんで一人暮らししてるんだ?」
どういう質問なのだろうか。
よく分からなかった。
「縁切られて上京」
そのままを答えた。
大きな物音がした。
「なんで?」
踏み込んできやがる。
無神経なのかどうなのか。
「初恋が母親だったんだ。んで色々あって縁切られた」
当たり前ちゃ当たり前だった。
人妻好きなんておかしい。
そう言われ続けてきたから。
それ以上は翔太は何も言わなかった。
呆れたのか、寝たのか。
どっちだろうと俺には関係無いがすこし、寂しい気もした。
甘い眠り·····
久しぶりに母親の夢を見た。
泣きながら怒鳴る母親。
俺は妹に殴られ続ける。
あーあ。
もっとマシな生き方はなかったのか·····。
息の音だけが暗闇に溶けていた。
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