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終わり時

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「ちとくん!私決めた。旦那と別れる」

そう頭にこだました。

眠たい頭をゆっくりと回す。

「本当にいいんですか?好きだったんでしょう??」

にやける口を隠しながら聞いた。

「うん!だってしょうたさん。ぜーんぜん私を見てくれないもん」 
 
「そっか·····」

「私は私を見てくれるちとくんがだーいすき」

白すぎるベットの上。

静かに目をつぶった。

そこからの話は早かった。

行動力のある唯さんはもう、緑の紙を提出したらしい。

まあ、お金を払うまでが娯楽みたいなものなので今は耐える。

飽きた女に抱きつかれてもウザイだけだ。

安心して眠れもしない。

「私の旦那に最後の挨拶、一緒に来ない?」

「そうですね。俺も唯さんを愛さないでほったらかしにする旦那さんに会ってみたいところでした!」

口先だけの言葉を並べる。

ーーーーーー
その日はすぐに来た。

今は部屋の外で待たされている。

マンション。それもタワマン。

最上階なんてきた事がないが来てみると案外普通だった。

低い声が響く。

怒っているわけでも悔いている訳でもなさそうだった。

「慰謝料は請求するからな」

「·····なんで?いつもお金を払ってたのは私なのに·····」

今回の唯ちゃんは長くなりそうだ。

まだ、気温の安定しない6月だ。

幾らタワマンの廊下と言えど流石に肌寒い。

捨てる女のために風邪をひきたくもない。

欠伸をしながら窓を見る。

普段より近くに見える雲も何度か見れば慣れてしまうものだ。

今日も曇りだ。

「はぁ、話にならないな。」

「話にならないのはそっちでしょ!」
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