勉強した僕としなかった君

バットの音

声を聞かずに荷物を持った。

走って家に向かう。

野球部のバットをふった音が頭に響いた。


その日から僕は学校を休んだ。

怖いんだ。

□□さんも、先生も。

親は無言で休みにしてくれた。

頑張っていた勉強を疎かにしている事をいじめかなにかだと思っているらしい。

僕がいじめていたみたいなものなのに。

部屋から出ない。

いじめられてると勘違いされているからか言われる言葉が冷たく刺さるのだ。

嗚呼、ダメだな。

教科書を開く。

久しぶりすぎて何も分からないが、気分はいい気がした。

調べながら問題を解く。

勉強していると梓さんのことを思い出すが、それは梓さんに八つ当たりをしてしまった僕への罰みたいなものだった。

それでも僕は思い出したくなくなり勉強に集中する。

狡いのは分かっているが信じたくない。

とっくに理解はしているけれど。



3年になり受験勉強と称して問題を時続ける。

学校には行っていないし、トイレ以外で部屋も出ていない。

親には少し話して勉強を頑張って高校に行くことを条件にしてもらっている。