私が川に落ちた

狐火

文字の大きさ
上 下
1 / 1

知らない子

しおりを挟む
仕事帰りに、スーパーで揉みくちゃは大変だ。

結婚してからほぼ毎日通っているのに慣れはしない。

戦利品とは言えないが、安く買えたお肉に笑いかける。

携帯が鳴った。

名前を見ると大好きな彼で唇が歪む。

「もしもし。怜亜れあくん、どうしたの?」

「早く帰ってこいよ。腹減ったんだけど?」

冷たい声に時計を見る。

針はもう、6時を過ぎていた。

「ごめん。ごめん。今帰るよ」

「今日の晩飯何?」

「今日はポテトサラダと、生姜焼き」

「ふーん。俺の分は惣菜にしてくれない?」

「え!?今日生姜焼きの気分じゃなかった?」

「いいから、俺、腹減ってるんだって。」

「ごめん。30分位で着くから。」

返答はなく、そのままガチャ切りされた。

何を食べたいか聞けばよかったな。

食品コーナーまで走って戻り、彼が好きそうなものを探す。

帰宅時はとうに過ぎていて殆ど余っているものは無い。

お寿司の入ったプラスチックを持ちレジへ向かう。

家に着く前に連絡が来てよかった。

家に1度着いてからだと、きっと何も残っていなかっただろう。

今日買った食材の合計金額より少し多いお金を出してお寿司を買った。

家に着くと辺りは真っ暗だった。

ポケットを漁って鍵を取り出すが、鍵は開いていた。

ドアを開いた時、私は息を飲んだ。

黒い可愛いブーツ。

怜亜くんはこんな靴持ってたかな…。

リビングへ向かうと、そこには、見慣れない金髪がいた。

「ただいま。」

私がそういうと金髪は自慢気な顔をした。

「ん。」

怜亜くんは興味無さげに言った。

「えっと……。友達呼ぶなら言ってよ!」

「ん。」

キッチンへ足をむける。

二人の距離は近く、怜亜くんの事を私はまだまだ知らないな。

幼なじみだろうか。

弟さん…はいなかったはずだ。

結婚式にも、金髪の人は何人かいたが、さっきの金髪と同じ人はいなかった気がした。

男とも女とも言い難い綺麗な顔立ちだったが、何故か男の人だと理解した。

お寿司を開けて怜亜くんの元へ向かう。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...