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【17】最強ブロガー
①
しおりを挟む和希が離婚して大阪に戻ってきてから1週間が過ぎた月曜日、由唯と澪はランチの時に和希の話になった。
「和希、淡々と仕事してるけど離婚してから暗いよなー?」
澪がサラダのトマトを口に放り込みながら言った。
「そう? 離婚したのにいつもと変わらない感じでいるからよく平気でいるなーって私は思っててんけど」
由唯はフォークにくるくるとパスタを巻きながら答える。
「そんな事ないって。絶対元気ないと思うで」
「そう? あんまり気にならんかったなー」
「あっ! そういえば和希の誕生日、今週末やったな? 何かやったる?」
「そうやわー。離婚話で忘れてたわ。うん。そうしよう! 誕生日会やったろ」
「たぶんこの数年誕生日会なんてやってもらった事ないんちゃう 笑」
「由唯ー。和希が聞いたら泣くで? 笑」
「うんうん 笑。じゃーお店は私の方で探しとくなー」
「うん。澪よろしく! 和希の予定聞いて報告するわ」
事務所に戻ると、デスクで和希が仕事をしていた。周りに人がいない事を確認すると和希の耳元で話し掛けた。
「今週の金曜日なんか予定ある? 飲み会しようかと思って!」
由唯が近付いてきたのに気づかなかったようで和希はビックリして由唯を見た。
「びっくりするやん急に……。金曜日? えーっと何もないから大丈夫やで」
「じゃーお店決めたら言うわー」
「あれ? いつもの京橋の店とちゃうん?」
「まだ決めてないけど、たまには違う所にしようかなぁと思って」
和希は、ふーんとした顔をした。
「わかった。じゃーまた教えて」
と言うと書類にまた視線を戻した。
由唯は、そのまま澪のところに行き周りに聞こえないように小さな声で話した。
「澪の言うとおり、和希いつもと何か違うかも」
「なっ?」と声を出さずに口パクで返事すると、由唯も、うん、と頷いた。
そう言われれば報告にくる部下の話を聞いてる姿もどこか覇気がないような気がしてきた。
由唯は和希の方をもう一度みて(和希、しっかりしろよ!)と心の中でエールを送った。
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