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【4】澪のトキメキナイト
④
しおりを挟む2人で店を出て澪の歩幅に合わせてゆっくり歩く尾崎は紳士的で心地よかった。
会話を楽しみながら源八橋の方に向かった。家の近くのお互いの馴染みの店の前まできたとき「もう一杯だけ飲んで行きませんか?」と尾崎が誘ってきた。
「いいですね」と嬉しくなって笑顔で答えた。
そのお店は、60歳は超えていると思われるとても可愛いママがひとりでやっているお店で、疲れた時に行くといつも癒されるので澪もよく通っているお店だった。
ママは2人が一緒に入ってくると少し驚いた顔をして先に声を掛けてきた。
「あらーびっくり! 珍しいお2人!」
「さっきのお店で一緒になって、ここによく来るって話になって寄ったんだ」
尾崎が応えるとママは「そうだったの? ありがとうございます。 笑 尾崎さん久しぶりですね」と言うと、近ごろ仕事が忙しくて飲みに行けてないことなど近況を話し始めた。
澪は何も言わず尾崎とママの話を聞いていたが、やがて3人で他愛もない会話で楽しい時間を過ごしたが、あっという間に閉店の時間となったので最後の一杯を飲んでお店を出た。
「ご馳走になって有り難うございました。今日は楽しかったです!」
「そうですねー。楽しかったですね。 また飲みに誘ってもいいですか?」
「はい、ぜひ誘って下さい! 宜しくお願いします」
「よかったぁー。では今度連絡するのでメール交換してもらっていいですか?」
「もちろんです!」
「ありがとうございます。じゃ、また連絡しますね」
連絡先を交換した2人は、また会う約束をして笑顔で別れた。
歩き出した澪は、さっきメール交換する時に由唯からメールが入っていたことを思い出した。歩きながら携帯を確認すると、
〈澪、今日もお疲れ様ー。また【ROKU】行くんやろ~? 笑〉
(由唯には全部お見通しだなぁー 笑)
〈あはは、また行っててん。今から帰ります。それと、今夜は少しいいことがありました!〉
(もう寝てるかな?)と考えながら返信した。マンションの前まできたところで携帯を確認したが既読になっていなかった。
「そりゃそうだよね」と独り言を言いながらマンションのエレベーターのボタンを押した。
エレベーターを待ちながら今夜の出来事を思い出していると、ドアのガラスに映った自分のニヤけた顔をみて思わず苦笑した。
(いい大人が……恥ずかしい 笑)
その後、ちょうど家の玄関に入った時メールの着信が鳴った。
(由唯だな。寝てるのに起こしちゃったかな?)
携帯を見ると尾崎からのメールだった。治まっていた澪の心拍数がまた早くなる。
〈澪さん、今夜はありがとうございました。凄く楽しかったです。お店行くとき連絡下さい。時間が合えば飛んでいきますので。笑 他にも良いお店がたくさんあるのでまた紹介しますね。おやすみなさい〉
〈こちらこそ楽しいお酒でした。ご馳走になりありがとうございました。また会えるのを楽しみにしています。おやすみなさい〉
時計は2時を回っている。澪は酔っているはずなのに目が冴えて気持ちが昂っていた。
シャワーを浴び少し落ち着いたところで尾崎のことを思い返した。
白いバスローブを羽織りドレッサーの前に座って化粧水をつけた後、メールを読み返した。
まだ、ドキドキしている。
澪はもう一度化粧水をつけてからいつもよりワンプッシュ多く美容液をつけて肌を潤した。
(また、会いたいな……)
尾崎のことを考えながら、もう一度メールを読み返し澪は純粋に心が躍った。
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