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第3章 学園編1
3.11 ヴィルヘルム王子と
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夕食後にヴィルヘルム王子と打ち合わせをした。卒業に向けた研究の件だ。
材料としてガラスにするのか水晶を選ぶのか。現状の摩道具の情報などを交換し、透明度を上げる方法や、度の強さとレンズの形の関係を教えた。
この世界でどうやって実現するのかは知らないが、課題だけは積み上げたのでとりあえず研究はスタートするようだ。
ついでに、ヴィルヘルム王子に相談したいことがあると、盗聴防止の魔道具を使って質問をした。
「なんだい、クレストリアからの質問なんて。悩みが無いように見えるんだけどな」
「いえ、悩みぐらいありますよ。聞きたいのは婚約についてです。婚約者はどうやってきまるのですか? 誰も教えてくれなんですよ。とにかくすべての王女と平等に仲良くしなさいとしか言われなくて」
「ああ、君はその辺の事はあまり知らないのか」
「はい、いろいろ言われていますが、そもそも王女にどう接すれば良いのかもよくわからないのです」
「うんうん。僕と同じだね。大丈夫だよ。心配する必要はない。まず婚約は僕らの気持ちは、尊重はされるけどそれだけさ。周りが見ていてあまりに合わない場合は対象外とされるけど、そうでなければ王と後見人が決めるんだよ」
「王と後見人」
「今回の場合は、クレストリアが出て来たのが遅かったからね。クライスバーク領にとっては計算外だっただろうね。そのせいで後見している王女を第1夫人に送れなくなった。ああそうだ。第1夫人がクライスバーク領の出と言う事は知っているよね。第1夫人の子供である第1王女は2位の領地であるアダマンジャルン領に、第2王女は第3夫人の領地ブレーメンハイヒ領に嫁いでいる。おそらくクライスバーク領のシナリオでは第3夫人の子供を第1夫人に据えて、クライスバーク領の子と2位のアダマンジャルン領の子をそれぞれ第2夫人、第3夫人に押してくると思うよ。とにかく第4位のシルヴィスト領の成長を止めたいみたいだからね。ただそれをするにはブレーメンハイヒ領が腹を決める必要がある。ここでさらに君よりも若くて有望な全属性が登場すると困るだろうね。そういったリスクを考えて早々に決める必要があるのさ。そして第2夫人の実家シルヴィスト領は他とのしがらみはあまりない。とにかく第2夫人、第3夫人の事は考えす、単独で第5王女を押してくるだろう。とにかくクライスバーク領とシルヴィスト領はあまり仲が良くない。まあこのくらいは知っておくべきだね」
「じゃあ、第5王女と第6王女、第7王女は仲が悪いの? そもそも第2夫人の子供の第3王女は僕の出身領地に嫁いでますよね」
「そう、だからこそシルヴィスト領は君とのつながりを強固にしたがるだろうね。そうそう、その実家の問題と姉妹仲は関係ないよ。今の王女たちは割と仲が良いはずだよ」
「そうですか、とりあえず本人だけの感情論で婚約者が決まるわけではない事は理解しました。そして現状、どの王女とも仲が悪いわけではないので、誰が婚約者になってもおかしくないわけですね」
「まあ、そう言う事。他にもなにか話したい事があるかい」
「はい、ありがとうございます」
そういって、その日はお別れした。
なんとなく、婚約の裏にどろどろした政治的な背景があるなんてやだなと思いながら眠った。
材料としてガラスにするのか水晶を選ぶのか。現状の摩道具の情報などを交換し、透明度を上げる方法や、度の強さとレンズの形の関係を教えた。
この世界でどうやって実現するのかは知らないが、課題だけは積み上げたのでとりあえず研究はスタートするようだ。
ついでに、ヴィルヘルム王子に相談したいことがあると、盗聴防止の魔道具を使って質問をした。
「なんだい、クレストリアからの質問なんて。悩みが無いように見えるんだけどな」
「いえ、悩みぐらいありますよ。聞きたいのは婚約についてです。婚約者はどうやってきまるのですか? 誰も教えてくれなんですよ。とにかくすべての王女と平等に仲良くしなさいとしか言われなくて」
「ああ、君はその辺の事はあまり知らないのか」
「はい、いろいろ言われていますが、そもそも王女にどう接すれば良いのかもよくわからないのです」
「うんうん。僕と同じだね。大丈夫だよ。心配する必要はない。まず婚約は僕らの気持ちは、尊重はされるけどそれだけさ。周りが見ていてあまりに合わない場合は対象外とされるけど、そうでなければ王と後見人が決めるんだよ」
「王と後見人」
「今回の場合は、クレストリアが出て来たのが遅かったからね。クライスバーク領にとっては計算外だっただろうね。そのせいで後見している王女を第1夫人に送れなくなった。ああそうだ。第1夫人がクライスバーク領の出と言う事は知っているよね。第1夫人の子供である第1王女は2位の領地であるアダマンジャルン領に、第2王女は第3夫人の領地ブレーメンハイヒ領に嫁いでいる。おそらくクライスバーク領のシナリオでは第3夫人の子供を第1夫人に据えて、クライスバーク領の子と2位のアダマンジャルン領の子をそれぞれ第2夫人、第3夫人に押してくると思うよ。とにかく第4位のシルヴィスト領の成長を止めたいみたいだからね。ただそれをするにはブレーメンハイヒ領が腹を決める必要がある。ここでさらに君よりも若くて有望な全属性が登場すると困るだろうね。そういったリスクを考えて早々に決める必要があるのさ。そして第2夫人の実家シルヴィスト領は他とのしがらみはあまりない。とにかく第2夫人、第3夫人の事は考えす、単独で第5王女を押してくるだろう。とにかくクライスバーク領とシルヴィスト領はあまり仲が良くない。まあこのくらいは知っておくべきだね」
「じゃあ、第5王女と第6王女、第7王女は仲が悪いの? そもそも第2夫人の子供の第3王女は僕の出身領地に嫁いでますよね」
「そう、だからこそシルヴィスト領は君とのつながりを強固にしたがるだろうね。そうそう、その実家の問題と姉妹仲は関係ないよ。今の王女たちは割と仲が良いはずだよ」
「そうですか、とりあえず本人だけの感情論で婚約者が決まるわけではない事は理解しました。そして現状、どの王女とも仲が悪いわけではないので、誰が婚約者になってもおかしくないわけですね」
「まあ、そう言う事。他にもなにか話したい事があるかい」
「はい、ありがとうございます」
そういって、その日はお別れした。
なんとなく、婚約の裏にどろどろした政治的な背景があるなんてやだなと思いながら眠った。
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