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第3章 学園編1

3.8 入学式

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 本日は、入学式がありその後でクラス毎の親睦会だ。僕らは王族側の席にすわり領主候補生からの挨拶を受ける。
 この場は、各領地から領主候補生と上位貴族だけが集まっている。中央は、王女が3人に王子一人、そして最後に微妙な立場の僕。僕らとは列を変えて後ろに上位貴族が並ぶ。この場は学生だけの会合なので大人の護衛はいない。僕の後ろにはレイマルティナが控えている。
 事前に文官長のローヴィッドが集めた資料で、領主候補生の名前を書いてもらっていたので、名簿と合わせながら顔を覚えようと頑張った。
 上位の領地から順に挨拶が始まった。代表者が紹介するのだが、この場では領主候補生の名前と学年が紹介されるだけだ。ほとんどの領地に僕の情報が伝わっていないようで、第6王女と同じ新入生に僕が存在していることに驚き情報を集めようとするが、ヴィルヘルム王子と同じ傍系の王族として扱いだと紹介された。
 領主構成中間を過ぎてもうじき最後だと言う頃にクルスヴィスト領の代表としてヒルベルトを初めとした上位貴族が挨拶に来た。この場では、軽く会話して別れたが、僕が7歳の時は下から2番と言っていたが、少し順位があがったようだ。今は下から5番目だった。来年は、クリスティーナレオノール様が嫁いできたし、今年僕を傍系として迎える話をするので順位は上がるのだろう。
 親睦会では、上位領地の領主候補生が僕にいろいろを質問してきた。僕の情報があまり無いので頑張って情報を集めようとしているようだ。僕自身の情報は、もうじき行われる領主会議で紹介されると答えるが、クルスヴィスト領出身であることはどうやら複数の証言から伝わっているようだ。
 初日の親睦会では王女達に囲まれあまり質問が来ないようにしてくれたおかげで何とか乗り切った。

 翌日から学園生活が本格的に始まった。
 午前中は座学に割り当てられ午後から実技の練習に割り当てられている。
 今日は、最初に座学はテストを受ける。自分の不得意な科目を中心的に鍛えるので実力把握が必要になる。座学のテストを受けたら入場許可の必用な場所を回り申請を済ませる。訓練場、図書館、医療館、魔術館、薬館、植物館などを回り入場できるようにした。
 最後に学園の中央部にある最奥の間につながる扉は王族のみが登録をする。この最奥の間は王族だけが開ける事ができるらしい。神聖魔法の登録や礼拝をおこなう大切な場所だ。僕も一応登録をすることになった。

 本日の夜は、エリザが担当になったようだ。昨日と同じように同じベットで眠るようだ。ビアンカと比べるとエリザの方がすこし背が低いが巨乳さんだ。
 エリザも眠る前に話をしてくれた。エリザは平民なので、平民の暮らしについて話をしてくれた。そのまま眠くなりエリザの良い匂いを嗅ぎながら熟睡した。

 今日は残りの座学の試験を受けて前日の結果を聞く。1年生の座学は難なく終了。第6王女のアデリートメアリー様もすべて合格していた。午前中の座学は受ける必要がなくなったのでアウラがスケジュールの調整をするそうだ。
 午後になった。本日は神聖魔法が使えるようになる登録を行う。王族がいる時は王族から進めないといけないらしく僕と王女が一番最初に最奥の間へ行った。
 部屋に行くと1年生の学年主任をする男性教官が待っていた。
「この扉は王族しかあけることができないのです。アデリートメアリー様、開けてください」
 そう言われて、アデリートメアリー様が扉を開け、一番最初に中に入った。今から神聖魔法の契約を結ぶのだ。
 最奥の間にある白の神の前に行き名前を呼び、神聖魔法の使用許可を下さいと言って魔力を奉納すれば良いだけなので簡単だ。
 アデリートメアリー様は、中に入って割とすぐに出てきた。
「契約は出来たのですか?」
「はい。無事に。クレストリア様も行ってらっしゃいませ」
 僕が交代で中に入った。言われた通り白の神の前で許可を頂くためにお祈りをする。事前に習った通り祈り、魔力の奉納をすると白の神の像が光った。どうやら無事に神聖魔法の使用許可がでたようだ。念のためにステータスを確認したらスキル欄に神聖魔法の記載があった。
 外にでると、白または黒の属性がある領主候補生と上位貴族達が順に入って行く。白の属性を持つ者は上位貴族以上で半分もいない。中級貴族、下級でこの場に来る者はほぼいないそうだ。
 全ての領地の1年生が無事に契約を終えた後で最奥の間を僕が閉じた。その後で護衛と共に寮に戻った。

 そして、その日の夜。食事を終えてから寮館長が神聖魔法を契約できた人全員を寮内の祈りの間に連れて行った。
「ここの祈りの間には全ての大神、中神、小神の像があります。神聖魔法を使うには神の名前を覚える事が必須です。大きな魔法を使うほど多くの神の名が必要になります。極稀ですが、適性の無い属性の神聖魔法が使えるようになるケースがあります。適性のある属性だけでなく、毎日全ての神の名前を唱えて覚える様にしてください。神の像の下に神の名前が書いてありますから、覚えるように」
 適性が無い魔法が使えると言うことは属性が増えたと言うことではないのだろうか。もしかしたらこの像には適性を増やす何かがあるのではないかと思いながら神の像を見て回った。確かに全ての像の前に神の名前が書いてある。僕が鑑定で像を確認すると名前と別になぜか割合の数値が見える。なんだろうこれ。
 神の像が立ち並ぶ一番左端に行った時に石版に文字が書かれていた。
『すべての神の像に魔力を奉納せよ。まずは小神の名を唱え、祈り像に魔力を奉納せよ。さすれば小神の加護が得られよう。すべての小神の加護を得た後、中神、大神の像に魔力を奉納せよ。その後に加護の儀式を行え。王を目指す者はその後で祠を回るのだ』
 なぜ日本語で説明が書かれているのだろう。どういうことだ。
「寮館長、ここに何か書かれていますけど」
「それは失われた古代語です。残念ながら今の世で読める人はいません」
 読める人がいない。だから使い方が間違って継承されているのか?
 鑑定を使って像を見て回ったが、先日の継承の儀式で光った神に対しては数字があるが、光らなかった小神の像は数字が0になっている。詳しく調べている間に僕以外の人は部屋に戻った。僕もそろそろ戻らないといけないようだ。
 とりあえず、一番数値の割合が100%に近い中神の土神の名前を呼び、祈りをささげ魔力を奉納した。魔力は自然と吸われる感じで流れ始め100%になった瞬間に像が光った。どうやら完了のようだ。

「レイ、どうやらこの像に魔力を流せば神の加護をもらえる可能性がある。適性の無い属性を得たいなら、まずは小神に祈りをささげ魔力を奉納してごらん。小神に魔力を奉納すれば属性を得る事ができるらしい。すべての小神が終われば中神だ。レイ、君は青の中神と白、黒の大神の属性が無いよね。大神の属性を得るのはかなり沢山の魔力が必要なようだ。だから青の属性に分類された小神に祈り、魔力を奉納してみないか?」
「属性が増えるのですか。ほんとに」
「鑑定で調べた限りではそう書かれている。ただ確証はない」
 レイは、とりあえずちょっとやってみるみたいだ。1体の小神に魔力を流し始めた。
「どうレイ?」
「わかりません。魔力はどんどん流れます。魔石に魔力を流す感覚と似ているので、今で半分も到達してない感じです。回復薬があっても1回で終われないですね」
「そう、今日、いきなり無理することはないだろう。余剰分の魔力ぐらいでゆっくりと続けてほしい。明日の講義に差し障るだろう。卒業まではなだあるしね」
「そうですね。卒業式までに増えると良いのですが」
 僕が、加護をもらっていない小神の像に手をついて魔力を奉納してみた。僕の魔力の減り方を見ていると、おおよそ大魔石3つ分を奉納したところでぴかっと光った。
「小神でも、大魔石3つぐらいの魔力が必要だね。おそらく中神は小神よりも多いはずだ。さっき僕が流した感覚からすると大魔石6個ぐらいが必要なのではないかな。属性が増えるならと飛びつくには量が多いね」
「上級貴族でも学生の内に増やせるか微妙ですね」
「アンゼルム様に教えたいな。今から子供を授かるところだし、二人とも魔力量が多い。6属性と7属性だ。全属性までもあと一歩なのだから」
 二人とも新しく子供を授かるならその前が良いはずだ。とりあえず明日の午前中は講義が無い。待っていると空いた時間に王族としての教育が始まるらしい。なので、僕はヒルベルトに近いうちに少し話しが出来る様にして欲しいと手紙を書いた。今週の午前中なら出かけられると時間の調整をお願いした。
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