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第3章 学園編1
3.4 友達
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領主夫妻と両親と妹そして弟のヒルニムスにも含めて、家族全員で僕の現状について情報を共有した。城だとエヴェリーナ様が入れないのでその時だけ家に戻った。
ヒルニムスは僕が入れ替わったことを認識していなかったけど何となく違うと言うことはわかっていたみたいだ。
僕がおかあさまの姉、シルクヴィスクレアの子供であったこと、なぜ自分がここにいることになったのかそういった裏の事情も話した。そして今、王族として抜けることも。
すべて話したうえで、妹も弟も僕の事を兄として受け入れてくれた。
家にはクレストリアの隠し部屋があり、まだ物が閉まったままになった部屋があるが自分と両親以外は中に入ることができないらしい。僕がこの家で暮らさないのでこの家に隠し部屋は必要ないのでしばらくは部屋を閉じずに保存することになった。
そして翌日、皆で元のクレストリアの眠る墓へも行った。
家族会議が終わると僕自身が外に出る準備が必要になった。僕が傍系の王族となることを想定すると、学園での護衛騎士が必要になるらしい。普段は成人した騎士が護衛をするが、学生達だけの学園の行事では学生だけしか部屋に残れない時があるらしく、学生の護衛騎士も必要らしい。
希望を聞かれたので、実力は足りないかもしれないけれどヒルベルトが良いと言った。
領主様とおとうさま、おかあさまに許可を貰い、ヒルベルトにも今までの事を告白する事にした。
明日から夏の子供教室が始まるという日にヒルベルトが城に来てくれた。
「クレストリア、今日は何の話だ」
「うん、これを。ちゃんと全部話すよ」
「全部か。ようやく話す気になったのか。でも3年も過ぎたんだ。もう話さない方が良いのではないか」
そう言いながら、盗聴防止の魔道具を握った。
「どこから話そうか。まず結論から言っておくと僕は君の知っているクレストリアでは無い」
「そうだろうな。まあ良いよ。わかってたから」
「うん、やっぱりそうだよね。君だけが最初から疑ってたしね。じゃあ最初から話すね、順番に」
そして産まれて1年目で誘拐された事、それから7歳までずっと捕らわれていた事、そしてこの地に来てからの対応、先日の王家の話し。最後に学園中の護衛の話し。
「虫が良いのはわかってるけど、僕にとって一番信用できる友達がヒルベルトなんだ。僕はほら、なかなか他人と仲良くなれなくて。自分から話しかけられないから」
「レイマルティナ様も上級貴族だろ。護衛ならレイ様の方が強いし役に立つぞ。前からお前が領主候補になるだろうからその時には仕えたいと言ってたし。クレストリアの立場を予想していたからな。付き合いもあったし。まあ予想と言ってもあくまでここの領主前提だから中央となるとどうかはわからんがな」
「それは、その。君には断られたって事?」
「ようやく正直に話してくれたから、嘘は許してやる。もうクレストリアはいないんだろ。そしておまえはランスターエルリックとしては生きられない。お前がクレストリアとして生きるなら俺はお前の友達になっても良い。だけど護衛はだめだ護衛騎士は断る。お前が嫌いだからとか許せないとかじゃない。本当は、僕が一緒に行きたい。そう思ってる」
「どういうこと」
「俺とクレストリアとは友達だ。お前も言ってたろ。一番の友達だって。だからさ。護衛になったら主従になるだろ。お前とは友達でいたい。例えお前が王になっても、僕とは友達だ。それに前のクレストリアにも頼まれたしな」
「え、前のクリストリア?」
「ああ、聞いたのはクレストリアが倒れる直前だ。僕もその時は小さかったから、なんの話をしているんだろうと思っていたけど、後になってわかったんだ。王族の血が流れていると特殊な力があるんだろ。クレストリアが言ってた」
「ああ、僕には鑑定の力がある。クレストリアも何か力があったと思う」
「クレストリアが言うには、未来を見れるんだと。じゃんけんで勝つか負けるかぐらいの未来しかわからない使えない能力だと言っていた。だけど最後の別れになる時、自分には同じ魂をわけた弟がいると言っていた」
「え、同じ魂。弟はヒルニムスの事じゃないよね」
「ああ、母親が双子でそっちに生まれた子供が弟だって。自分はもうすぐ消えるけど、弟が僕の前に現れる。僕と仲良くして欲しい。そう頼まれたのさ」
「ええ、ほんとに」
「ああ、もちろんその時は意味がわからなかった。その後でエルレドルア領主の息子ランスターエルリック様が毒殺され、葬式に君の父親のオルトヴィアー様が出かけるから僕のとうさまが護衛でついて行ったんだ。そのあとで久しぶりにあったクレストリアが急に元気になっていた。記憶喪失ってのもおかしい。なんとなくクレストリアが言っていた弟にかわったんだなって思ったよ。そのうちに同じ魂を分けた弟っていうのもわかってきたよ。クレストリアと違うはずなのに、僕の知るクレストリアも君の中にいたからね。挨拶した後の首の傾け方とか、ほんとに些細なことだけどね」
「小さい時はあまり外出できないはずだろ。ヒルベルトはどうしてそんなにクレストリアの小さい時を知ってるんだい」
「そうか、説明されてないのか。システィナ様が弟を生んだ時に体調を崩されたことを聞いてないのか。クレストリアは一時、城でエヴェリーナ様に育てられた時期があったんだよ。同じように僕もね。僕とクレストリアは3歳から5歳の時一緒に育ったのさ。その後家に戻ってからも僕がやんちゃで、良くクレストリアの家に遊びに言っていたのさ。クレストリアが6歳になって体調を崩し始めてからはさすがにあまり行かなくなったけどね」
「そう、ヒルニムスの育て方が貴族の普通だと思っていたけど、家から出ても大丈夫なんだ」
「下級貴族は、母親が傍使えで仕事をすることが多いから、小さい子供を預ける場所があるらしいぞ。僕ら上級貴族は家に面倒を見る傍使えがいるから大人の中で育てられるが、僕とクレストリアはちょうど同じときに母親が体調を崩したから特別だろう。エヴェリーナ様に子供が出来なかったからちょうど心の安定の為にも僕らが必要だったらしいけどね」
「それでクレストリアの事を良く知っていたのか。エヴェリーナ様が僕らの事を気にかけてくれた理由もそういうことか」
「でもクレストリアを良く知っていても、君は本当にそっくりだったよ。半年ぐらい顔を合わせていなかっただからと言うのもあるけど、別人だと断定するのに時間がかかったし、一緒に居ればいるほど逆に違和感もなくなってきたからね。クレストリアが弟と入れ替わると聞いてなければ別人だと確定することはなかっただろうな」
「僕とクレストリアが同じ魂をわけた存在だとするなら、もしかしてクレストリアは前世があると言ってなかったかい」
「ああ、言っていた。ときどき大人の自分だった夢を見ると」
「やっぱり、どんなことを言っていたの」
「うーん、さすがに話したことはあまり覚えてない。あまり理解できる内容ではなかったな。そういえばここよりもおいしいご飯があるとは言ってたな」
「おいしいご飯を作ったり、作らせたりしてたの?」
「いや、ないな。作り方を覚えていればよかったーと言ってたことはあったな」
「そうか。うん。わかった」
「やっぱり、君も前世もあるのかい」
「わからないんだ。なんとなく年齢よりも上の意識があるけど前世の記憶は全くない。でも知識は探せる。今の話からするとクレストリアと逆だね。彼は前世の記憶があるけど知識が無かった。僕は前世の記憶はないけど知識だけがある」
「ふーん。便利そうだな」
「日本茶を作り出したりお菓子を作り出したりしたのは、前世が関係する世界の知識を使ったんだ」
「そうか、君が居ればクレストリアは楽しめただろうね」
「うっ。そうだね」
「ああ、ごめん。たいした意味はない。気にしないでくれ」
「ああ、大丈夫。そう。今日はいろいろ話せてよかったよ。それじゃあ僕とヒルベルトは友達ってことで、これかもずっとよろしく」
「おう」
「じゃあ、明日からの子供教室、友達として付き合ってくれ。頼むよ」
「ああ、じゃあまた明日な」
そう言って、わかれた。
翌日、子供教室が開催された。勉強が終わった後でレイマルティナ・ファルケンマイヤーに残ってもらい、傍系の王族として中央から学園に行くために護衛をして欲しいと頼んだ。
「やはりクレストリア様は、私の思った通りでした。これからは、このレイマルティナ、クレストリア様の盾となり剣となります」
あっさりと了承して騎士の誓いを立ててくれた。後で領主様を通してファルケンマイヤー家に連絡をして貰った。
僕は、半年後の学園の準備も始めた。学園に行っている間、料理人をはじめいろいろな人を連れて行かなければ行けない。エリックとエリーの結婚式は先日城で行われた。この2人を連れて行くと学園の料理係りの総数が不足するそうだ。元々僕の料理人をあてにしていたらしい。それにエリック達が中央で料理をするには回りの理解も必要だ。料理人を増やし、かつ中央からも料理人を派遣してもらい育てる事になった。
僕の場合、服にはあまりこだわりがないので、服飾の係りは中央で用意してもらう。だが食は大事なのだ、食は。そこは手厚く準備を入念に。
着々と準備をしつつ、お勉強もしっかりとこなす。
今年は神聖魔法の祝詞を沢山覚えされられた。基本はお祈りだ。神聖魔法を使う場合、関係する魔法に必用な神様の名前を言えば良い。魔法を使うには中央にある神殿で神様との契約をしなければ神聖魔法は使えないそうだ。だから神様の名前と祝詞をしっかりと覚え込む。
魔法は、危ないから学園に行くまでは習わない。習う場合も魔力の操作方法や基礎魔法かららしい。未熟なうちに攻撃魔法を習い、魔力操作を誤ると魔力暴走で爆発事故が起きる可能性があるらしい。夏の子供教室では基礎が大切と言うことを何度も教え込まれた。
子供教室が終わって、こっそりとエヴェリーナ様から子供が産まれたと教えてもらった。女の子だったそうだ。とりあえず出生は半年ほど遅らせるので、お祝いも送らない。
僕らも子供の安全を考えるなら近づくなと言われたのでエヴェリーナ様に気遣いの手紙だけを送った。手紙はどこで見られるかわからないから、けして子供が産まれたような事を書くなと注意された。
ヒルニムスは僕が入れ替わったことを認識していなかったけど何となく違うと言うことはわかっていたみたいだ。
僕がおかあさまの姉、シルクヴィスクレアの子供であったこと、なぜ自分がここにいることになったのかそういった裏の事情も話した。そして今、王族として抜けることも。
すべて話したうえで、妹も弟も僕の事を兄として受け入れてくれた。
家にはクレストリアの隠し部屋があり、まだ物が閉まったままになった部屋があるが自分と両親以外は中に入ることができないらしい。僕がこの家で暮らさないのでこの家に隠し部屋は必要ないのでしばらくは部屋を閉じずに保存することになった。
そして翌日、皆で元のクレストリアの眠る墓へも行った。
家族会議が終わると僕自身が外に出る準備が必要になった。僕が傍系の王族となることを想定すると、学園での護衛騎士が必要になるらしい。普段は成人した騎士が護衛をするが、学生達だけの学園の行事では学生だけしか部屋に残れない時があるらしく、学生の護衛騎士も必要らしい。
希望を聞かれたので、実力は足りないかもしれないけれどヒルベルトが良いと言った。
領主様とおとうさま、おかあさまに許可を貰い、ヒルベルトにも今までの事を告白する事にした。
明日から夏の子供教室が始まるという日にヒルベルトが城に来てくれた。
「クレストリア、今日は何の話だ」
「うん、これを。ちゃんと全部話すよ」
「全部か。ようやく話す気になったのか。でも3年も過ぎたんだ。もう話さない方が良いのではないか」
そう言いながら、盗聴防止の魔道具を握った。
「どこから話そうか。まず結論から言っておくと僕は君の知っているクレストリアでは無い」
「そうだろうな。まあ良いよ。わかってたから」
「うん、やっぱりそうだよね。君だけが最初から疑ってたしね。じゃあ最初から話すね、順番に」
そして産まれて1年目で誘拐された事、それから7歳までずっと捕らわれていた事、そしてこの地に来てからの対応、先日の王家の話し。最後に学園中の護衛の話し。
「虫が良いのはわかってるけど、僕にとって一番信用できる友達がヒルベルトなんだ。僕はほら、なかなか他人と仲良くなれなくて。自分から話しかけられないから」
「レイマルティナ様も上級貴族だろ。護衛ならレイ様の方が強いし役に立つぞ。前からお前が領主候補になるだろうからその時には仕えたいと言ってたし。クレストリアの立場を予想していたからな。付き合いもあったし。まあ予想と言ってもあくまでここの領主前提だから中央となるとどうかはわからんがな」
「それは、その。君には断られたって事?」
「ようやく正直に話してくれたから、嘘は許してやる。もうクレストリアはいないんだろ。そしておまえはランスターエルリックとしては生きられない。お前がクレストリアとして生きるなら俺はお前の友達になっても良い。だけど護衛はだめだ護衛騎士は断る。お前が嫌いだからとか許せないとかじゃない。本当は、僕が一緒に行きたい。そう思ってる」
「どういうこと」
「俺とクレストリアとは友達だ。お前も言ってたろ。一番の友達だって。だからさ。護衛になったら主従になるだろ。お前とは友達でいたい。例えお前が王になっても、僕とは友達だ。それに前のクレストリアにも頼まれたしな」
「え、前のクリストリア?」
「ああ、聞いたのはクレストリアが倒れる直前だ。僕もその時は小さかったから、なんの話をしているんだろうと思っていたけど、後になってわかったんだ。王族の血が流れていると特殊な力があるんだろ。クレストリアが言ってた」
「ああ、僕には鑑定の力がある。クレストリアも何か力があったと思う」
「クレストリアが言うには、未来を見れるんだと。じゃんけんで勝つか負けるかぐらいの未来しかわからない使えない能力だと言っていた。だけど最後の別れになる時、自分には同じ魂をわけた弟がいると言っていた」
「え、同じ魂。弟はヒルニムスの事じゃないよね」
「ああ、母親が双子でそっちに生まれた子供が弟だって。自分はもうすぐ消えるけど、弟が僕の前に現れる。僕と仲良くして欲しい。そう頼まれたのさ」
「ええ、ほんとに」
「ああ、もちろんその時は意味がわからなかった。その後でエルレドルア領主の息子ランスターエルリック様が毒殺され、葬式に君の父親のオルトヴィアー様が出かけるから僕のとうさまが護衛でついて行ったんだ。そのあとで久しぶりにあったクレストリアが急に元気になっていた。記憶喪失ってのもおかしい。なんとなくクレストリアが言っていた弟にかわったんだなって思ったよ。そのうちに同じ魂を分けた弟っていうのもわかってきたよ。クレストリアと違うはずなのに、僕の知るクレストリアも君の中にいたからね。挨拶した後の首の傾け方とか、ほんとに些細なことだけどね」
「小さい時はあまり外出できないはずだろ。ヒルベルトはどうしてそんなにクレストリアの小さい時を知ってるんだい」
「そうか、説明されてないのか。システィナ様が弟を生んだ時に体調を崩されたことを聞いてないのか。クレストリアは一時、城でエヴェリーナ様に育てられた時期があったんだよ。同じように僕もね。僕とクレストリアは3歳から5歳の時一緒に育ったのさ。その後家に戻ってからも僕がやんちゃで、良くクレストリアの家に遊びに言っていたのさ。クレストリアが6歳になって体調を崩し始めてからはさすがにあまり行かなくなったけどね」
「そう、ヒルニムスの育て方が貴族の普通だと思っていたけど、家から出ても大丈夫なんだ」
「下級貴族は、母親が傍使えで仕事をすることが多いから、小さい子供を預ける場所があるらしいぞ。僕ら上級貴族は家に面倒を見る傍使えがいるから大人の中で育てられるが、僕とクレストリアはちょうど同じときに母親が体調を崩したから特別だろう。エヴェリーナ様に子供が出来なかったからちょうど心の安定の為にも僕らが必要だったらしいけどね」
「それでクレストリアの事を良く知っていたのか。エヴェリーナ様が僕らの事を気にかけてくれた理由もそういうことか」
「でもクレストリアを良く知っていても、君は本当にそっくりだったよ。半年ぐらい顔を合わせていなかっただからと言うのもあるけど、別人だと断定するのに時間がかかったし、一緒に居ればいるほど逆に違和感もなくなってきたからね。クレストリアが弟と入れ替わると聞いてなければ別人だと確定することはなかっただろうな」
「僕とクレストリアが同じ魂をわけた存在だとするなら、もしかしてクレストリアは前世があると言ってなかったかい」
「ああ、言っていた。ときどき大人の自分だった夢を見ると」
「やっぱり、どんなことを言っていたの」
「うーん、さすがに話したことはあまり覚えてない。あまり理解できる内容ではなかったな。そういえばここよりもおいしいご飯があるとは言ってたな」
「おいしいご飯を作ったり、作らせたりしてたの?」
「いや、ないな。作り方を覚えていればよかったーと言ってたことはあったな」
「そうか。うん。わかった」
「やっぱり、君も前世もあるのかい」
「わからないんだ。なんとなく年齢よりも上の意識があるけど前世の記憶は全くない。でも知識は探せる。今の話からするとクレストリアと逆だね。彼は前世の記憶があるけど知識が無かった。僕は前世の記憶はないけど知識だけがある」
「ふーん。便利そうだな」
「日本茶を作り出したりお菓子を作り出したりしたのは、前世が関係する世界の知識を使ったんだ」
「そうか、君が居ればクレストリアは楽しめただろうね」
「うっ。そうだね」
「ああ、ごめん。たいした意味はない。気にしないでくれ」
「ああ、大丈夫。そう。今日はいろいろ話せてよかったよ。それじゃあ僕とヒルベルトは友達ってことで、これかもずっとよろしく」
「おう」
「じゃあ、明日からの子供教室、友達として付き合ってくれ。頼むよ」
「ああ、じゃあまた明日な」
そう言って、わかれた。
翌日、子供教室が開催された。勉強が終わった後でレイマルティナ・ファルケンマイヤーに残ってもらい、傍系の王族として中央から学園に行くために護衛をして欲しいと頼んだ。
「やはりクレストリア様は、私の思った通りでした。これからは、このレイマルティナ、クレストリア様の盾となり剣となります」
あっさりと了承して騎士の誓いを立ててくれた。後で領主様を通してファルケンマイヤー家に連絡をして貰った。
僕は、半年後の学園の準備も始めた。学園に行っている間、料理人をはじめいろいろな人を連れて行かなければ行けない。エリックとエリーの結婚式は先日城で行われた。この2人を連れて行くと学園の料理係りの総数が不足するそうだ。元々僕の料理人をあてにしていたらしい。それにエリック達が中央で料理をするには回りの理解も必要だ。料理人を増やし、かつ中央からも料理人を派遣してもらい育てる事になった。
僕の場合、服にはあまりこだわりがないので、服飾の係りは中央で用意してもらう。だが食は大事なのだ、食は。そこは手厚く準備を入念に。
着々と準備をしつつ、お勉強もしっかりとこなす。
今年は神聖魔法の祝詞を沢山覚えされられた。基本はお祈りだ。神聖魔法を使う場合、関係する魔法に必用な神様の名前を言えば良い。魔法を使うには中央にある神殿で神様との契約をしなければ神聖魔法は使えないそうだ。だから神様の名前と祝詞をしっかりと覚え込む。
魔法は、危ないから学園に行くまでは習わない。習う場合も魔力の操作方法や基礎魔法かららしい。未熟なうちに攻撃魔法を習い、魔力操作を誤ると魔力暴走で爆発事故が起きる可能性があるらしい。夏の子供教室では基礎が大切と言うことを何度も教え込まれた。
子供教室が終わって、こっそりとエヴェリーナ様から子供が産まれたと教えてもらった。女の子だったそうだ。とりあえず出生は半年ほど遅らせるので、お祝いも送らない。
僕らも子供の安全を考えるなら近づくなと言われたのでエヴェリーナ様に気遣いの手紙だけを送った。手紙はどこで見られるかわからないから、けして子供が産まれたような事を書くなと注意された。
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