貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油

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第2章 上級貴族の息子

2.24 試飲会

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 一番茶が出来上がったと連絡があり、おとうさまとおかあま、それにお出かけができるようになったアイリンーンを連れて城に向かった。
 今日は全ての茶畑で取れた一番茶の飲み比べだ。
 案内され部屋に入ると久しぶりのシーズカイルと領主夫妻がすでに待っていた。挨拶をして今日の茶の試飲会の説明を受けた。
 領内にある3箇所全てから茶葉を集め、区画ごとのお茶が用意されているそうだ。全部で7つに別れている。全て同じ製法で作ったそうだ。
 7つ全てを飲み比べたが、全体的に甘みがあって良い出来だった。2つが甘みが少なくて渋みが出ていた。
「こちらは、収穫時期が遅かったのでしょうか。渋みが出てますね。煎茶として飲むなら良い感じです」
「収穫時期は一緒なのだが、この農園が一番南にあり、一番大きい農園だから全てを収穫するのに時間がかかったのだと思います」
 シーズカイルの分析は、そうらしい。大きい農園だから従業員が沢山いるだろうが、収穫を一気にやるには人手が足りないのだろう。
 すべて飲み比べてあまり味に違いがなかった。去年よりは大量に一番茶を仕入れることが出来たので良しとしよう。渋みが出た物は、挽いて粉にしてお菓子に使う。僕は、必用な量だけ購入した。
 今回もお茶は、他領との取引に使うそうだ。結構高値で売れるらしい。僕が購入する分は去年と同じぐらいの値段にしてくれたが来年はもう少し高くしたいそうだ。他領に出すなら、茶畑をもっと増やして欲しい。自分の分が無くなってしまうではないか。
 と苦情を言うと、茶畑を増やしているそうだが、すぐに収穫量が増えるわけではないそうだ。まあ、売ってもらえる約束はしてもらえたので我慢しよう。
 この後も、お菓子様に2番茶も一部の茶畑が日本茶を作るそうだ。残りはいつもどおりの紅茶にするらしい。領内で消費する紅茶も必要なので、日本茶を売って紅茶を買うらしい。日本茶の方が圧倒的に高値。日本茶が他領でも受け入れられのが驚きだ。
 その後では紅茶の話を聞いていたら、そのうちに紅茶も飲みたくなってきた。匂いの良いフレーバーティが飲みたいな。
 と言う事で、家に帰ってから日を改めてシーズカイルを呼んだ。
 シーズカイルによるとハーブティーのようなお茶はあるけれど果物の香りを着けたお茶は無いそうだ。とりあえず高級茶葉ではなく、安い紅茶に乾燥した果物の実や皮、花びらなど香りの高い物を選んで混ぜた物を作って欲しいと依頼した。
 そんな事をしていたら夏の子供部屋教室が始まった。
 僕も、いよいよ9歳だ。
 夏の教室で習った事は色々な魔道具についてだ。家庭で使う魔道具が中心だが魔道具の使い方を習った。
 魔道具の動かし方は総じて魔力を供給すれば良いが、魔道具が決められた量の魔力を吸い出す魔道具と、魔力を与えて動かす魔道具の2種類がある。既定量の魔力を使う転移陣は一定量を吸い出される。魔力が既定値に足りないと途中まで注いだ魔力が無駄になるので、下級貴族は魔石を使って動かすらしい。
 魔力を与えて動かすのは、流し続けた分だけ動く様な魔道具だ。掃除機のような魔道具があった。家では平民の下働きが掃除をするので掃除機の魔道は見た事がなかった。城では領主に使える傍仕えは全て貴族で、貴族が掃除をするので魔道具の掃除機があるそうだ。
 こういった魔道具は中級貴族や下級貴族が作り売る事で生計を立てているそうだ。
 魔道具を作るのにも魔力は必要だが、魔道具を作る魔力は魔石を購入し、魔石の魔力を操作する事で魔道具を作る。かかった経費よりも魔道具が高ければ儲けになるわけだ。
 上級貴族は魔力が多いが細かい魔力操作が割と苦手、下級貴族は魔力はないが、細かい魔力操作が得意な人が多いそうだ。特に他人の魔力を操作する事ができれば魔道具作製はよい収入源となる。腕のよい魔道具職人は上級貴族並に稼いでいるらしい。下級貴族が全て貧乏と言う訳ではないらしい。
 そうして気が付いた。平民しか商売をしないのかと思ったら、貴族でも商売をしている。ということは、貴族が直接お店を作っても良いのか?
 どうやら話を聞く限りでは、魔道具は貴族しか取り扱ってはいけないので、平民の店で取り扱わない。だから魔道の売り買いは貴族が行う。どうやら例外的に貴族が商売をやっているようだ。
 2年目の子供教室を経験し、去年よりも体を動かせるようになったことを実感した。そして男の子同士でいる時間が増えた。剣術の時間だけでなく、男の子との遊びにもつきあえるようになった。体力がかなり増えたなーと実感できた。
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