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第2章 上級貴族の息子
2.2 城へ
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家に来て数日ゆっくりと過ごたが、その後は礼儀作法の練習をさせられた。妹弟とも食事時以外で少しづつ会話して交流した。
そして1週間ほどが過ぎた時に城へと出発した。出発といっても隣の建物にいくだけ。ただ隣は城。馬鹿でかい。城壁を回りこみ、とことこと馬車で移動する。歩いても行けるぐらいだが、正式な用事で城に行く時は馬車で移動するそうだ。
おとうさまは普段の通勤は使役獣で直接執務エリアに行くらしい。使役獣は貴族が通う学園でしか手に入らない。使役獣をもたない未成年の子供が城に行くのはこうした正式な訪問だけで、必ず馬車で移動する。
城は、中世ヨーロッパタイプの大きな城だ。城壁の中は城だけではなく、幾つかの建物がある。貴族全員が集まれる大きな講堂や兵士の訓練場などいろいろな施設が併設されているのでかなり大きい。この領地の貴族は全部で500人ぐらい。一番多い時で800人ぐらいだった。今は少し減っているそうだ。
今日は中央のお城部分に行く。建物にはいり中央部の大きなロビーを抜けて正面階段を上り、広い部屋に入る。正面に大きくていかにも王様の椅子と言う感じの椅子があった。
暫く待っていると、領主夫妻と思われる男女が入ってきた。男はおとうさまに良く似た男性だった。
「領主様、私の息子クレストリアを連れ戻しましたのでご報告に来ました。もう1名はウルレアール。2人ともダーヴィッドに連れ去れた被害者です。さあクレストリア、挨拶をしなさい」
「クレストリア・フルトヴィストです。アンゼルム様のおかげでようやく外に出ることが叶いました。ありがとうございます」
「ウルレアール・クスケットです。シルドリックとは離別したことになっているようですので旧姓を使わせていただきます。このたびは討伐隊を派遣していただきありがとうございました。また、この領地に暫く間滞在する事をお許し頂き、感謝しております」
「うむ、クレストリアにウルレアール。我がアンゼルムだ。ダーヴィッドに暗殺された貴族は多いのだが、その中でおぬしら二人良く生き残ってくれた。クレストリアも小さいながらに懸命に生き残る道を探して努力したそうだな。魔力枯渇も乗り越えたと聞いた。我も一度だけ経験があるがその年で良く生き残ったものだ。さすが私の甥だ」
「お褒め頂きありがとうございます」
「では、2人の今後の待遇であるが、ウルレアールについては来週から始まる秋の領主会議でエルレドルア領と個別に話合い最終決定をするつもりだ」
「私事でお手を煩わせ申し訳ありません」
「状況は聞いておる通りだ。被害者であるそなたの利益を最大限に確保する形にしたいと思う。実際の交渉を行う文官を後で派遣するから良く話し合うが良い。それと我が領地の独身男性とはきちんと見合いをするようにな。そうでなければ守りきれぬ。よいな」
「御心使い感謝いたします」
「クレストリア。お主にこれを渡そう。これは領内に夫婦に子供が産まれた場合に配布する魔道具だ。貴族の多かった時代は自分達で購入していたのだが、我が領地では貴族が減り産まれた子供全てに魔道具を配る事になっている。お主は手元に魔道具が無いはずなのでこれを使いなさい」
そう言って、魔石をいれる魔道具と大きな魔石を3つに薬を10個ほど貰った。
「これは、腰に付けておくのだ。あふれた魔力を魔石に溜め込んでいく。10歳になると学園に通う様になる。その時に魔石3つ分の魔力がなければ学園での実技が終わらぬ。中級以下ではかなり小さいうちから魔力を溜めておくのだ。学園に行くまでに残り3年しかない。もしも魔力を溜めるのが間に合わないようならば回復薬を飲んで強制的に魔力回復させながら溜めなさい」
魔道具を使えば他人の魔力の影響の無い魔力が溜まった魔石を作る事ができるらしい。でも魔石3つは数日で溜まる気がする。ちょっと疑問に思いつつ受け取った。
「ありがとうございます。これより魔力を溜め、学園での勉学に使えるよう努力したいとおもいます」
「うむ、あとは聖礼式で魔力登録をすれば無事にこの領地の貴族見習いとなれる。おぬしの聖礼式を心待ちにしておるぞ」
そうして、僕らは城を出て家に戻った。
そして1週間ほどが過ぎた時に城へと出発した。出発といっても隣の建物にいくだけ。ただ隣は城。馬鹿でかい。城壁を回りこみ、とことこと馬車で移動する。歩いても行けるぐらいだが、正式な用事で城に行く時は馬車で移動するそうだ。
おとうさまは普段の通勤は使役獣で直接執務エリアに行くらしい。使役獣は貴族が通う学園でしか手に入らない。使役獣をもたない未成年の子供が城に行くのはこうした正式な訪問だけで、必ず馬車で移動する。
城は、中世ヨーロッパタイプの大きな城だ。城壁の中は城だけではなく、幾つかの建物がある。貴族全員が集まれる大きな講堂や兵士の訓練場などいろいろな施設が併設されているのでかなり大きい。この領地の貴族は全部で500人ぐらい。一番多い時で800人ぐらいだった。今は少し減っているそうだ。
今日は中央のお城部分に行く。建物にはいり中央部の大きなロビーを抜けて正面階段を上り、広い部屋に入る。正面に大きくていかにも王様の椅子と言う感じの椅子があった。
暫く待っていると、領主夫妻と思われる男女が入ってきた。男はおとうさまに良く似た男性だった。
「領主様、私の息子クレストリアを連れ戻しましたのでご報告に来ました。もう1名はウルレアール。2人ともダーヴィッドに連れ去れた被害者です。さあクレストリア、挨拶をしなさい」
「クレストリア・フルトヴィストです。アンゼルム様のおかげでようやく外に出ることが叶いました。ありがとうございます」
「ウルレアール・クスケットです。シルドリックとは離別したことになっているようですので旧姓を使わせていただきます。このたびは討伐隊を派遣していただきありがとうございました。また、この領地に暫く間滞在する事をお許し頂き、感謝しております」
「うむ、クレストリアにウルレアール。我がアンゼルムだ。ダーヴィッドに暗殺された貴族は多いのだが、その中でおぬしら二人良く生き残ってくれた。クレストリアも小さいながらに懸命に生き残る道を探して努力したそうだな。魔力枯渇も乗り越えたと聞いた。我も一度だけ経験があるがその年で良く生き残ったものだ。さすが私の甥だ」
「お褒め頂きありがとうございます」
「では、2人の今後の待遇であるが、ウルレアールについては来週から始まる秋の領主会議でエルレドルア領と個別に話合い最終決定をするつもりだ」
「私事でお手を煩わせ申し訳ありません」
「状況は聞いておる通りだ。被害者であるそなたの利益を最大限に確保する形にしたいと思う。実際の交渉を行う文官を後で派遣するから良く話し合うが良い。それと我が領地の独身男性とはきちんと見合いをするようにな。そうでなければ守りきれぬ。よいな」
「御心使い感謝いたします」
「クレストリア。お主にこれを渡そう。これは領内に夫婦に子供が産まれた場合に配布する魔道具だ。貴族の多かった時代は自分達で購入していたのだが、我が領地では貴族が減り産まれた子供全てに魔道具を配る事になっている。お主は手元に魔道具が無いはずなのでこれを使いなさい」
そう言って、魔石をいれる魔道具と大きな魔石を3つに薬を10個ほど貰った。
「これは、腰に付けておくのだ。あふれた魔力を魔石に溜め込んでいく。10歳になると学園に通う様になる。その時に魔石3つ分の魔力がなければ学園での実技が終わらぬ。中級以下ではかなり小さいうちから魔力を溜めておくのだ。学園に行くまでに残り3年しかない。もしも魔力を溜めるのが間に合わないようならば回復薬を飲んで強制的に魔力回復させながら溜めなさい」
魔道具を使えば他人の魔力の影響の無い魔力が溜まった魔石を作る事ができるらしい。でも魔石3つは数日で溜まる気がする。ちょっと疑問に思いつつ受け取った。
「ありがとうございます。これより魔力を溜め、学園での勉学に使えるよう努力したいとおもいます」
「うむ、あとは聖礼式で魔力登録をすれば無事にこの領地の貴族見習いとなれる。おぬしの聖礼式を心待ちにしておるぞ」
そうして、僕らは城を出て家に戻った。
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