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1章 囚われた生活
1.4 盗賊の家での生活
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最近は、ウルレアールに付き添って厨房に行くようになった。厨房ではいつもの男性が1人だけ料理をしている。僕らは男性の近くに行き手伝いを始める。
最近、料理を手伝う時に知ったがこの世界の料理方法は僕が知っている料理方法と違う。まず料理器具は魔力が必要だ。ママが料理器具に魔力を通すと火が付くわけでも無いのに、なべやフライパンがあったまる。イメージ的にはIHコンロだ。
鍋やフライパンのように裏に魔法陣を書いておかないと熱は伝わらない。専用器具でなければ使えないところも似ている。
今日は、僕とママがスープの担当と言う事だ。今日は僕の知っている方法でスープを作る。牛乳が手に入ったと言っていたのでホワイトシチューを作る。小麦粉と牛乳、バターでソースを作り、具材を入れて煮込み、最後にハーブを幾つか投入して味を調える。
完成後に、僕とママの分を取り分けて、大量のスープを持っていった。
予想通りのおいしい味だった。今世で飲んだことが無いはずなのに、久しぶりと言う感じがした。食事が終わった後でダーヴィッドが部屋にやって来た。
「今日のスープはクリストが作ったと聞いたが、本当か」
「ママに作り方を言ったけど作ったのはエリックとママだよ」
「いや、作り方の事だ。こんなスープは見たことがない。どうしてこんなスープの事を知っていた」
やっぱり異世界知識でこっちの世界にはない料理だったのか?
「うーん、なんとなく牛乳を使えばおいしくなるって思っただけ」
「そうか、意外な才能だな。見ただけで味が想像できる人間がいるとは聞いたことがあるがそういうのか。お前は料理の才能があるようだから、もっと作れ。必要な材料があるなら言っておけ、出来る物なら集めてやる」
オー、すごい食いつきだ。
じゃあ酵母でも作ってパンを少し柔らかくしてみるか。
「干しぶどうとか、乾燥した果物と小さめのビンが欲しいです。果物の種類と同じだけのビンを用意してください。このくらいの小さいビンで良いですから」
「わかった。乾燥物か。デザートでも作るのか。飯はどうだ」
「今あるハーブ以外に手に入る香辛料があれば、特に赤くて辛いものとか」
「香辛料は高い、無理だな。ハーブは幾つか持ってきてやる」
「じゃあ、あとは季節の野菜があれば十分です。そんなに期待されても、幾つも思いつくわけじゃないし」
「ああ、しかしお前の口調はウルレアールが教育しているから丁寧だな。お前は平民の中で育つんだから、そんな丁寧なしゃべり方じゃなめられるぞ」
「丁寧ですか?」
「まあ、良い。ウルレアール以外と話すようになれば自然と変わるだろ。ウルレアール、今日は俺の部屋に来い」
ママががっかりした顔でダーヴィッドを見る。
「そうがっかりした顔をするな、俺の部屋の風呂を使わせてやる。風呂は好きなんだろ。そろそろ入りたいんじゃないのか」
「はい」
「じゃあ、準備しておくから待ってるぞ」
ママは、すぐに僕を寝付かせた。子供は寝なくちゃいけない事情があるらしい。残念だが僕は子供なのだ。ステータスが見れるがゆえに余計無理なことがわかる。ダーヴィッドのステータスは、僕よりもはるかに強い。
僕は総魔力が高いだけで筋力などあらゆるステータスが下回る。魔力はあるが魔法も使えない。子供なのだから当たり前だ。そして、ダーヴィッドは盗賊の首領を務めるだけあり、どの団員よりもステータスが多かった。
生活していれば嫌でもママが僕の事を守ってくれているのは良くわかった。
魔力だけでは生きていけない。団員からも必要とされるポジションを作り出す必要があった。だから僕は、反抗する事は諦め命を延ばすためにこの世界の知識を吸収しようと努力した。
最近、料理を手伝う時に知ったがこの世界の料理方法は僕が知っている料理方法と違う。まず料理器具は魔力が必要だ。ママが料理器具に魔力を通すと火が付くわけでも無いのに、なべやフライパンがあったまる。イメージ的にはIHコンロだ。
鍋やフライパンのように裏に魔法陣を書いておかないと熱は伝わらない。専用器具でなければ使えないところも似ている。
今日は、僕とママがスープの担当と言う事だ。今日は僕の知っている方法でスープを作る。牛乳が手に入ったと言っていたのでホワイトシチューを作る。小麦粉と牛乳、バターでソースを作り、具材を入れて煮込み、最後にハーブを幾つか投入して味を調える。
完成後に、僕とママの分を取り分けて、大量のスープを持っていった。
予想通りのおいしい味だった。今世で飲んだことが無いはずなのに、久しぶりと言う感じがした。食事が終わった後でダーヴィッドが部屋にやって来た。
「今日のスープはクリストが作ったと聞いたが、本当か」
「ママに作り方を言ったけど作ったのはエリックとママだよ」
「いや、作り方の事だ。こんなスープは見たことがない。どうしてこんなスープの事を知っていた」
やっぱり異世界知識でこっちの世界にはない料理だったのか?
「うーん、なんとなく牛乳を使えばおいしくなるって思っただけ」
「そうか、意外な才能だな。見ただけで味が想像できる人間がいるとは聞いたことがあるがそういうのか。お前は料理の才能があるようだから、もっと作れ。必要な材料があるなら言っておけ、出来る物なら集めてやる」
オー、すごい食いつきだ。
じゃあ酵母でも作ってパンを少し柔らかくしてみるか。
「干しぶどうとか、乾燥した果物と小さめのビンが欲しいです。果物の種類と同じだけのビンを用意してください。このくらいの小さいビンで良いですから」
「わかった。乾燥物か。デザートでも作るのか。飯はどうだ」
「今あるハーブ以外に手に入る香辛料があれば、特に赤くて辛いものとか」
「香辛料は高い、無理だな。ハーブは幾つか持ってきてやる」
「じゃあ、あとは季節の野菜があれば十分です。そんなに期待されても、幾つも思いつくわけじゃないし」
「ああ、しかしお前の口調はウルレアールが教育しているから丁寧だな。お前は平民の中で育つんだから、そんな丁寧なしゃべり方じゃなめられるぞ」
「丁寧ですか?」
「まあ、良い。ウルレアール以外と話すようになれば自然と変わるだろ。ウルレアール、今日は俺の部屋に来い」
ママががっかりした顔でダーヴィッドを見る。
「そうがっかりした顔をするな、俺の部屋の風呂を使わせてやる。風呂は好きなんだろ。そろそろ入りたいんじゃないのか」
「はい」
「じゃあ、準備しておくから待ってるぞ」
ママは、すぐに僕を寝付かせた。子供は寝なくちゃいけない事情があるらしい。残念だが僕は子供なのだ。ステータスが見れるがゆえに余計無理なことがわかる。ダーヴィッドのステータスは、僕よりもはるかに強い。
僕は総魔力が高いだけで筋力などあらゆるステータスが下回る。魔力はあるが魔法も使えない。子供なのだから当たり前だ。そして、ダーヴィッドは盗賊の首領を務めるだけあり、どの団員よりもステータスが多かった。
生活していれば嫌でもママが僕の事を守ってくれているのは良くわかった。
魔力だけでは生きていけない。団員からも必要とされるポジションを作り出す必要があった。だから僕は、反抗する事は諦め命を延ばすためにこの世界の知識を吸収しようと努力した。
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