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決着

19.4 最後の決戦

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「そろそろ万策尽きだろう、回復される前にとどめを刺すか」
 どすどすと言う音を立てながらイザラークが近づいてくる。
 騎士達が向かったが、一撃で飛ばされた。さっきよりも力が増している。神力を使った身体強化に切り替えているのか。

 その時、突然目の前が明るくなった。目の前にアリスが見える。色合いが少し薄い。幻覚の様だ。
 アリスは僕の前で両手を結び祈りを捧げる。僕に大きな光が降り注ぐ、以前にこんな感じの事があったような気がする。魔力が全て一気に回復し、体の痛みも消えた。
「ありがとうアリス。必ず生き残るよ」
 そう言うと、アリスの幻覚はすっと消えた。
「アクアオルギュスの記憶と共に逝くが良い。父上、母上、そしてアウロスとアロイス。一緒に逝った多くの騎士達。君達の元へ送る。
さあ、イザラーク、これが正真正銘、最後だ」
「うわ、やめろ、俺を殺せばお前も死ぬぞ。お前だけではなくあの女も」
「私が死んでもお前はしなかっただろう、逆もしかり。脅しは通じない」
「神力で殺されれば魂は消滅する。前の勇者も死んだだろう」
「1000年前の記録は無い。だが賢者様が言うのには勇者は後に国を作り王になっている。つまり死んでいない」

「そんな、せっかく生まれたのに。私はまた死ぬのか。何度生まれ変わっても幸せになれぬのか、どうしてだ。私が何をしたと言うのだ」
「今世でも罪なき者達を沢山殺しただろう、お前に与える慈悲は無い。消えろ」

 僕は、思い切り剣を振るう。使った剣が壊れる勢いで。

 大爆風が吹き荒れ、僕もその場に留まれず吹き飛ばされた。鎧に仕込んでいた障壁の魔法が発動し、地面に落ちた後も転がる。ダメージは無いが、他の人は大丈夫だったのだろうか。

 周りを見渡すとおじさまはずいぶんと手前で起き上がり、他の人も近くにいた。どうやら質量が多いほど手前に居るようだ。騎士が前で魔導士は僕よりも後ろだ。

 イザラークの気配がない。倒したのだ。
 少し離れたところではまだ魔物と騎士達が戦っている。魔王は倒したが魔物化は元に戻らない。言われていたがその通りか。
 だが、魔王を倒したのに魔物の強さが変わらない。倒せば弱くなるはずだったのでは。

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