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本編
16.4 領都の生活
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「クリス様、本日はよくぞお越しいただきました」
「教会にはいつも世話になっているからね。こちらにもなるべく早くいこうと思っていたんだよ。ほんとだよ」
「ええ、ありがたい事です」
思考が分散する現象が今まさに降ってきているような。変な感じだ。
教会に居るのだぞ、神の影響化で何かが干渉してきているのか。誰がそんな事を。
「クリス様、そろそろ出かけましょう。わたし、あまり教会には居たくないの」
「え、ああ良いけど、どうしたの」
「お祈りは好きなんだけど、教会の人に会うのは好きじゃないの」
「司教達に、ここの人達は親切だよ。どうしたの」
「聖女になれって勧誘する人よ」
「聖女、君が?」
「そうよ、祈ったら温泉が出たとか、魔物が沢山出た時も私が祈っている時に光っていたっていいはるの」
うわ、思考が鈍る。気分が悪い、アリスの言う通り出た方がよさそうだ。
「ああ、出よう」
教会を出てしばらくしたら、普通の調子に戻った。
「おかしい、さっきは何で」
「どうかしたの」
「最近、急に思考がまとまらなくなる時があるんだ。さっきは時にそれがひどかった」
「やっぱりあの教会に何かあるの」
「いや、たぶん違う。なにかが思い浮かぶとそれを打ち消すような感じなんだ。さっきはそれがひどかった。今朝もあったけど」
「そうなの、いつから?」
「ここに来てからだね。なんとなく君に関する事の様な」
「私の? 例えば」
「解らない、今朝は何の話としていた」
「食事ね。そう私が作ったレシピとあなたが作ったレシピが似てるって」
ああ、まただ。聞こえているのに、解釈できない。どうなってるんだ。
「どうしたの、気持ち悪い?」
「ああ、少し。ちょっと休憩しようか」
「そうね」
近くに合った茶飲み場に入る。
「じゃあ、このお茶で。クリスは」
「ああ、僕も同じで」
「ハーブティーばかりだもの、たまには緑茶を飲みたいな」
「緑茶、緑茶だって」
「どうしたのクリス、急に大きな声」
「今、緑茶って」
「クリスも知ってるの、日本のお茶」
「それだ、思考を邪魔する気配はあるけど、これだけはっきり聞いたら無理って事か」
「どうしたの?」
「君が日本の記憶を持つと気が付くタイミングが何回かあった。そのたびに僕の思考を邪魔する何かがあった」
「クリスも日本の事を知ってるの」
「ああ、だけど二人がそうだと認識させないように何かが邪魔していた。君には何もなかったの」
「私は特に、それより、クリスの事。日本の記憶があるのね」
「ああ、ある。最も誰でどんな人生を歩んだのかはもう忘れてしまったけど。遠い昔だから」
「遠いって、私よりも若いのに」
「少し、小声にするよ。もっと近くに。
僕が日本に生まれたのはずいぶん昔なんだ。その後、この世界に何度か生まれた」
「あれ、その話、どっかで聞いたような」
「この話は後で時間を取って。あまり人に聞かれたくない」
「そうね、私も人に話したことは無いし。ほんとはもっといろいろ聞きたいけど後にしよう」
「教会にはいつも世話になっているからね。こちらにもなるべく早くいこうと思っていたんだよ。ほんとだよ」
「ええ、ありがたい事です」
思考が分散する現象が今まさに降ってきているような。変な感じだ。
教会に居るのだぞ、神の影響化で何かが干渉してきているのか。誰がそんな事を。
「クリス様、そろそろ出かけましょう。わたし、あまり教会には居たくないの」
「え、ああ良いけど、どうしたの」
「お祈りは好きなんだけど、教会の人に会うのは好きじゃないの」
「司教達に、ここの人達は親切だよ。どうしたの」
「聖女になれって勧誘する人よ」
「聖女、君が?」
「そうよ、祈ったら温泉が出たとか、魔物が沢山出た時も私が祈っている時に光っていたっていいはるの」
うわ、思考が鈍る。気分が悪い、アリスの言う通り出た方がよさそうだ。
「ああ、出よう」
教会を出てしばらくしたら、普通の調子に戻った。
「おかしい、さっきは何で」
「どうかしたの」
「最近、急に思考がまとまらなくなる時があるんだ。さっきは時にそれがひどかった」
「やっぱりあの教会に何かあるの」
「いや、たぶん違う。なにかが思い浮かぶとそれを打ち消すような感じなんだ。さっきはそれがひどかった。今朝もあったけど」
「そうなの、いつから?」
「ここに来てからだね。なんとなく君に関する事の様な」
「私の? 例えば」
「解らない、今朝は何の話としていた」
「食事ね。そう私が作ったレシピとあなたが作ったレシピが似てるって」
ああ、まただ。聞こえているのに、解釈できない。どうなってるんだ。
「どうしたの、気持ち悪い?」
「ああ、少し。ちょっと休憩しようか」
「そうね」
近くに合った茶飲み場に入る。
「じゃあ、このお茶で。クリスは」
「ああ、僕も同じで」
「ハーブティーばかりだもの、たまには緑茶を飲みたいな」
「緑茶、緑茶だって」
「どうしたのクリス、急に大きな声」
「今、緑茶って」
「クリスも知ってるの、日本のお茶」
「それだ、思考を邪魔する気配はあるけど、これだけはっきり聞いたら無理って事か」
「どうしたの?」
「君が日本の記憶を持つと気が付くタイミングが何回かあった。そのたびに僕の思考を邪魔する何かがあった」
「クリスも日本の事を知ってるの」
「ああ、だけど二人がそうだと認識させないように何かが邪魔していた。君には何もなかったの」
「私は特に、それより、クリスの事。日本の記憶があるのね」
「ああ、ある。最も誰でどんな人生を歩んだのかはもう忘れてしまったけど。遠い昔だから」
「遠いって、私よりも若いのに」
「少し、小声にするよ。もっと近くに。
僕が日本に生まれたのはずいぶん昔なんだ。その後、この世界に何度か生まれた」
「あれ、その話、どっかで聞いたような」
「この話は後で時間を取って。あまり人に聞かれたくない」
「そうね、私も人に話したことは無いし。ほんとはもっといろいろ聞きたいけど後にしよう」
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