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本編

7.4 クリスとして生きる

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 ようやく春になった。
 晴れ渡る青い空がとても綺麗だ。
 2歳児の子供の目だからだろうか、淀みない心を反映したようにとても綺麗に見える。心が濁ると見える景色が同じでも淀んで見えるのだろうか。

 昼間はとても温かくなり外でも過ごせるようになった。今の時期は囲いのある広場が僕らの遊び場だ。
 久しぶりの外に出たら、何の目的も無く、合図も無く追いかけっこが始まった。誰が誰を追いかけているのか、捕まったらどうなるのかなどルールは無い。皆で皆を追いかけ、捕まえ、捕まる。1時間もするとばてて全員が昼寝だった。

 ふと目を開けたら母上の顔が見えた。どうやら僕は、母上の膝枕で寝ていたらしい。そして、どうやらここは家の中だ。きっと寒くなる前に母親たちが全員を家の中に運んだのだろう。
 はー、愛情に包まれて育っているなあ。そう、僕はこんなのんびりとした生活を望んでいた気がする。

 その後も、日々暖かくなり着ている服も変わっていく。遊ぶ広場も緑が増えた。
 今日は、いつもよりも母親が多い。どうやら広場での遊びではなく、皆でお出かけらしい。それは楽しみだ。どこに行くのだろうか。場所は不明だが、同じ年の女子二人と手を繋ぎ、両手が塞がれ、歩きにくいがしっかりと皆について行く。
 男の子がたまに脇に外れたり、走り回って転んだりしている。そのたびに母親が一人、一人と抱っこにかわっていく。1時間ほど歩いたところで目的に地に着いた。
 そこは、赤や白、黄色の花が咲いていて綺麗なところだった。
 早速、お弁当を広げて皆で昼食を取る。お昼を食べ終わると、皆が遊び始めた。僕は花を摘んで冠を二つ作った。そして二人の女の子にプレゼントした。二人とも喜んでくれたが他の女の子も欲しがったので作り方を教えて皆で交換した。
 そうして遊んでいたら、母親達は決まった種類の花や葉を集めていた。
 持って来た籠がいっぱいになったら皆が集められ移動を開始。家に戻るのだ。
 途中で疲れたのか、やはり一人、一人と脱落し抱っこされる。僕と女の子の二人は順調にたどり着いたので、後で母上から誉めて貰えた。
 うん、こういうの嬉しい。

 夜になると晩御飯に”それ”が出ていた。どうやら遊ばせるついでに食材を確保していたらしい。緑の葉は、そのままだと苦くて子供にはちょっとと言う味だった。
 父上がお酒と一緒にしていたので、おつまみ系なのだろう。花は、黄色い色味は食卓を華やかにし、醤油のような物で最後に味付けされた。苦みもなく食感は柔らかく食べれなくはない。申し訳ないがおいしいとは思えなかった。
 なんとなく、おばあちゃんの味だ。まさに隣に住んでいるおばあちゃんが作ったのかもしれない。
 今夜は母上も、父上もお酒が進んでいた。きっと両親のための食材だったのだろう。これは、弟か妹が期待できる夜になるか。僕は気をきかせて早めに寝た。

 翌日、父上が酒臭かった。どうやら飲みすぎたようだ。これでは昨夜はダメだったのではないか。残念だ。

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