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5.1 子爵家の息子として生まれる
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「やあ、久しぶり。もう転生はできないと思ってたよ。まだここに戻ってこられたんだね」
「ああ、やっぱり。神様もそう思っていたんですね。僕もダメだと思ってました。
どうして戻ったのだろう」
「うーん、未練かな。
今世は親子で仲が良かったからね。母親を亡くした心の痛みが君の魂をここへ運んだんだろうね」
「それで、あの兵はなぜあんな所に。それに、身代金を取らないなどどういう兵だったんだ」
「敵兵が居た理由は解らないよ。敵兵は僕の信者じゃないからね」
「僕と母上の体は。ちゃんと埋葬されたの?」
「君と母親の死体は馬車に積み込んで運んで行ったよ。いくら緊急時でもあそこで埋葬する時間は無いし、積み込んだ方が早いでしょ」
「そう、そうか」
「じゃあ、次も頼むよ。今回、君が生きてる間は祈りが増えて力が増えてたけど、君の土地取られちゃったからさ。僕の力はだいぶ減ってしまたっよ。目的は奪われた土地を戻し、信者を返してもらう事。このまま土地が減ると、僕は消滅してしまうよ。
頼むよ、土地が増え、信者が増えれば、その土地の加護も増える。頼むよ」
「神様、気楽に転生を受け入れたけど、転生しても嫌な思いばかりだった。日本で生活していた時よりも寂しくて辛くて、きつかった。でも前の人生は楽しかったよ。次もそうであると期待したい。でも、ダメでもあれを糧に生きられる。神様、ありがとう。今世はあがいてみるよ」
・・・・
前世の記憶を思い出したのは3歳の洗礼式の時だった。
神官がアウロスだったからだ。
「アウロス、今回は目ざといな。運なのか、狙っていたのか。素晴らしいぞ」
「アース様ですか?」
「いや、今の僕の幼名はアクアだ」
「そうでしたか。この場にいるのはアース様の指示です。なるべく小さい時期に見つけるようにとアース様が亡くなる前に指示を出されたのですよ」
「そうだったか、悪いな。今の瞬間に記憶を思い出したから、死んだ少し前の事をはっきりとは思い出せない」
「そうですか、それも想定通りですよ。そもそも今回があるかどうか賭けだと言ってました。10年待って現れなければ諦めろと言われていましたから」
「そんな事を言ってたのか。思い出せないな。前回よりも前世の意識は少ないみたいだ。死を乗り越えるたびにすべてを覚えていると魂に悪影響がでるからだろうか」
「そうかもしれませんね。死んだときの痛みや苦しみを現世に持ってくるのは不可能なのでしょう。さてアクア様が、洗礼名は、これからですね。少しお待ちください。付き添いの方と話してきます」
「いや、名前を変えない。今世の両親が考えてくれたその名前で良いんだ」
「え、ですがアクアではアース様ではないですよ」
「前が偶然だっただけだ。神童の名にあやかってアースが流行っていたからだ。それに、あの名前は前の母親と一緒に眠らせて欲しい」
「そうですか」
「ああ、アウロスには悪いが、今回の両親を尊重してくれ。僕の今の親は彼らなんだ。僕はアクアとして今世を生きる」
「解りました。では洗礼式を続けます。
「では、幼名アクアをアクアオルギュスと命名する。
ウルカヌス神よ、神徒アクアオルギュスに魔法を授けよ。
そして健やかな成長をお祈りください」
あ、体の中の鍵が外れた。だが、前回と比べてかなり強烈だ。恐らくアウロスが信者ではなく、神徒として洗礼式を行ったせいだろう。
「アウロス、神徒として洗礼を受けたからだろうか、前回よりもはるかに力が増している。今までと明らかに違う。まあ魔法特化の家系のせいかもしれないが」
このカルギウス子爵家、魔法が得意な家系なのだ。代々強烈な魔法を使う者を輩出している名門。普通に習える上級魔法は戦術級だが、この家には独自に戦略級と言われる最上位の魔法が存在する。だから領地は持たず魔法の腕で爵位を持ち家を存続させているのだ。
「今のわたくしはここで神官として働いております。カルギウス子爵家は王宮に雇われている魔導士の家系ですよね。しばらくは王都で仕事をしてますね。では近いうちに神官職を誰かに譲り御身の側へ行きます。しばらくお待ちを」
「ああ、解った」
祈りの間を出て、待っている母の所へと向かう。
「アクア、アクアオルギュス、魔法を授かったかしら」
「ええ、母上。見てください。
凍てつく氷を我が手に、白柱の槍となり敵を貫け」
生活魔法を通り越し、攻撃魔法を見せる。
「アクア、これは。どうして。洗礼式で頂くのは生活魔法ではないの。それを飛ばして攻撃魔法?」
「母上、アウロス様は神官職を誰かに譲った後で、僕の所に来てくれるそうです」
「アウロス様が?」
「アクアオルギュス様のお母様、お初に。
今は、神官をしていますが、ウルカヌス神の使徒アウロスです。
今日、急にやめるとさすがに教会が混乱しますので、準備を整えてから神徒アクアオルギュス様にお仕えしようと思っております。
これから、よろしくお願いします」
「ご丁寧に、神官様、
ところで、アクアが神徒とおっしゃいましたか?」
「はい、神童アースヴェルギウス様や神童アースアシュリー様に続いてアクアオルギュス様が神徒となられました」
「本当なの、私のアクアが神徒?」
「はい、母上。いずればれるでしょうから最初から伝えておきます。先ほどの洗礼式でアースアシュリー様の知識を頂きました。僕に、その力が宿ったのです。
今は、ウルカヌス神の加護により僕は生活魔法の他に既に錬金魔法、回復魔法、攻撃、防御の魔法が使えます。前世と言ってよいのかわかりませんが、前世と言うよりは、知識を得ただけの感じです。ベースは昨日までのアクアのままです。心配されなくても大丈夫ですよ母上」
「え、そうなの。話し方が少し変わっているように思えるけど」
「知識だけは10歳児ですから。多少は。
ですが、アースアシュリーの生活習慣とかは受け継いでいませんよ。ちゃんと昨日までの事の方が強いです。母親は貴方で、亡くなったアースアシュリーの母親の方では無い。そういった感覚はアクアのままです」
「そうなのね。わかったわ」
「母様、僕は彼ら2名のように成人もしない年で亡くなりたくはないのです。そうならないよう、僕は幼少からもっと高度な魔法を習得する必要があります。母上、どうか僕に魔法の教育を施してください」
「ああ、やっぱり。神様もそう思っていたんですね。僕もダメだと思ってました。
どうして戻ったのだろう」
「うーん、未練かな。
今世は親子で仲が良かったからね。母親を亡くした心の痛みが君の魂をここへ運んだんだろうね」
「それで、あの兵はなぜあんな所に。それに、身代金を取らないなどどういう兵だったんだ」
「敵兵が居た理由は解らないよ。敵兵は僕の信者じゃないからね」
「僕と母上の体は。ちゃんと埋葬されたの?」
「君と母親の死体は馬車に積み込んで運んで行ったよ。いくら緊急時でもあそこで埋葬する時間は無いし、積み込んだ方が早いでしょ」
「そう、そうか」
「じゃあ、次も頼むよ。今回、君が生きてる間は祈りが増えて力が増えてたけど、君の土地取られちゃったからさ。僕の力はだいぶ減ってしまたっよ。目的は奪われた土地を戻し、信者を返してもらう事。このまま土地が減ると、僕は消滅してしまうよ。
頼むよ、土地が増え、信者が増えれば、その土地の加護も増える。頼むよ」
「神様、気楽に転生を受け入れたけど、転生しても嫌な思いばかりだった。日本で生活していた時よりも寂しくて辛くて、きつかった。でも前の人生は楽しかったよ。次もそうであると期待したい。でも、ダメでもあれを糧に生きられる。神様、ありがとう。今世はあがいてみるよ」
・・・・
前世の記憶を思い出したのは3歳の洗礼式の時だった。
神官がアウロスだったからだ。
「アウロス、今回は目ざといな。運なのか、狙っていたのか。素晴らしいぞ」
「アース様ですか?」
「いや、今の僕の幼名はアクアだ」
「そうでしたか。この場にいるのはアース様の指示です。なるべく小さい時期に見つけるようにとアース様が亡くなる前に指示を出されたのですよ」
「そうだったか、悪いな。今の瞬間に記憶を思い出したから、死んだ少し前の事をはっきりとは思い出せない」
「そうですか、それも想定通りですよ。そもそも今回があるかどうか賭けだと言ってました。10年待って現れなければ諦めろと言われていましたから」
「そんな事を言ってたのか。思い出せないな。前回よりも前世の意識は少ないみたいだ。死を乗り越えるたびにすべてを覚えていると魂に悪影響がでるからだろうか」
「そうかもしれませんね。死んだときの痛みや苦しみを現世に持ってくるのは不可能なのでしょう。さてアクア様が、洗礼名は、これからですね。少しお待ちください。付き添いの方と話してきます」
「いや、名前を変えない。今世の両親が考えてくれたその名前で良いんだ」
「え、ですがアクアではアース様ではないですよ」
「前が偶然だっただけだ。神童の名にあやかってアースが流行っていたからだ。それに、あの名前は前の母親と一緒に眠らせて欲しい」
「そうですか」
「ああ、アウロスには悪いが、今回の両親を尊重してくれ。僕の今の親は彼らなんだ。僕はアクアとして今世を生きる」
「解りました。では洗礼式を続けます。
「では、幼名アクアをアクアオルギュスと命名する。
ウルカヌス神よ、神徒アクアオルギュスに魔法を授けよ。
そして健やかな成長をお祈りください」
あ、体の中の鍵が外れた。だが、前回と比べてかなり強烈だ。恐らくアウロスが信者ではなく、神徒として洗礼式を行ったせいだろう。
「アウロス、神徒として洗礼を受けたからだろうか、前回よりもはるかに力が増している。今までと明らかに違う。まあ魔法特化の家系のせいかもしれないが」
このカルギウス子爵家、魔法が得意な家系なのだ。代々強烈な魔法を使う者を輩出している名門。普通に習える上級魔法は戦術級だが、この家には独自に戦略級と言われる最上位の魔法が存在する。だから領地は持たず魔法の腕で爵位を持ち家を存続させているのだ。
「今のわたくしはここで神官として働いております。カルギウス子爵家は王宮に雇われている魔導士の家系ですよね。しばらくは王都で仕事をしてますね。では近いうちに神官職を誰かに譲り御身の側へ行きます。しばらくお待ちを」
「ああ、解った」
祈りの間を出て、待っている母の所へと向かう。
「アクア、アクアオルギュス、魔法を授かったかしら」
「ええ、母上。見てください。
凍てつく氷を我が手に、白柱の槍となり敵を貫け」
生活魔法を通り越し、攻撃魔法を見せる。
「アクア、これは。どうして。洗礼式で頂くのは生活魔法ではないの。それを飛ばして攻撃魔法?」
「母上、アウロス様は神官職を誰かに譲った後で、僕の所に来てくれるそうです」
「アウロス様が?」
「アクアオルギュス様のお母様、お初に。
今は、神官をしていますが、ウルカヌス神の使徒アウロスです。
今日、急にやめるとさすがに教会が混乱しますので、準備を整えてから神徒アクアオルギュス様にお仕えしようと思っております。
これから、よろしくお願いします」
「ご丁寧に、神官様、
ところで、アクアが神徒とおっしゃいましたか?」
「はい、神童アースヴェルギウス様や神童アースアシュリー様に続いてアクアオルギュス様が神徒となられました」
「本当なの、私のアクアが神徒?」
「はい、母上。いずればれるでしょうから最初から伝えておきます。先ほどの洗礼式でアースアシュリー様の知識を頂きました。僕に、その力が宿ったのです。
今は、ウルカヌス神の加護により僕は生活魔法の他に既に錬金魔法、回復魔法、攻撃、防御の魔法が使えます。前世と言ってよいのかわかりませんが、前世と言うよりは、知識を得ただけの感じです。ベースは昨日までのアクアのままです。心配されなくても大丈夫ですよ母上」
「え、そうなの。話し方が少し変わっているように思えるけど」
「知識だけは10歳児ですから。多少は。
ですが、アースアシュリーの生活習慣とかは受け継いでいませんよ。ちゃんと昨日までの事の方が強いです。母親は貴方で、亡くなったアースアシュリーの母親の方では無い。そういった感覚はアクアのままです」
「そうなのね。わかったわ」
「母様、僕は彼ら2名のように成人もしない年で亡くなりたくはないのです。そうならないよう、僕は幼少からもっと高度な魔法を習得する必要があります。母上、どうか僕に魔法の教育を施してください」
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