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4.5 伯爵家の息子として生まれる
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戦争の一報が入り、領内はざわめいた。それでも平穏が続くと安易に取る意見が多かった。
最初の戦は力の読み合い。領都内まで攻められる事は無いだろうと言う読みだった。だから領外に逃げるほどでは無いとほとんどの貴族子女も領都内に留まっていた。
この予兆の段階でアウロスを北へ出した。予想される最悪の事態に備え、念のために準備をして貰う旅に出て貰った。なので、アウロスは近くにいない。
父上たちは戦の準備を始め、領外からの応援が集まって来た。集まった兵士で城はあふれるほどに集まった。それらの兵を順に送り出し城壁の補修をしつつ警備についてもらった。これだけの兵士が集まれば、国境沿いの壁を超え、侵攻する事はないだろうと言う油断があった。
状況的に、かなりピリピリとした緊張が漂う中僕は10歳の誕生日を迎えた。ようやく一つのポイントを超えた気がする。だが、油断は禁物なんだ。
そんな中、敵国内に放っていた調査部隊が帰って来た。
敵兵は思ったよりも多く10万近い兵力がある可能性を伝えて来た。
こちらに集まっていた兵力が3万なので、10万の兵力は想定外だ。あちらの国力的に考えても、多くても5万が限界だろうとの予測だった。定石を打ち崩し、どうやって兵を集めたのか解らない。だが予想の倍と言う兵力が集まっているらしい。
3倍の差があるのだ。そこまでの開きがあると、国境沿いで壁を使った防衛戦でも無理がある。
急遽、弱い者達を優先して他領へ逃げる事になった。だが準備を怠っていた我々は行動が遅かった。逃げる連絡を回している間に最初の開戦となった。
数日は持ちこたえると言う父上達を残し、荷物も殆ど持たず母上を含めた貴族の子女と共に緊急避難が始まった。
10名の護衛を連れた移動が始まった。一番近い他領へ向けた道はあまり整備されていないのか、馬車の速度は遅い。それに獣たちも多く出現した。国境沿いの騒ぎで獣たちと同じ方向に走っていたのかもしれない。
幸いな事に強力な魔獣が出現する事は無く、道中に出る獣ならば護衛が倒し順調に先に進んでいた。
だが隣の領地との境に来た時に敵兵に囲まれてしまった。
壁の外から大回りで侵攻する部隊がいたようだ。
このような部隊がいるとは、戦略的に考えると無謀な遠征部隊だ。この先には味方の兵力が来ているはずだ。つまりこの部隊は、このまま進行すれば絶対に全滅する。
だが今、この場所に敵がいる。
多額の身代金を取れる者達が通る辺りを強襲。戦闘で武勲を立てるのではなく、身代金でがっぽりと言う欲深い司令官が居たのだろうか。
味方は護衛騎士10名。敵兵は200人を超える兵士達。
少し時間稼ぎができれば、僕らは隣領に逃げ込める。おそらくそのすぐ先に味方の兵がいる。こちらの護衛騎士はそう判断したらしく、降伏するのではなく敵兵と護衛騎士の戦いを始めた。前方にいた敵兵は弱く、10名の護衛騎士が協力しあって敵の中央を突破。僕らの馬車は先へと進んだ。
僕らの馬車が通り過ぎ、後方を10名の騎士が足止めしたが、兵士が足りない。僕らの馬車も道も悪く速度が出ない。敵兵が護衛騎士の横をすり抜け追いかけて来た。
騎士達は、後方を抑えながら敵を食い止めようと頑張っているが。後方の馬車に追い付く敵兵が出て来た。
馬車の小窓から後ろを確認したら、後方の馬車は扉を開け、中から魔法を撃ち込む者が見えた。
僕もそれにならい、馬車の扉を開け、横から魔法を撃ち込んだ。
そうやってあがいたが、多勢に無勢、他領に入る前にすべての護衛騎士が倒れた。
降参である。
最初の戦は力の読み合い。領都内まで攻められる事は無いだろうと言う読みだった。だから領外に逃げるほどでは無いとほとんどの貴族子女も領都内に留まっていた。
この予兆の段階でアウロスを北へ出した。予想される最悪の事態に備え、念のために準備をして貰う旅に出て貰った。なので、アウロスは近くにいない。
父上たちは戦の準備を始め、領外からの応援が集まって来た。集まった兵士で城はあふれるほどに集まった。それらの兵を順に送り出し城壁の補修をしつつ警備についてもらった。これだけの兵士が集まれば、国境沿いの壁を超え、侵攻する事はないだろうと言う油断があった。
状況的に、かなりピリピリとした緊張が漂う中僕は10歳の誕生日を迎えた。ようやく一つのポイントを超えた気がする。だが、油断は禁物なんだ。
そんな中、敵国内に放っていた調査部隊が帰って来た。
敵兵は思ったよりも多く10万近い兵力がある可能性を伝えて来た。
こちらに集まっていた兵力が3万なので、10万の兵力は想定外だ。あちらの国力的に考えても、多くても5万が限界だろうとの予測だった。定石を打ち崩し、どうやって兵を集めたのか解らない。だが予想の倍と言う兵力が集まっているらしい。
3倍の差があるのだ。そこまでの開きがあると、国境沿いで壁を使った防衛戦でも無理がある。
急遽、弱い者達を優先して他領へ逃げる事になった。だが準備を怠っていた我々は行動が遅かった。逃げる連絡を回している間に最初の開戦となった。
数日は持ちこたえると言う父上達を残し、荷物も殆ど持たず母上を含めた貴族の子女と共に緊急避難が始まった。
10名の護衛を連れた移動が始まった。一番近い他領へ向けた道はあまり整備されていないのか、馬車の速度は遅い。それに獣たちも多く出現した。国境沿いの騒ぎで獣たちと同じ方向に走っていたのかもしれない。
幸いな事に強力な魔獣が出現する事は無く、道中に出る獣ならば護衛が倒し順調に先に進んでいた。
だが隣の領地との境に来た時に敵兵に囲まれてしまった。
壁の外から大回りで侵攻する部隊がいたようだ。
このような部隊がいるとは、戦略的に考えると無謀な遠征部隊だ。この先には味方の兵力が来ているはずだ。つまりこの部隊は、このまま進行すれば絶対に全滅する。
だが今、この場所に敵がいる。
多額の身代金を取れる者達が通る辺りを強襲。戦闘で武勲を立てるのではなく、身代金でがっぽりと言う欲深い司令官が居たのだろうか。
味方は護衛騎士10名。敵兵は200人を超える兵士達。
少し時間稼ぎができれば、僕らは隣領に逃げ込める。おそらくそのすぐ先に味方の兵がいる。こちらの護衛騎士はそう判断したらしく、降伏するのではなく敵兵と護衛騎士の戦いを始めた。前方にいた敵兵は弱く、10名の護衛騎士が協力しあって敵の中央を突破。僕らの馬車は先へと進んだ。
僕らの馬車が通り過ぎ、後方を10名の騎士が足止めしたが、兵士が足りない。僕らの馬車も道も悪く速度が出ない。敵兵が護衛騎士の横をすり抜け追いかけて来た。
騎士達は、後方を抑えながら敵を食い止めようと頑張っているが。後方の馬車に追い付く敵兵が出て来た。
馬車の小窓から後ろを確認したら、後方の馬車は扉を開け、中から魔法を撃ち込む者が見えた。
僕もそれにならい、馬車の扉を開け、横から魔法を撃ち込んだ。
そうやってあがいたが、多勢に無勢、他領に入る前にすべての護衛騎士が倒れた。
降参である。
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