上 下
12 / 96

4.1 伯爵家の息子として生まれる

しおりを挟む
 今回、記憶がはっきりしたのは4歳の時だ。洗礼式は既に終わり、僕の名前はアースアシュリーだった。前世がアースヴェルギウスなので幼名はアースで一緒だったようだ。

 伯爵家の長男で二つ下に弟がいる。記憶を思い出した理由は父親との剣の練習中に頭に一撃を貰ったせいだ。そこで脳震盪を起こし目覚めたら記憶を思い出していた。
 4歳の子供にそれほど苛烈な教育を施す程この家は武に偏った家だ。
 父親は国一番の剣豪で、南のアッサンブルク王国にありカウイルを信仰する国に隣接した領地だ。そのため、仕えている貴族全員が戦闘を得意とする者達だ。
 3歳の洗礼式を終え、すぐに剣の練習が始まったほどに強烈な父親だが、どうやら今回はとても両親に愛されて育っているようだ。
 伯爵家と言う高位貴族にもかかわらず母親は乳母に育てさせるのではなく、自ら育てている。父親も折を見てふれあいの時間を作り遊んでもくれる。
 この生まれ変わりの人生で最も充実している時間だったのではないだろうか。

 だが、記憶を思い出してしまってからは使命感のような物もあるし、なによりも力を付け生きていく必要性を感じていた。転生を繰り返していたが、そろそろ終わりと言うのがなんとなく解ったからだ。
 とりあえず今の生活は武に寄りすぎている。前世の知識によるとあまり小さいうちに体を酷使すると成長が阻害されると言われていたような気がする。でもきっと父親も同じように育ったのだろうが身長は170を超えて部下と比べても低い方では無い。
 言っても聞いてくれなさそうな気がする。
 アウロスが言っていたな、貴族を制するには貴族をもってと。とりあえず母親に頼んでみよう。
「母上、どうも父上の指導は熱が入りすぎる気がするのです。
剣技は剣技が強い父上ではなく同じような年代の子供を教えた経験のある師範に教えて貰いたいです。
それと剣だけでは強くなれません。魔法も覚えたいし勉強もしたいのです」
「そうよね、頭を強くうったと聞きわたくしもそうしようと思っていたのです。
強くなるのはもう少し大きくなってからで良いのです。
母が交渉しましょう。
あなたはもうしばらく眠りなさい」


 母上からの説得で僕の生活は体力面では少し楽になった。だが勉強の時間が一気に増えたので少し大変だ。母上は勉学重視だったらしい。
 国の状況を先生に質問したところ、レオンヴァッカロー様はこの国に3年間滞在し新しい農業を伝えて国に戻られたそうだ。
 レオンヴァッカロー様の教えを聞き実践している者がこの領地にもいるというので面会の依頼を出し話をさせて貰う事にした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平和に暮らしたいのにいつも邪魔される件

ゆうき
ファンタジー
寿命を迎え異世界に転生した直人は異世界で好きな人とのんびりライフを夢見るが...

『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

mio
ファンタジー
 特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。  神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。 そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。 日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。    神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?  他サイトでも投稿しております。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

転生したら大好きな乙女ゲームの世界だったけど私は妹ポジでしたので、元気に小姑ムーブを繰り広げます!

つなかん
ファンタジー
なんちゃってヴィクトリア王朝を舞台にした乙女ゲーム、『ネバーランドの花束』の世界に転生!? しかし、そのポジションはヒロインではなく少ししか出番のない元婚約者の妹! これはNTRどころの騒ぎではないんだが! 第一章で殺されるはずの推しを救済してしまったことで、原作の乙女ゲーム展開はまったくなくなってしまい――。    *** 黒髪で、魔法を使うことができる唯一の家系、ブラッドリー家。その能力を公共事業に生かし、莫大な富と権力を持っていた。一方、遺伝によってのみ継承する魔力を独占するため、下の兄弟たちは成長速度に制限を加えられる負の側面もあった。陰謀渦巻くパラレル展開へ。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

私が豚令嬢ですけど、なにか? ~豚のように太った侯爵令嬢に転生しましたが、ダイエットに成功して絶世の美少女になりました~

米津
ファンタジー
侯爵令嬢、フローラ・メイ・フォーブズの体はぶくぶくに太っており、その醜い見た目から豚令嬢と呼ばれていた。 そんな彼女は第一王子の誕生日会で盛大にやらかし、羞恥のあまり首吊自殺を図ったのだが……。 あまりにも首の肉が厚かったために自殺できず、さらには死にかけたことで前世の記憶を取り戻した。 そして、 「ダイエットだ! 太った体など許せん!」 フローラの前世は太った体が嫌いな男だった。 必死にダイエットした結果、豚令嬢から精霊のように美しい少女へと変身を遂げた。 最初は誰も彼女が豚令嬢だとは気づかず……。 フローラの今と昔のギャップに周囲は驚く。 さらに、当人は自分の顔が美少女だと自覚せず、無意識にあらゆる人を魅了していく。 男も女も大人も子供も関係なしに、人々は彼女の魅力に惹かれていく。

処理中です...