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第4章 10歳王都編
4.14.9 王都からの帰還
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翌日、僕らはバディアワードの領都を出発し、海沿いの道でフィンレワードへと向かった。この冬でも海からの暖かい風の影響か、海沿いの道には雪がほとんど無く馬車でも楽に進むことができる。
イザベラ様は家に着いたにも関わらず、この旅は全員が揃ってロンドロードまで移動しなければならないので再び移動している。旅の時間が短すぎてはいけないからだ。
旅は、流通の為に使われる主要道なので行きかう馬車も多く、盗賊や魔物に襲われることもなく順調に進んでいる。
雪が無いとは言え年間で最も寒さが厳しい時期。とても寒い日が続き、馬車をひく御者も交代でひいている。馬も防寒具をしっかりとはおり、道を進む。
当然だが雪が無くてもこんなところで一晩過ごすようなことがあっては命の危険がある。
寒さゆえに、必然的に1日に進む距離は少ない。
宿ではすれ違う商隊と情報を交換し、前後の道や宿の情報を入手する。
そうやって慎重に進んでいたのだが、雪が少ないと言うだけで全く降らないわけでは無い。運悪く吹雪が発生し、宿に足止めされた。
3日ほど宿屋から動けない日が続いた。
そして、出発の朝。
前日までの吹雪が嘘のように快晴。
その日の朝、宿に泊まっている人が全て出発した。
そして、僕らだけでなく他の商隊も一緒に移動した。
順調に進んでいたが、ある所で馬車が止まった。
「トシアキ、様子を見てきて」
「はい」
しばらくしてトシアキが戻ってきた。
「先の方で雪崩があったらしく進めないそうです」
「ティアマト、エイミー見に行こう。
トシアキは馬車を見ていて」
僕らは、止まっている馬車を素通りし先頭まで進む。
確かに、200mほどの幅で雪と泥の雪崩によって道がふさがれている。深さは2mを超えるだろう。
この辺りは岩が多く、木が少ない。ここの雪をどかしても奥の崖から次が来そうだ。ここだけを除雪するだけでもかなりの時間がかかるのに、奥の雪までどかさないと危険だ。
「これ、魔法で溶かしても、岩が多いね。それもどかさないといけないのか」
「私がブレスで吹き飛ばそうか」
「ティアマト、それはかえって危険だよ。次の雪崩が起きる」
「そうか」
「ガルダのブレスも一緒だろうし、まずは、イシスの水魔法で溶かしてみるか。
残骸でどの程度の岩が残るか確認しないと」
「皆さん、魔法で雪を消します。馬車を下げてください。
反対側にいる人にも伝えて欲しいのですが。伝令をお願いします」
30分ほど待って、馬車が十分に下がったのを確認しイシスを聖獣に戻す。
「溶かせば良いのか」
「できれば、ゴミも海に落として、雪崩が誘発されないようにして欲しいのだけど」
「解ったのじゃ、奥の方は凍らせておこう」
イシスが水魔法を使って雪を溶かし、流していく。奥の方は、一旦冷気をかけて凍らせ、流れ出ない方に防いだ。そして、最後に岩や木々が残った。
「落とそうと思えば、これらは全部海に落とせるのじゃ。
だが、あれらは思ったよりも重いぞ。主が調べた方が良いのじゃ」
「鑑定で確認するよ、待ってて。おお、鉄が多く含まれてる。良い石だね。
もしかしたら、この辺りには鉄鉱石が多く含まれているのかもね」
幾つかの石をマイストレージにしまい込み、残った物を海に流した。
最後に火の魔法を使って道路の水分を蒸発させる。そうしないと凍ってしまうので。
「完成」
僕が声をかけたのだが、商隊が半分ほどに減っていた。
「あれ、これだけだった?」
「いえ、皆さんは、その龍を見て驚いて逃げました」
「ああ、なるほどね。君たちはなんで逃げなかったの」
「はあ、腰を抜かして逃げ遅れたと言うか」
「あ、そうなんだ。大丈夫。回復魔法使ってあげようか」
同じように逃げようとして転んだり腰を痛めた人を治療した。
そして、僕らが最初に先に進んだ。反対側に到着したら、同じように腰を抜かした人がいたので、治療した。
そして、予定よりも1時間ほど遅れて街に到着した。明日はようやくフィンレワード領都に到着予定だ。
イザベラ様は家に着いたにも関わらず、この旅は全員が揃ってロンドロードまで移動しなければならないので再び移動している。旅の時間が短すぎてはいけないからだ。
旅は、流通の為に使われる主要道なので行きかう馬車も多く、盗賊や魔物に襲われることもなく順調に進んでいる。
雪が無いとは言え年間で最も寒さが厳しい時期。とても寒い日が続き、馬車をひく御者も交代でひいている。馬も防寒具をしっかりとはおり、道を進む。
当然だが雪が無くてもこんなところで一晩過ごすようなことがあっては命の危険がある。
寒さゆえに、必然的に1日に進む距離は少ない。
宿ではすれ違う商隊と情報を交換し、前後の道や宿の情報を入手する。
そうやって慎重に進んでいたのだが、雪が少ないと言うだけで全く降らないわけでは無い。運悪く吹雪が発生し、宿に足止めされた。
3日ほど宿屋から動けない日が続いた。
そして、出発の朝。
前日までの吹雪が嘘のように快晴。
その日の朝、宿に泊まっている人が全て出発した。
そして、僕らだけでなく他の商隊も一緒に移動した。
順調に進んでいたが、ある所で馬車が止まった。
「トシアキ、様子を見てきて」
「はい」
しばらくしてトシアキが戻ってきた。
「先の方で雪崩があったらしく進めないそうです」
「ティアマト、エイミー見に行こう。
トシアキは馬車を見ていて」
僕らは、止まっている馬車を素通りし先頭まで進む。
確かに、200mほどの幅で雪と泥の雪崩によって道がふさがれている。深さは2mを超えるだろう。
この辺りは岩が多く、木が少ない。ここの雪をどかしても奥の崖から次が来そうだ。ここだけを除雪するだけでもかなりの時間がかかるのに、奥の雪までどかさないと危険だ。
「これ、魔法で溶かしても、岩が多いね。それもどかさないといけないのか」
「私がブレスで吹き飛ばそうか」
「ティアマト、それはかえって危険だよ。次の雪崩が起きる」
「そうか」
「ガルダのブレスも一緒だろうし、まずは、イシスの水魔法で溶かしてみるか。
残骸でどの程度の岩が残るか確認しないと」
「皆さん、魔法で雪を消します。馬車を下げてください。
反対側にいる人にも伝えて欲しいのですが。伝令をお願いします」
30分ほど待って、馬車が十分に下がったのを確認しイシスを聖獣に戻す。
「溶かせば良いのか」
「できれば、ゴミも海に落として、雪崩が誘発されないようにして欲しいのだけど」
「解ったのじゃ、奥の方は凍らせておこう」
イシスが水魔法を使って雪を溶かし、流していく。奥の方は、一旦冷気をかけて凍らせ、流れ出ない方に防いだ。そして、最後に岩や木々が残った。
「落とそうと思えば、これらは全部海に落とせるのじゃ。
だが、あれらは思ったよりも重いぞ。主が調べた方が良いのじゃ」
「鑑定で確認するよ、待ってて。おお、鉄が多く含まれてる。良い石だね。
もしかしたら、この辺りには鉄鉱石が多く含まれているのかもね」
幾つかの石をマイストレージにしまい込み、残った物を海に流した。
最後に火の魔法を使って道路の水分を蒸発させる。そうしないと凍ってしまうので。
「完成」
僕が声をかけたのだが、商隊が半分ほどに減っていた。
「あれ、これだけだった?」
「いえ、皆さんは、その龍を見て驚いて逃げました」
「ああ、なるほどね。君たちはなんで逃げなかったの」
「はあ、腰を抜かして逃げ遅れたと言うか」
「あ、そうなんだ。大丈夫。回復魔法使ってあげようか」
同じように逃げようとして転んだり腰を痛めた人を治療した。
そして、僕らが最初に先に進んだ。反対側に到着したら、同じように腰を抜かした人がいたので、治療した。
そして、予定よりも1時間ほど遅れて街に到着した。明日はようやくフィンレワード領都に到着予定だ。
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