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第3章 竜の襲撃
3.13.1 竜王バハムート
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オメガさんが領地に来てから、古語の勉強をしながら魔法陣を読み解く日々が続いた。
そんな平和な日常が続くなかで、突然近くに巨大な魔力の発生を検知した。
領主館にある警報機が作動して皆が右往左往。
僕の魔力検知もだいぶレベルがあがり、突然の魔力が誰の物かわかった。
一つはティアマトだ。
もう一つは初めての魔力。
ティアマトよりも更に大きい。とんでもない力であることだけがわかる。
該当するのは竜王バハムートしかないだろう。
なんで突然来たんだろう。
そういえば、アロノニア様が何か言っていたような。
領主館で到着を待つとティアマトが、20歳ぐらいの美青年を連れてきた。
しかも両眼が金眼だ。
これが竜王バハムートの人間の姿に擬態した状態なのか。
一応人間の姿になってきてくれたのだから戦闘をするためではないのだろう。
「ティアマト、久しぶりです。春以来ですね」
「久しぶりだったか、ついこの間まで一緒にいただろう」
「あれからもう6ヶ月ほど経ってますよ」
「人間の時間感覚と我らの感覚は違うのだ」
「それで、隣の男性を紹介してもらえるのですか」
このやり取りの間も冷や汗が出ている。レイブリングさんもエイミーも立っているのがやっとのようだ。
「ああ、わかっている思うが、この方が以前お話しした私の父だ」
「ティアマトの父だ。こちらの姿のときはカイと呼ばれている。
我をバハムートと呼ぶのは竜のときだ、今はカイと呼ぶように」
「はじめましてカイ様。
私はジルベール・クロスロード。
こちらはレイブリング。私の父です。
そして私の護衛をしているエイミー、トシアキそれにバーニィです」
「ほう、ティアに聞いてはいたが、直接その姿を見るとまた感じが違うな。
大きくなればティアよりも強くなりそうだ。
アロノニア様から聞いてはいたが、今世のおぬしはすごいな」
「今世?
すみません。今世と言われるところについてはよくわからないのです。
今の私を評価してくださるのはうれしいのですが、現状ではティアマト様には全く歯が立ちません」
「ふん、実力の全てを出しているわけではあるまい。
おぬしが全ての力を出せる相手は我ぐらいであろうと言うのは見ればわかる。
だがまあ良い。
今日はおぬしと手合わせに来たわけではないからな」
手合わせではない。その言葉にホッとした。
「アロノニア様からの命があっただろう。
そなたの協力が必要だ。今日はそれを頼みに来た」
「え、僕ごときでカイ様の助力ができるのですか」
「できる。
これは人間に頼むしかなかった案件だ。
そしておぬししかできぬであろう」
「内容によると思いますが、まずは話を聞かせてください。
では部屋のほうへどうぞ」
そう言って領主館の中に案内する。
応接室に入り、お茶とお菓子を出すと、カイは無言でお菓子を食べ始めた。
侍女にこっそりとケーキや和菓子を追加で出すように指示をした。
どうやらカイは甘党らしい。ティアも甘いお菓子が好きなので親子だからありえる話だ。
「うむ、久しぶりの人族の菓子は旨い」
「そうですか、ちょうど珍しいお菓子が入りましたので別のお菓子も準備しましょう」
「そうか、それは楽しみだな」
そんな平和な日常が続くなかで、突然近くに巨大な魔力の発生を検知した。
領主館にある警報機が作動して皆が右往左往。
僕の魔力検知もだいぶレベルがあがり、突然の魔力が誰の物かわかった。
一つはティアマトだ。
もう一つは初めての魔力。
ティアマトよりも更に大きい。とんでもない力であることだけがわかる。
該当するのは竜王バハムートしかないだろう。
なんで突然来たんだろう。
そういえば、アロノニア様が何か言っていたような。
領主館で到着を待つとティアマトが、20歳ぐらいの美青年を連れてきた。
しかも両眼が金眼だ。
これが竜王バハムートの人間の姿に擬態した状態なのか。
一応人間の姿になってきてくれたのだから戦闘をするためではないのだろう。
「ティアマト、久しぶりです。春以来ですね」
「久しぶりだったか、ついこの間まで一緒にいただろう」
「あれからもう6ヶ月ほど経ってますよ」
「人間の時間感覚と我らの感覚は違うのだ」
「それで、隣の男性を紹介してもらえるのですか」
このやり取りの間も冷や汗が出ている。レイブリングさんもエイミーも立っているのがやっとのようだ。
「ああ、わかっている思うが、この方が以前お話しした私の父だ」
「ティアマトの父だ。こちらの姿のときはカイと呼ばれている。
我をバハムートと呼ぶのは竜のときだ、今はカイと呼ぶように」
「はじめましてカイ様。
私はジルベール・クロスロード。
こちらはレイブリング。私の父です。
そして私の護衛をしているエイミー、トシアキそれにバーニィです」
「ほう、ティアに聞いてはいたが、直接その姿を見るとまた感じが違うな。
大きくなればティアよりも強くなりそうだ。
アロノニア様から聞いてはいたが、今世のおぬしはすごいな」
「今世?
すみません。今世と言われるところについてはよくわからないのです。
今の私を評価してくださるのはうれしいのですが、現状ではティアマト様には全く歯が立ちません」
「ふん、実力の全てを出しているわけではあるまい。
おぬしが全ての力を出せる相手は我ぐらいであろうと言うのは見ればわかる。
だがまあ良い。
今日はおぬしと手合わせに来たわけではないからな」
手合わせではない。その言葉にホッとした。
「アロノニア様からの命があっただろう。
そなたの協力が必要だ。今日はそれを頼みに来た」
「え、僕ごときでカイ様の助力ができるのですか」
「できる。
これは人間に頼むしかなかった案件だ。
そしておぬししかできぬであろう」
「内容によると思いますが、まずは話を聞かせてください。
では部屋のほうへどうぞ」
そう言って領主館の中に案内する。
応接室に入り、お茶とお菓子を出すと、カイは無言でお菓子を食べ始めた。
侍女にこっそりとケーキや和菓子を追加で出すように指示をした。
どうやらカイは甘党らしい。ティアも甘いお菓子が好きなので親子だからありえる話だ。
「うむ、久しぶりの人族の菓子は旨い」
「そうですか、ちょうど珍しいお菓子が入りましたので別のお菓子も準備しましょう」
「そうか、それは楽しみだな」
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