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第1章 誕生期

1.12.3 両金眼の子

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 この子はジルベールと名づけた。アナベルが出征前に幾つかの候補を残していたのでその中から選んだ名前だ。
 ジルベールはとてもかわいい子だ。
 髪は私やアメリにそっくりの金髪。
 そして顔立ちはアナベルに似ている気がする。

 若干親ばかかも知れないがアナベルが美男子と令嬢達に人気があったので、きっとこの子ももてるのだろうと想像できるほど顔立ちが整っている。

 ジルベールの出生届けは両眼共に金眼と記載し役所ではなくメリルディーナ公に直接手紙と共に届けた。

 そしてアメリは自分の子供として養子にする申請をした。
 ジルベールが嫡男として登録されたのでようやくアメリを養子として登録ができる。
 これでようやくアメリと戸籍上も家族になれた。

 家族になったことを伝えると、おかあさまと呼んで良いのか、小さな声で尋ねてきたので、「そうよ、呼んで頂戴」と告げる。

 アメリは喜んで「おかあさま」と抱きついてきた。
 しかし、我が子を見つめ母ではなくこの子の姉になることは複雑な思いであったようだ。
 アメリをかわいそうに思う面もあるが、ジルベールの寝顔を見ていると全ての悩みが吹き飛ぶ。さてやることを頑張ろうと意欲に燃える。

 ジルベールが生まれてから1ヶ月ほどがたった。
 私が子供を生んだことになっているので元気ではある。
 だが本来の予定通りもう暫く役場への出勤はしないつもりだ。
 皆が忙しい中で休んでいるので申し訳なく思っているが、そういった偽装が必要だった。

 家にいるからと、ぼーとしているわけでは無い。
 役所からは重要度の高い決済資料が遠慮なく回ってくるので家でも仕事をしている。

 仕事に詰まるとジルベールのいる部屋に行く。
 ジルベールは最近こちらの声に反応するようになってきた。

 声をかけると笑ってくれる。その笑顔を見ると癒される。
 笑顔を見てまた仕事に戻るのだ。

 ジルベールの面倒を四六時中見ているわけではないので断定は出来ないが、ジルベールはよく聞く赤ちゃんとは少し違う気がする。

 まずジルベールはあまり無意味に泣き叫ばない。
 赤ちゃんのうちからとても良い子だ。
 不思議なほど大人しく、そしてかわいい。
 まあ親ばか補正でわが子が特別優秀に見えるだけかも知れないが。
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