旧転生者はめぐりあう

佐藤醤油

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5部 10歳後半

5.58 美肌薬

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朝のうちに王城に寄って王妃様に薬を渡す。
費用の代わりに貰える小麦粉は王城の倉庫に備蓄してある物を引き渡すことになったそうです。

「貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた 」
こちらの「転生者はめぐりあう」は、新規で書き直していますが、
都合4回ほど書き直してもなかなか10歳を超えれなくて行き詰りました。
気晴らしに新作を書きましので、そちらをお楽しみ下さい。

-----------ちょっとだけ書き残しを投稿してます--------------------------

 その他にも王城に収められたいた布や様々な雑具ももって行きなさいと同じ倉庫に置いておくそうです。1週間後までに準備が終わるそうなので早めに出立できそうだ。アメリの子供が生まれるよりも少し早いかも知れない。
フィリップ王子にも出発が早く出来るなら早めに出ると伝えてもらう。

 そして美肌薬を作っている人に会いに行った。
 貴族の間い昔からある薬らしいので作っている人は転生者ではないだろうと思っていた。薬を作っていたのはアポジカ伯爵男性50歳ぐらいだ。領地無しの爵位のみの貴族だ。
 美肌薬以外にも薬を作ってそれらを売って生活している。
 アポジカ伯爵は会っていきなり「ジルベール様は転生者でしょ」と言ってきた。
 とても驚いた。

 だってこのアポジカ伯爵は、メリーナ様の加護が無い。
 転生者ではないはずだ。
「どうして転生者だと思ったのですか?」
「私の父が転生者でした。父は美肌薬を作った事でどこかで誰かの恨みを買ったのでしょう。夜に部屋で刺されて死にました。死を予感していたのか死ぬ前に私に薬の作り方と転生者であった事を告白してくれました。
そして同じような転生者を見つけたら協力する様に言ってました。ただはっきりと転生者として会ったのはあなたが初めてです」

「転生者の事を知っていたことはわかりましたが私が転生者だと思った理由はなぜですか?」
「あの薬を独自に改良できる才能を持つ者ですから転生者以外にはありえないですよ。いままでも数多くの宮廷魔道士がチャレンジして失敗してますから。貴方さま以外にこれほどの才能を持った人はいません。ですから自信を持って転生者とたずねまし」

「この薬そんなに難しいですか?
なにもないところから開発された貴方の父上殿はすばらしいと思いますが既にある物を解析して同じ物を作るなど簡単ではないですか。制約をつけてその方向に魔力を操作すれば良いだけで後は込めた魔力量だけですよね」

「そうですね。簡単と言い切る時点で突出した才能を感じますね。ジルベール様は無詠唱で魔法を使いますか?」
「ええ無詠唱ですね。逆に詠唱を知らない魔法の方が多いですね」

「ジルベール様、普通の魔法使いは魔力操作をあまり意識せず詠唱によって魔法を発動していることはご存知ですよね」
「ええ魔力の可視化ができますから解明できない魔法は詠唱をしてもらって流れから解析してます。
魔力操作と魔素の変換ができれば後はイメージ力さえあれば大抵の魔法が詠唱無しで実現できます」

「私は父に魔力操作の重要性を習いました。だから魔力操作も訓練し何とか継承できました。それでも父が残してくれた制約をつける魔道具を使って何とか作れるだけです」
「そうなんですか」

「私はあの薬に魔力を込めるのに1本で1週間かかります。あなた様はどのくらいで出来ますか」
「え、5年物なら5分ぐらい。15年で30分ぐらいですね」

「す、すばらしい。送ってきたものの効果を見て驚きましたがあなたの魔力量は本当にすごい」
「誉めていただいてありがとうございます」

「では、そろそろ本題へ進みましょう。今日は今後のお話でしたね」
 ようやく本題に入るのか。よかった良かった。
「ええ、今日は今後の薬の販売と新しく作ったハゲの治療薬について相談したいのです」
「まさかハゲの治療薬まで」
「ええこれです。とりあえず30年と20年の効果のものを作りました」
「すばらしい。さすがジルベール様。このままハゲ治療薬の話をしたいところですが、今後の話を先にしなければ行けません。残念ですが。さて、ではどこから話すか。そうですね、まず私はそろそろ引退しようと考えていました。しかし私の息子は魔法陣の補助を使っても作れ無いのですよ。今止めると欲しがっている人がどうなるか恐ろしくなり辞めるに辞められない状況でした。つまり期待されているお客様の為に老体に鞭をうち頑張っていました」

「そうですか。王妃様もこの薬に期待していますからね。なかなか手に入らないといわれていましたし」
「今でも毎週1本しか作れません。1本が500万円ですから美容にお金を使える侯爵家以上でしか売れません。国外にも出していますが年間60本。これは需要と共有面から言うと若干需要が多いという状況で売る側からは丁度良かったのです。しかしそろそろ疲れました」

「では事業を私に譲っていただけるということですか」
「まあ端的に言えばそうですね。ただ二人の息子がいるのでそちらの補償もお願いしたい」

「うーんとりあえず魔道具と息子さんにも会わせてもらえませんか」
 すぐに薬を作る魔道具を見せてくれた。
 魔道具は、日本語で書かれた魔法陣が組み込まれていた。これならこちらの言葉に直せば消費する魔力が下がりこちらで育っている息子には作りやすくなるだろう。
 アポジカ伯爵の魔力操作レベルは5。息子は魔力操作レベルが3だ。もう少し鍛えれば効率が上がる。そして異世界人の孫だからなのか総魔力量は二人とも300ほどあり鍛えれば伸びるだろう。

「お二人とも少し修行すれば美肌薬も作れるかも知れません。魔道具は中に入っている魔法陣を僕が調整しましょう。暫くは僕が作りますが、まずは5年物の薬が作れる様になりましょう。効果的な訓練を積めばアポジカ伯爵のレベルにすぐに達するはずです」

「では、事業はこのまま継承されますか」
「そうですね。折角の信用関係まで作られた商会があるのですよね。このままこの商会を使わせてください。お二人も僕の下で鍛えます」
「よろしくお願いします」

「では詳細な契約書は別で作って後で送ります。ただ私はすぐにシドニアに行きその後でグランスラム帝国に行くことになっています。改良版の魔法陣はすぐに送りますので私がいない間に薬を作る練習をしてください。練習方法も書いておきます」

「ええ解りました」
「それととりあえずこのハゲ薬置いていきますが自己責任で使ってくださいね。使い方は飲むのではなく頭に直接浸透させます。ビンにこの紙を入れて液を吸収させ頭に置いておけば頭の肌が吸収し髪が生えるはずです」

「すぐに試しても良いですか?」
「ええ1日に1本以上は使わないですください」

「ではこの30年物を1回使います」

そう言って用法どおり頭に紙を置く。暫くすると頭に産毛が生えてきた。急にふさふさとまではいかないようだ。
「いやいや、これはすごい。たぶん生えますね。感触が違います。ジルベール様ありがとうございます」

僕は、帰りにメルミーナ様の家に行った。
だが、不在だったので30年物を一本置いて帰った。
メルミーナ様は、喜ぶだろうか。だが30年前に戻っても数年で戻っていく。
手紙に、ハゲは治しても美肌薬よりも効果の維持が短くなること、若返りよりも若い状態を維持する薬が必要だと書いた。アイデアはあるが、実験が難しい。現状ですでにそのような薬があるなら教えて欲しいと書いておいた。


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