旧転生者はめぐりあう

佐藤醤油

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5部 10歳後半

5.9 白虎王の復活

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石を陸地にあげたせいか、沢山の魔物が襲い掛かってきました。

私は、魔力の回復薬を飲み自分の魔力回復に努めます。
その間、皆が護衛をしてくれました。

部隊の10名とレイさんエイミーが頑張ります。
もちろん、イシスもいるのでそこまで大変ではありません。
大型の魔獣が来たらイシスが尻尾でポイと攻撃してました。
私の魔力は、予定通りなら3時間ぐらいで全回復。
無理にでもと寝てとにかく回復を急ぐ。

そして、全回復したところで石に魔力を注ぎ込み始めます。
「頑張ってジルちゃん」とエイミーが応援してくれる。
「ハーイ」と手を振りながら石の前に。

まずは、神石に溜め込んだ魔力を自分に還元しながらどんどん魔力を石に込めていきます。
神石に魔力がある時は、黒石に自分の魔力を2送りこむと神石から1供給される。
神石の魔力も無くなり、自分の魔力が残り3万前後ぐらいで石が割れました。
良かった魔力は足りたようだ。
神石無かったら足りてないな。
「よし、開いたよ皆下がって」
皆で少し離れて、出てきたものが突然襲ってこないか確認する。

石が崩れ去り、中から立派な青年男性と綺麗な若い女性が出てきました。
女性はなんとなくだけどアロノニア様にも似てる。
何となく1妃様を若くしたような感じでちょうど二人を足して2で割った感じ。

でも、虎と狐じゃなかったの?

まあとりあえず声をかけます。

「アロノニア様から頼まれて、白虎王の救出に来ました。
私はジルベール・クロスロードと申します」

「人間、それも子供に助けられるとは。
屈辱であるが、アロノニア様からなら致し方ない。
 ありがとう。礼を言おう。
ところで、私を捕まえた人間の仲間がどこにいるか知っておるか?」

「アロノニア様からは、封印されてから500年たっていると聞いています。
ですので、当時の人間は全て死んでいると思います」

「そうか、500年も」

「白虎王、久しぶりね。あなたを封印させた一族は、私が500年前に全滅させましたよ」
と、イシスが説明したら、
次の声が。

『白虎王、助かったのね。良かったわ』
アロノニア様から念話が聞こえた。
そして、この場にいるユニコーンが形を変えアロノニア様に変化した。

「ジルベールありがとう。
ああ、500年も。
ようやく我が子が解放されたわ。
にくいあやつらは、イシスに起こさせた津波で全滅させたとは言え思い出すとまだ許せないわ」
怒っているアロノニア様が突然怒った。
ちょっと怖い。いやかなり怖い。
メリーナ様が恐れている通りアロノニア様はやっぱりやばいのか。

「アロノニア様、お久しぶりでございます。
このたび、封印を解いて頂きありがとうございます。
しかし、聖獣にも戻れず力も出せません。
どの様な状況でしょうか教えていただけませんか」

「500年封印されたことで、あなたの神力がつきかけているのです。
石の中でも外の神気を少し取り込んでいたようですがそれでも足りてはいなかったのでしょう。
一緒に封印された銀狐に多くの力を渡したことも要因です。
あと数年、そのまま封印されていたらあなたは消えてしまったでしょう。
一度、精霊界に戻って力を元に戻さなければいけません。
しかし、現世から精霊界には普通のルートでは行けません。
今は、時間が足りません。急がなければあなたが消えてしまいます。
ですが、唯一の手段がありますのでそれを教えましょう。



あなたは、そこにいるジルベールと契約を結び、召還の儀を交わしなさい。
そうして召還を解除するとあなたは精霊界に身をおくことができます」

「召還の契約。それではアロノニア様は、私にこの人間を主人としろと言うことですか」

「そうです。
ですがその人間ジルベールは、すでにここにいるイシスとも契約を交わしています。
この世界で唯一、聖獣を完全体で召還することも出来ます。
契約者としては一番望ましい相手でしょう。
あまり時間がありません。
急がないとあなたの体が崩壊します。さあ」

「アロノニア様が言ったとおり、私も、ガルダもジルベールと契約していますよ。
見ての通り、召還されても完全体が維持できるほど優秀な使い手だから、安心して契約しなさい」

「おお、イシス。召喚に応じると分体しか出せぬと思っていたが、
その姿が召還されているとは思えなかった。
昔どおりの姿では無いか。
解りました。
不本意ですが、応じましょう。
ジルベールと言ったか、では私がお前の召還を受け入れる、
私の名を呼び、自らの名を名のり、我に召還の儀に応じよ命じてくれ」

「はい、解りました。では貴方のお名前を教えてください」

「名は無い。この場で名を付けよ」

それを聞いて、エイミーが、
「うわ、よりによってジルちゃんに頼むとは勇気があるな。
 トラちゃん、アドバイスすると、幾つか候補を言って貰って、
 そこから選ぶようにしたほうが良いよ。
 ジルちゃんのネーミングセンスはひどいからね」

「そうか、ちなみに一つ言ってみよ」
「じゃあ、虎吉(とらきち)」
「うむ、やはり他も言ってくれ」
「では、どうしようかな。
白虎(はくと)
虎鉄(こてつ)
大河(タイガ)
こんなものかな、どれが良い?」

「アロノニア様が付けてくれた名は呼ばれても認識できず名にならなかったのに、
悔しいがなぜお主の呼びかけは聞こえる。
不思議だ。
まあ良い、では、コテツを選ぼう。
我の伴侶であるコハクに似ていて、良い響きだ」
「では、コテツ、我ジルベールの召還の儀に応じよ」
「了承した」
するとコテツは人間の形から白い大きな虎に変わりすっと消えた。
同時にイシスが「私も戻るわ」と言って消えました。

「ああ良かった。間に合ったわ。
コテツは1年ほどは静養しなければならないので、
暫くは召還はできないと思いますが、よろしくね。
それと、コハクでしたか?」

「はい、アロノニア様」

「あなたは、コテツからの神力も加わり元の精霊交じりから成長し、
存在レベルが玄獣に上がっています。
すでに私のかけていた魔法は解け人間の形状も貴方の魂に刻まれていますので、
自分の意思で銀狐にも人間にも変身できるはずです。
試して見なさい」

すると綺麗な女性は尻尾が6つある銀狐に変わった。
そして人間に戻るとあれ?
狐の耳が残ってる。
さすがに尻尾は無い。

「おや、姿は私が与えたものですが、耳が残るようですね。
人間そのものにはならないようですね。
まあ、その姿も可愛らしくて良いでしょ。
では、コハク、あなたはコテツが復活するまでこのジルベールに使えなさい。
コテツを復活させる変わりにそのような約束を私としました。
当面は、彼が頼む人を守りなさい」

「はい、アロノニア様の言うとおりに。
これより、コテツ様を助けて頂いたジルベール様のお役に立つよう勤めたいと思います」

「まあ、今の王城の3人の王妃が相手なら、
王城に連れて行っても、王がコハクに夢中になることも無いでしょ。
ああ、あとは、王太子ね。そこは少し気をつけた方が良いかも知れないわね」

「え、王太子にはサフィーナ様がいますから。大丈夫だと思いますよ」

「まあ、コハクは私が造形した姿を持つのよ。
 1妃は、元々が私が生み出した精霊の子の子孫で、力は引継げなかったけど、姿は継承している。
 2妃と3妃は、良くは知らないけどラキシスが用意した母体。
 この三人以外にこの子を上回る美人がいるのですか?」

「え、王妃様方全員が女神様が関係してた人。
ええーーー。ちょっと驚いた。
でも、逆に納得。だからあれだけの美人なのか。
まあ、良いや。
とりあえず、サフィーナ様は、至宝と呼ばれる称号を持ってますよ。
2妃様の妹の子ですから、2妃様にラキシス様が関与されたならおかしくないと思いますよ。
現状は、国内一の美少女です。
なので、王太子もコハクに対しては大丈夫だと思います。
まあ、国内一の美少女はすぐにスザンヌとマリアに変わりますけどね」

「ジルベールはずいぶんとスザンヌとマリアびいきね。
ちょっと焼けるわね。
私の子もその中に入れたいけど、コハクは相手がいるし。まあ良いわ。
サフィーナね、そんな美人がいるのね。
私の造形よりも美人なんて、ラキシスが関与したとはいえ悔しいわね。
ちょっと覗いて見ましょ」

と言って、黙り込む。

「あら、ほんとに綺麗ね。 でも、おかしいわねこの雰囲気」
そのまま僅かな間をあけ、再びアロアニア様が不穏な言葉を続ける。
「あら、あら、これは、これは。
 人間は、いつもこんなことを繰り返して。ばかね。
 さて、どうしましょ」

「どうしたんですか」

「うーん。私はあまり人間が好きではないから。
まず、私が人間を直接助けることは無いのよ。
なので、今の状況でも普段の私は黙認なのですが、
まあ、今日は機嫌が良いし、どうしようかしら。
特別に、助けの手伝をしてあげましょうかね」
「サフィーナ様がどうしたんですか? 手助けが必要なのですか?」

「うん、説明する時間ないし、じゃあジルベールを転送させるから、後は頑張ってね。
ああ、他の人たちは安全に領地までいけるようにユニコーンが連れて行くから安心して、
それとコハクが役に立つと思うからコハクもつけて転移させるわ。
じゃあね急ぎだから、ばいばい!」

「え?!」

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