旧転生者はめぐりあう

佐藤醤油

文字の大きさ
上 下
83 / 182
4部ジルベール10歳 時が動き出す

4.32 毒の混入

しおりを挟む
今日は、王家の方々を含めた夕食会に参加。
全員が揃って、スープから頂こうとした時に、
『ダメ!』という声が頭に響く。

瞬間、私は声をあげる
「みんな食べてはダメです」立ち上がり周りを見渡すとすでにシュミット様が一口食べた後、急いでそちらに行く。
鑑定を使うと、やはりスープが毒入りと表示される。
鑑定は、効果が低くなるが、魔法禁止のこの場でも使うことができる。
ただの鑑定では無く上位鑑定だからだろうか。
不思議だ。
「毒です。解毒したいので、魔法を使えるようにできませんか」と聞くと、
王様がすでに準備済みだった。
緊急用の、攻撃の意思が無ければ魔法を使える魔法陣を持ってきてくれました。

シュミット様を抱いて、同じ魔法陣の中に入る。
そして、急いで水に魔力を込めて、
「食べた毒を体から出します。
まず、この水を全部飲んでください」と、シュミット様に説明する。
シュミット様は何も言わずにすぐに水を飲み干す。
その後、大きめのボールを取りシュミット様を裏返し、
口に指を突っ込み水を吐かせる。
胃の中の物を強制的に取り出すように飲んでいる水の魔素をコントロールする。
うまく行くと良いが。

吐き終ったシュミット様は、ゼーゼーと息をする。

そこに侍女が「食事に手をつけないで下さい」と叫びながら、飛び込んできた。
私は、とりあえずその声を無視し、シミュット様に、
「もう一度、頑張れますか?」と聞くと、うんとうなずく。
そこでコップの水にもう一度魔力を込めて、飲んでもらう。
そして吐き出す。
「頑張りましたね。
たぶん大丈夫だと思いますが」

上を向いて王に「私は、この侍女の方に行きます」
と、続けて侍女に向かって
「倒れたのは何人だ」と質問すると、
「毒見の物が1人です。食べてから1時間たったのに先ほどから急に苦しみ出しました」
「連れて行って」と歩き出した時に、思い出した。

「スー、君のネックレスを少しの間シュミット様にかけてあげて、
確か状態異常の軽減効果があったはず。
そして1時間様子見て」と言うと、スーがうなずいて動き出した。
私は、それを確認し部屋を出た。

侍女が連れいてった先に兵士が寝かされていた。
先ほどの魔法陣を敷いてその上に移動させてもらう。
兵士を鑑定で見ると状態異常 毒化と出た。
もう、時間が立っているので胃の洗浄では効果が無い。
毒消しがあるのかと聞くと毒の種類が特定できないと、毒消しは使えないと言った。
魔法なら、適当に何とかなるのだろうかと回復魔法を使って見るが、鑑定で確認すると毒の状態異常は消えない。
毒消しの魔法で「毒消えろ」と唱えても、ダメだ。

そこで、先ほどの毒入りスープ使ってスープから水を上手に分離し、更に鑑定で見ると残った物質に毒がある。
残った粉を上手に広げ個別に鑑定を行うと、今回の毒の名前が解った。

さて、再挑戦だ。
先ほど同様に回復魔法の中の毒消し魔法を使う。
相手の体全体に魔力を流し「毒消えろ」と唱えると、感覚的には効いた感じの手ごたえがあった。
鑑定で再確認すると状態異常から毒が消えていた。
状態に、体力減少危険と表示されるので、再度回復魔法を使って状態を改善しておいた。
その後、かなり症状が良くなった。

まだ完全ではないが、ちょうど医者が来たので状況を伝える。
息の感じからかなりの毒が抜けたようなので、医者の手持ちの毒消しを飲ませ寝かせることにした。
それから、医者と王家の食事室に戻る。

食事は全て片付けられていたが、王家の人は全員シミュット様を囲んで待っていた。
医者が様子を見る。
私はマリアに「どう?」と聞くと、
「たぶん大丈夫そうです。吐いた影響で少しぐったりしてるけど、何も異常は無いようです。
すぐに胃の洗浄をしたのが良かったのでしょう」
もう暫くみんなで様子を見たが、大丈夫そうなので、改めて夕食をどうするかと言う話に。
私がキープしているうどんを食べますか?
と聞くと「うどんって何?」と聞いてきたので、

「白い麺です。おいしいですよ。
あ、でもシュミット様は、胃が弱っているから、
うどんは少なめにしてくださいね。
その代わりおいしいジュースを出します」と、
マイボックスからうどんと、りんごジュースに、ハチミツを取り出した。

魔石タイプの卓上コンロと鍋も出し、マイボックスに入れてあったお湯を注ぐ。

魔法禁止でも、マイボックスからは取り出すことはできるし魔道具は使える。

お湯が煮立つと、うどんを放り投げさっとゆでる。
お皿に醤油をちょっと入れてうどんを入れる。
マリア様が「うどんだ。うどん」と、前回の夏合宿で貰った箸を使って食べ始める。

スザンヌ様もそれを見て、夏の3週間の特訓中に使えるようになった箸でうどんを食べる。
王子達も箸で食べる。

それを見て、王様、王妃様はあきらめてフォークで食べる。
シミュミット様には、私が新しい箸をだして食べさせる。

マイアー王女も「食べさせて」と来たので「どうぞ」と食べさせる。
二人して「おいしい。もっと」と言うので交互に2人に食べさていると、
スザンヌ様が来て、マイアー王女をひざに乗せて面倒を見てくれた。

シュミット様は、お腹がいっぱいなる前に、止めてもらう。
そしてジュースにハチミツを混ぜて、ハチミツりんごジュースを作り飲んでもらう。

最後に、私が、ずずっと自分の分を食べて、出したものを片付けようとしたら、
当然の様にしまえなかった。
やっぱりな。
先ほどの魔法が使えるようになる魔法陣に載り、片付ける。

この王城の魔法キャンセルは、魔法の発動を阻害するが魔法の解除を阻害していない。
マイボックスからの取り出しは、魔法解除になるが、
そして先ほどの魔法キャンセルをさらにそれを無効にする魔法陣。
魔法の発動と終了、そして無効の無効化と言う、効果の上書き。
これは、次の魔道具作成に役立てれそうな気がしてきた。

なんとなく、魔石の消費を減らせられる、ぼんやりとアイデアが浮かんできた。
後でアイデアを整理しよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!

菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...