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1部 誕生編
戸籍管理
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文官をまとめるのは宰相を勤めるメルミーナ公爵家を中心とした人々だ。全ての貴族が文官の試験を受けることが出来る。平民でも頭の良い子は受けれるのだ。
ハイルデン公爵家の派閥は武官。
アレクサンドロ公爵家の派閥は魔道士。
そしてメルミーナ公爵家の派閥が文官。
これが一般的なコースだ。ただ、最近は血の混じりも多く、割と自由に職業を決めている。
さて、ここは、王宮内の戸籍管理部署。貴族は、全て戸籍の登録をしている。戸籍には、個人を識別するために、最低限の情報として髪の色と目の色を登録している。
そして、先日提出された戸籍を見て、担当のライラは困惑していた。
なにに困ったかといえば、ジルベール・クロスロードの戸籍登録だ。ハイルデン公爵家から提出されたのは、金髪。右が金、左が青。アレクサンドロ公爵からは、金髪。右が青、左が金。これが、別人ならば良かったが、どう見ても登録上は同一人物。しかもこれが、普通の貴族からではなく、最高位の公爵家から出されている。それが意味するところは、両家が後見人として立候補していると言うこと。
通常、後見人は、1人だ。承認と共に、後見人としての登録もするのだ。
こまったライラは、宰相であるメルミーナ公爵に相談した。
戸籍登録の責任者は、侯爵の爵位持ちの男性だったが、ちょうど1ヶ月前に引退していた。暫定で中間管理職の伯爵がいるが案件に公爵家が関わっているので中間を飛ばし最高責任者のメルミーナ公爵に相談に行ったのだ。メルミーナ公爵は、宰相なので大変忙しい。今回の案件も15分の相談が1ヶ月待ちだった。 金眼が関わる案件として重要度大で申請してようやく相談が出来た。
最近の世代は急激に継承可能な男児の金眼が減っている。現在の王の子では、ルカ王子、マクシミリアン王子にと立て続けに2人。更に生まれたばかりの王子と王家だけは安泰であるが。
ハイルデン公爵家も、アレクサンドロ公爵家も直系に金眼の子がいるが、親戚の金眼はかなり減った。最近では、数年ぶりにハイルデン公爵家の親戚にオズワルト侯爵家に男子が生まれたばかりだ。王家と、公爵家を残し男女共に金眼の子供が急速に減っている。
貴族全体で10歳までの金眼は数名しかいない。
先ほどの2公爵家の系統は、公爵家の領主は全て金眼が主となっている。国を支える2家にとっては、建国より続く金眼が主となる必須用件なのだ。今までも養子を取り続け、2公爵と16侯爵家が金眼を持つ者を優先的に継承させていた。それだけ、金眼の持ち主は希少で重要案件であった。なぜなら今まで金眼持ちは漏れなく武もしくは魔術のどちらかに秀でた才能を持っていたからだ。
唯一メルミーナ公爵系だけが文官としての才能が優先されていた。というわけで、ライラは自分の権限を越えたこの面倒くさい案件をメルミーナ公爵に放り投げた。
まさか、この後すぐに転勤になるとも知らずに。ライラの平凡な日常がもうすぐ終わりを告げようとしていた。時が動き出したその瞬間だったが、ライラは単に面倒くさくて何も気がついていなかった。
この案件をメルミーナ公爵に見せると、すぐさま、自分以外が見ていないか聞かれた。もちろん見せてはいない。仕事ができないライラと同僚からは言われているが仕事が丁寧なだけだ。メルミーナは、少し考えたのち幾つかの手紙を書き、部下への資料集めの指示を出した。そして資料が揃う時期を考慮しメルミーナ様自身が確認に行く予定を立てられた。
辺境の地への現地確認には転移門が使われる。転移門の利用は高位の貴族の申請が必要だ。申請さえあればライラ単独でも使えるが今回はメルミーナ自ら確認に行く。もちろん担当者であるライラも行く。現地での移動に関して、馬車の手配や事前に面会する文官への連絡もライラが準備をした。ただ、今回やたらに丁寧な検査になっている理由までは知らない。
現地に行き、目を確認すれば終わりなだけではないか。どちらかが間違っているのだろう。ライラの頭の中には両方が金眼であると言う前提は想定出来なかった。疑問には思いつつも言われた仕事はキチンとこなした。
そしてようやく準備が完了し、移動日となった。前日までクロスロード家には連絡を入れていない。メルミーナの配下から、前日に急に調査に向かうと書かれた手紙を届けさせる。それにはリリアーナに朝から家で待つように書いてあった。
そして移動日。ライラも一緒について行く。そして領地に到着。メルミーナはまず配下に会いに役所へ向かう。情報を集め口止めを徹底する。中には文官全体への指示が可能な役職の人もいた。
宰相とはいえ、普通は地方の領地にいる文官への口出しは本来ご法度。というか普通は出来ない。しかし、このクロスロード家はやたらにメルミーナの配下が多い。しかも重要職に何人も。それだけメルミーナが目をかけていた領地である証拠。
メルミーナは、一通りの必要な情報を入手し終え、ようやくジルベールのいる領主館へ移動を開始した。
この時点でも勘の鈍いライラは、ノンビリとしていた。メルミーナについてジルベールの元に行き、両目が金眼のその少年の存在を知るまで彼の生活は平和に満ちていた。根はまじめで、仕事の重要度のつけ方仕事を進める速度もライラは特に問題は無い。だがこの感の鈍さ。一度考慮から漏れてしまうと、後で想定するケースを増やそうともしない。これがライラの欠点。
だが、ライラはリリアーナの下につき、リリアーナの仕事を直接見ることによって、変わる。
彼は、10年後に立派な文官に生まれ代わり、メルミーナの元へと戻るのだ。
ハイルデン公爵家の派閥は武官。
アレクサンドロ公爵家の派閥は魔道士。
そしてメルミーナ公爵家の派閥が文官。
これが一般的なコースだ。ただ、最近は血の混じりも多く、割と自由に職業を決めている。
さて、ここは、王宮内の戸籍管理部署。貴族は、全て戸籍の登録をしている。戸籍には、個人を識別するために、最低限の情報として髪の色と目の色を登録している。
そして、先日提出された戸籍を見て、担当のライラは困惑していた。
なにに困ったかといえば、ジルベール・クロスロードの戸籍登録だ。ハイルデン公爵家から提出されたのは、金髪。右が金、左が青。アレクサンドロ公爵からは、金髪。右が青、左が金。これが、別人ならば良かったが、どう見ても登録上は同一人物。しかもこれが、普通の貴族からではなく、最高位の公爵家から出されている。それが意味するところは、両家が後見人として立候補していると言うこと。
通常、後見人は、1人だ。承認と共に、後見人としての登録もするのだ。
こまったライラは、宰相であるメルミーナ公爵に相談した。
戸籍登録の責任者は、侯爵の爵位持ちの男性だったが、ちょうど1ヶ月前に引退していた。暫定で中間管理職の伯爵がいるが案件に公爵家が関わっているので中間を飛ばし最高責任者のメルミーナ公爵に相談に行ったのだ。メルミーナ公爵は、宰相なので大変忙しい。今回の案件も15分の相談が1ヶ月待ちだった。 金眼が関わる案件として重要度大で申請してようやく相談が出来た。
最近の世代は急激に継承可能な男児の金眼が減っている。現在の王の子では、ルカ王子、マクシミリアン王子にと立て続けに2人。更に生まれたばかりの王子と王家だけは安泰であるが。
ハイルデン公爵家も、アレクサンドロ公爵家も直系に金眼の子がいるが、親戚の金眼はかなり減った。最近では、数年ぶりにハイルデン公爵家の親戚にオズワルト侯爵家に男子が生まれたばかりだ。王家と、公爵家を残し男女共に金眼の子供が急速に減っている。
貴族全体で10歳までの金眼は数名しかいない。
先ほどの2公爵家の系統は、公爵家の領主は全て金眼が主となっている。国を支える2家にとっては、建国より続く金眼が主となる必須用件なのだ。今までも養子を取り続け、2公爵と16侯爵家が金眼を持つ者を優先的に継承させていた。それだけ、金眼の持ち主は希少で重要案件であった。なぜなら今まで金眼持ちは漏れなく武もしくは魔術のどちらかに秀でた才能を持っていたからだ。
唯一メルミーナ公爵系だけが文官としての才能が優先されていた。というわけで、ライラは自分の権限を越えたこの面倒くさい案件をメルミーナ公爵に放り投げた。
まさか、この後すぐに転勤になるとも知らずに。ライラの平凡な日常がもうすぐ終わりを告げようとしていた。時が動き出したその瞬間だったが、ライラは単に面倒くさくて何も気がついていなかった。
この案件をメルミーナ公爵に見せると、すぐさま、自分以外が見ていないか聞かれた。もちろん見せてはいない。仕事ができないライラと同僚からは言われているが仕事が丁寧なだけだ。メルミーナは、少し考えたのち幾つかの手紙を書き、部下への資料集めの指示を出した。そして資料が揃う時期を考慮しメルミーナ様自身が確認に行く予定を立てられた。
辺境の地への現地確認には転移門が使われる。転移門の利用は高位の貴族の申請が必要だ。申請さえあればライラ単独でも使えるが今回はメルミーナ自ら確認に行く。もちろん担当者であるライラも行く。現地での移動に関して、馬車の手配や事前に面会する文官への連絡もライラが準備をした。ただ、今回やたらに丁寧な検査になっている理由までは知らない。
現地に行き、目を確認すれば終わりなだけではないか。どちらかが間違っているのだろう。ライラの頭の中には両方が金眼であると言う前提は想定出来なかった。疑問には思いつつも言われた仕事はキチンとこなした。
そしてようやく準備が完了し、移動日となった。前日までクロスロード家には連絡を入れていない。メルミーナの配下から、前日に急に調査に向かうと書かれた手紙を届けさせる。それにはリリアーナに朝から家で待つように書いてあった。
そして移動日。ライラも一緒について行く。そして領地に到着。メルミーナはまず配下に会いに役所へ向かう。情報を集め口止めを徹底する。中には文官全体への指示が可能な役職の人もいた。
宰相とはいえ、普通は地方の領地にいる文官への口出しは本来ご法度。というか普通は出来ない。しかし、このクロスロード家はやたらにメルミーナの配下が多い。しかも重要職に何人も。それだけメルミーナが目をかけていた領地である証拠。
メルミーナは、一通りの必要な情報を入手し終え、ようやくジルベールのいる領主館へ移動を開始した。
この時点でも勘の鈍いライラは、ノンビリとしていた。メルミーナについてジルベールの元に行き、両目が金眼のその少年の存在を知るまで彼の生活は平和に満ちていた。根はまじめで、仕事の重要度のつけ方仕事を進める速度もライラは特に問題は無い。だがこの感の鈍さ。一度考慮から漏れてしまうと、後で想定するケースを増やそうともしない。これがライラの欠点。
だが、ライラはリリアーナの下につき、リリアーナの仕事を直接見ることによって、変わる。
彼は、10年後に立派な文官に生まれ代わり、メルミーナの元へと戻るのだ。
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