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第五章
砂の巨人
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ざく、ざくと、砂の上を進む音が陽の沈んだ砂漠に響く。砂をかくのは優人たち人間の足ではない。優人のいた世界でも『砂漠の舟』と呼ばれている砂漠の生き物、ラクダだった。
馬車で乗り着いたのは、シルワリアの外れで馬車を借りたところと同じような場所だった。町や村でもなく、所謂道の駅のようなところだ。軽い休憩所や馬車のポート、それから砂漠越えのためのラクダのレンタルまで、色々なものが揃っていた。
出発した頃はまだ陽が落ちたばかりでほんのり暖かい空気が残っていたが、月や星の明かりしか届かない夜の砂漠は冷え込んでいた。これからもっと寒くなっていくと思うと、先ほどの市場で大きなストールのような布地を買っておいて良かったと優人は思った。エリー以外の三人は市場で仕入れたそれらを纏って寒さをしのぎ、また日中はこれで直射日光を避ける。
魔法というのはつくづく便利なものだと優人は思った。この軽い布の繊維にも魔法の力が込められているらしく、その薄さから想像するよりもずっと暖かく、また陽の光を浴びればひんやりと感じる代物なのだと言う。砂漠越えには必須のアイテムであろう。エリーは特に暑さ寒さの影響は受けないため、いつも通りだ。
暖かい布地に包まれているものの、吐く息は白い。元居た世界でも砂漠はもちろん存在し、昼夜の寒暖差が厳しい聞いていた。
優人は、そういった土地に自分が足を踏み入れるとはちっとも考えていなかった。ずっと学校と家の行き来をし、同級生たちと寄り道をしてどこかへ出かけるようなことすらなかった生活を考えると、目まぐるしく動き回り、そして色々な経験をしたものだと優人は振り返る。
ふと身の周りを見れば、いつも仲間が居る。家では、一人きりだった。母のことはよく知らず、優人が生まれたときに亡くなったと聞いている。父は単身赴任で海外だ。父とは不仲なわけではないが、特に仲が良いわけでもなかった。思えば、父がどんな人だったのかもよく知らない。身内である父のことよりも、もうエリーやカミーユたちのことのほうがよく知っているかもしれない。
父は……植物学者で、海外を転々としていて、寡黙な人……それくらいしか知らない。小さな頃は、言葉少なな父のことを、少し怖いと感じていたが、今にして思えばあれは話すのがあまり得意ではないだけだったのだろう。加えて優人自身のあまり人の内面に踏み込めない性格もあり、たった二人の親子であるのに、最低限のコミュニケーションすら取れていなかったように思う。年に一度か二度、家に帰ってきたときも、特に積もる話があるわけでもなく、けれど邪険にするわけでもなく、ただ共に食事を取ったりする程度だった。
……今、元居た世界はどうなっているのだろう。自分が居なくなったまま、世界は進んでいっているのだろうか。失踪事件なんかになっていたりしたらどうしよう。そう思うことがないわけではなかった。
父は自分が居なくなったことを知るだろうか。知ったとして、どう思うのだろう。優人は、それを想像することすらできずにいた。
ざくざくと、砂の音だけが聞こえる。ところどころ、疎らに植物が生えているものの、それ以外には何もない。砂と、月と星。それしかないこの寂しい砂漠は、何故だかこんな自らのことまで見つめ直してしまうような、そんな気分にさせる場所だった。
周りを見ても、皆黙ってぼんやりと行く道や遠い空を見つめていた。優人がそうであったように、皆これまでのことや、これからのことを考え込んでいた。ここは、不思議な場所だ。
しばらく、誰も話すことのないまま淡々とその道を進んでいった。夜も深まり、ややしばらくすると朝が訪れるような時間だった。
静かな時間は、いつも唐突に終わりを告げる。それは誰かが声を発したからではない。ボコボコと砂の海が揺れ波打ち、その足場が崩れ、ラクダが驚き暴れ出したからである。
「うわあ!」
「ユウト、飛び降りろ!」
手綱を引き落ち着かせようとしても、蠢き続ける砂にラクダは逃げ惑う。動物を操る術など持たない一行は、せめて落下しその足に踏み潰されることを避ける選択をすべきだ。優人以外の三人はその身軽さで素早くその判断をし、ひらりと降りた。
「くっ……!ごめんね」
なんとか片足をついた優人はその足でジャンプするようにしてその背から飛び降りた。蹴るような形になってしまったのが心苦しいが、素直に逃げられるように背を解放してやるのが優先だろう。半ば転げ落ちるような形になった優人を、エリーが支えてくれた。
もちろん、この砂の海が躍動しているのは、その下に潜む魔物の仕業である。その気配を察知したラクダたちは、元来た道を逃げ帰っていった。
「……来るか」
エリーがそう呟けば、揺れは一層強くなり、柔らかな砂の上は立っているのがやっとのような状況になる。
ぶわりと、ひときわ強い風が巻き起こる。細かな砂の粒が肌に突き刺さるように痛い。目を守るために腕をかざせば視界は遮られる。しばしその場で倒れないように踏ん張り、次第に風が弱まり目を開く。
するとそこには、巨大な砂の巨人が立ちはだかっていたのだった。
「でっか……!」
それは、あのデアルクスで対峙した大蛇もかくやという大きさであった。大蛇はするりと伸びた長い体であったものの、この巨人はまさに絵に描いたゴーレムのような出で立ちであり、かなりの圧迫感である。体積は大蛇の比ではないだろう。
「……行きます!」
「ああ!まずは弱点を探す!」
その巨大さに怯んだ優人を横目に、シンシアが杖を構え、エリーが剣を抜き駆けだす。まずは一撃、一太刀。シンシアの風の魔法とエリーの斬撃を食らわせる。
その巨体はこちらに危害を加えようとする動きも見られず、ただゆっくりとその足を動かしているだけで、その上大きさの通り動きがとても鈍い。魔法と斬撃は命中する。
しかし、相手の砂の体は一度さらさらと崩れるものの、すぐに辺りの砂を巻き込み元に戻るのだった。
「はああっ!」
それでも、攻撃の手は緩めなかった。動きを封じることよりも、優人の剣で貫くべき場所を探すことが目的だからである。この動きの鈍さであれば、優人も戦えるだろう。優人もその剣を握り、斬りつけにかかる。カミーユも杖を振るい、参戦する。
「チッ……面倒な体だな……!」
何度も攻撃は当たってはいるものの、まるで効果が見られない。動じる気配すらなく、辺り一面の砂でその姿を維持している。
巨人の魔物には、砂でできた人を象った魔物である、という特徴しかその見た目からは捉えられなかった。どこかに脆い部分があるとか、顔や角や、砂とは別の何かがある部分などもない。ただただ、砂が風により巻き上がり、それが人の形になっている。それだけだ。
そしてもうひとつ、優人は奇妙な感覚を覚えていた。
魔物に剣で触れたときにいつも感じていた、あの嫌な感覚。負の感情が、流れてくることがないのだ。何も感じない。あのような感覚は、確かに感じずに済むのであればそれが良いが、あれはああいうものなのだと思っていた優人は違和感を覚えている。かつて、どんな小さな魔物からも感じたし、大きな魔物であるほどにその流れ込む感情は比例し激しいものであった。これほど大きな魔物であるにも関わらず、この巨人からは何も感じないのだ。
「魔物、なんだよね……!?」
「ああ、何なんだこいつは……!」
「何の魔法も効果がありません……」
何のダメージも与えられない攻撃を繰り返し、次第に息が上がっていく。少し手を休め様子を見ていると、ふと気づくことがある。
「こいつ、ユウトに近づこうとしている……?」
ずし、ずし、と重たい音を立てながら、ゆっくりと足を運ぶ。確かに、その足は確かに優人のほうへ向いているように思えた。優人がぐるりと巨人の背中側へ移動をしたなら、その姿を追っているようだった。他の三人には何の反応もしていない。
「……っ!?」
優人自身がそのことに気がつくと、巨人もそれを感じたように、鈍かった動きを少し素早いものにする。その巨体で優人に覆い被さるように倒れ込んでくる。
「ユウト!!」
潰される。優人はそう思ったが、何故か足が動かない。足場が悪いからとか、その巨大さに逃げるのが間に合わないとか、そういう理由ではなかった。いや、もちろんそれもあるのだが、優人の足を竦ませたのは、もっと別の何かだった。
「……会いたがってる」
風と砂の音がごうごうと騒がしいなか、優人はぽつりと呟く。目の前にしている魔物相手に、そんなことを思うなんてどうかしているし、怖いことは変わらない。けれど、優人はそれを受け入れた。拒めなかったのだ。
もう潰される、その瞬間に、巨人の腹にぽかりと穴が開く。穴の奥は、真っ暗い闇がどこまでも広がっているような、そんな恐ろしさがあった。
「会わなくちゃ」
恐怖に震えながらも、静かにそう言った。巨人に開いた穴に食われる、それは恐ろしかったが、優人は何故だか、その魔物が自らに助けを求めているような、そんな気がしてならなかった。わけもわからぬまま、気がつけば口が言葉を紡いでいた。
「ユウト!!手を……!!」
近づくことを許さないように、巨人を取り巻く嵐のような風はエリーを拒んだ。必死に駆け寄り伸ばす腕も、優人には届かない。
ばくり。優人は抱え込むようにして、砂の巨人の腹に取り込まれた。巨人はうごうごと蠢いた後、そのままじっと動かなくなってしまう。
「……!おい、嘘だろ……」
「ユウト……!!」
助けられなかった、と三人は青ざめていく。
助けなければ、そう思い攻撃を試みるものの、それらはこれまで通り何の効果も得られず、巨人は動きを止めたまま再生を繰り返していたのだった。
馬車で乗り着いたのは、シルワリアの外れで馬車を借りたところと同じような場所だった。町や村でもなく、所謂道の駅のようなところだ。軽い休憩所や馬車のポート、それから砂漠越えのためのラクダのレンタルまで、色々なものが揃っていた。
出発した頃はまだ陽が落ちたばかりでほんのり暖かい空気が残っていたが、月や星の明かりしか届かない夜の砂漠は冷え込んでいた。これからもっと寒くなっていくと思うと、先ほどの市場で大きなストールのような布地を買っておいて良かったと優人は思った。エリー以外の三人は市場で仕入れたそれらを纏って寒さをしのぎ、また日中はこれで直射日光を避ける。
魔法というのはつくづく便利なものだと優人は思った。この軽い布の繊維にも魔法の力が込められているらしく、その薄さから想像するよりもずっと暖かく、また陽の光を浴びればひんやりと感じる代物なのだと言う。砂漠越えには必須のアイテムであろう。エリーは特に暑さ寒さの影響は受けないため、いつも通りだ。
暖かい布地に包まれているものの、吐く息は白い。元居た世界でも砂漠はもちろん存在し、昼夜の寒暖差が厳しい聞いていた。
優人は、そういった土地に自分が足を踏み入れるとはちっとも考えていなかった。ずっと学校と家の行き来をし、同級生たちと寄り道をしてどこかへ出かけるようなことすらなかった生活を考えると、目まぐるしく動き回り、そして色々な経験をしたものだと優人は振り返る。
ふと身の周りを見れば、いつも仲間が居る。家では、一人きりだった。母のことはよく知らず、優人が生まれたときに亡くなったと聞いている。父は単身赴任で海外だ。父とは不仲なわけではないが、特に仲が良いわけでもなかった。思えば、父がどんな人だったのかもよく知らない。身内である父のことよりも、もうエリーやカミーユたちのことのほうがよく知っているかもしれない。
父は……植物学者で、海外を転々としていて、寡黙な人……それくらいしか知らない。小さな頃は、言葉少なな父のことを、少し怖いと感じていたが、今にして思えばあれは話すのがあまり得意ではないだけだったのだろう。加えて優人自身のあまり人の内面に踏み込めない性格もあり、たった二人の親子であるのに、最低限のコミュニケーションすら取れていなかったように思う。年に一度か二度、家に帰ってきたときも、特に積もる話があるわけでもなく、けれど邪険にするわけでもなく、ただ共に食事を取ったりする程度だった。
……今、元居た世界はどうなっているのだろう。自分が居なくなったまま、世界は進んでいっているのだろうか。失踪事件なんかになっていたりしたらどうしよう。そう思うことがないわけではなかった。
父は自分が居なくなったことを知るだろうか。知ったとして、どう思うのだろう。優人は、それを想像することすらできずにいた。
ざくざくと、砂の音だけが聞こえる。ところどころ、疎らに植物が生えているものの、それ以外には何もない。砂と、月と星。それしかないこの寂しい砂漠は、何故だかこんな自らのことまで見つめ直してしまうような、そんな気分にさせる場所だった。
周りを見ても、皆黙ってぼんやりと行く道や遠い空を見つめていた。優人がそうであったように、皆これまでのことや、これからのことを考え込んでいた。ここは、不思議な場所だ。
しばらく、誰も話すことのないまま淡々とその道を進んでいった。夜も深まり、ややしばらくすると朝が訪れるような時間だった。
静かな時間は、いつも唐突に終わりを告げる。それは誰かが声を発したからではない。ボコボコと砂の海が揺れ波打ち、その足場が崩れ、ラクダが驚き暴れ出したからである。
「うわあ!」
「ユウト、飛び降りろ!」
手綱を引き落ち着かせようとしても、蠢き続ける砂にラクダは逃げ惑う。動物を操る術など持たない一行は、せめて落下しその足に踏み潰されることを避ける選択をすべきだ。優人以外の三人はその身軽さで素早くその判断をし、ひらりと降りた。
「くっ……!ごめんね」
なんとか片足をついた優人はその足でジャンプするようにしてその背から飛び降りた。蹴るような形になってしまったのが心苦しいが、素直に逃げられるように背を解放してやるのが優先だろう。半ば転げ落ちるような形になった優人を、エリーが支えてくれた。
もちろん、この砂の海が躍動しているのは、その下に潜む魔物の仕業である。その気配を察知したラクダたちは、元来た道を逃げ帰っていった。
「……来るか」
エリーがそう呟けば、揺れは一層強くなり、柔らかな砂の上は立っているのがやっとのような状況になる。
ぶわりと、ひときわ強い風が巻き起こる。細かな砂の粒が肌に突き刺さるように痛い。目を守るために腕をかざせば視界は遮られる。しばしその場で倒れないように踏ん張り、次第に風が弱まり目を開く。
するとそこには、巨大な砂の巨人が立ちはだかっていたのだった。
「でっか……!」
それは、あのデアルクスで対峙した大蛇もかくやという大きさであった。大蛇はするりと伸びた長い体であったものの、この巨人はまさに絵に描いたゴーレムのような出で立ちであり、かなりの圧迫感である。体積は大蛇の比ではないだろう。
「……行きます!」
「ああ!まずは弱点を探す!」
その巨大さに怯んだ優人を横目に、シンシアが杖を構え、エリーが剣を抜き駆けだす。まずは一撃、一太刀。シンシアの風の魔法とエリーの斬撃を食らわせる。
その巨体はこちらに危害を加えようとする動きも見られず、ただゆっくりとその足を動かしているだけで、その上大きさの通り動きがとても鈍い。魔法と斬撃は命中する。
しかし、相手の砂の体は一度さらさらと崩れるものの、すぐに辺りの砂を巻き込み元に戻るのだった。
「はああっ!」
それでも、攻撃の手は緩めなかった。動きを封じることよりも、優人の剣で貫くべき場所を探すことが目的だからである。この動きの鈍さであれば、優人も戦えるだろう。優人もその剣を握り、斬りつけにかかる。カミーユも杖を振るい、参戦する。
「チッ……面倒な体だな……!」
何度も攻撃は当たってはいるものの、まるで効果が見られない。動じる気配すらなく、辺り一面の砂でその姿を維持している。
巨人の魔物には、砂でできた人を象った魔物である、という特徴しかその見た目からは捉えられなかった。どこかに脆い部分があるとか、顔や角や、砂とは別の何かがある部分などもない。ただただ、砂が風により巻き上がり、それが人の形になっている。それだけだ。
そしてもうひとつ、優人は奇妙な感覚を覚えていた。
魔物に剣で触れたときにいつも感じていた、あの嫌な感覚。負の感情が、流れてくることがないのだ。何も感じない。あのような感覚は、確かに感じずに済むのであればそれが良いが、あれはああいうものなのだと思っていた優人は違和感を覚えている。かつて、どんな小さな魔物からも感じたし、大きな魔物であるほどにその流れ込む感情は比例し激しいものであった。これほど大きな魔物であるにも関わらず、この巨人からは何も感じないのだ。
「魔物、なんだよね……!?」
「ああ、何なんだこいつは……!」
「何の魔法も効果がありません……」
何のダメージも与えられない攻撃を繰り返し、次第に息が上がっていく。少し手を休め様子を見ていると、ふと気づくことがある。
「こいつ、ユウトに近づこうとしている……?」
ずし、ずし、と重たい音を立てながら、ゆっくりと足を運ぶ。確かに、その足は確かに優人のほうへ向いているように思えた。優人がぐるりと巨人の背中側へ移動をしたなら、その姿を追っているようだった。他の三人には何の反応もしていない。
「……っ!?」
優人自身がそのことに気がつくと、巨人もそれを感じたように、鈍かった動きを少し素早いものにする。その巨体で優人に覆い被さるように倒れ込んでくる。
「ユウト!!」
潰される。優人はそう思ったが、何故か足が動かない。足場が悪いからとか、その巨大さに逃げるのが間に合わないとか、そういう理由ではなかった。いや、もちろんそれもあるのだが、優人の足を竦ませたのは、もっと別の何かだった。
「……会いたがってる」
風と砂の音がごうごうと騒がしいなか、優人はぽつりと呟く。目の前にしている魔物相手に、そんなことを思うなんてどうかしているし、怖いことは変わらない。けれど、優人はそれを受け入れた。拒めなかったのだ。
もう潰される、その瞬間に、巨人の腹にぽかりと穴が開く。穴の奥は、真っ暗い闇がどこまでも広がっているような、そんな恐ろしさがあった。
「会わなくちゃ」
恐怖に震えながらも、静かにそう言った。巨人に開いた穴に食われる、それは恐ろしかったが、優人は何故だか、その魔物が自らに助けを求めているような、そんな気がしてならなかった。わけもわからぬまま、気がつけば口が言葉を紡いでいた。
「ユウト!!手を……!!」
近づくことを許さないように、巨人を取り巻く嵐のような風はエリーを拒んだ。必死に駆け寄り伸ばす腕も、優人には届かない。
ばくり。優人は抱え込むようにして、砂の巨人の腹に取り込まれた。巨人はうごうごと蠢いた後、そのままじっと動かなくなってしまう。
「……!おい、嘘だろ……」
「ユウト……!!」
助けられなかった、と三人は青ざめていく。
助けなければ、そう思い攻撃を試みるものの、それらはこれまで通り何の効果も得られず、巨人は動きを止めたまま再生を繰り返していたのだった。
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