凌辱夫を溺愛ルートに導く方法

riiko

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番外編

7、モブ友達の訪問

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 今日は俺のモブ親友の、ライラが遊びにくる!

 すげぇ楽しみにしていて、昨夜はガリアードの誘いを断った。だって一回始まると一回じゃ終わらないんだよね。ライラと会うのに、疲れ切って会うのはほら、いろいろと気まずいだろ。ライラだってそういう雰囲気を察するのも察せられるのも苦手そうだし、俺たちにエロ要素は必要ないんだ。

 俺とライラはモブ仲間として、昔の話を楽しむんだからな。昔というのは転生前の人生の話、そう、社畜についてだった。俺たちがいかに会社のために働いて、実生活を削ってきたかの不幸対決はちょっと笑った。俺もそうだけどライラもすげぇ、不幸な子だった。そういう生産性のない話はただただ楽しかった。まぁその先のお互いの旦那自慢も楽しくて、この世界じゃ貴族とかいろいろありそうだから、勝手知ったるライラならなんでも話せた。

 話が盛り上がるので、余力がある時じゃなきゃライラとは楽しめない、すなわち前日はお互い旦那と寝ないという話でまとまっていた。

 ガリアードはそれが不服らしいけどな。

「うわぁ――、可愛いね」
「だろ? この子はうちの宝だからな」

 サリファス殿下に移転の魔法で、ライラを連れてきてもらった。殿下はガリアードと盛り上がっているので、俺たちは二人で一通り近況報告とかしてお茶を楽しんでいた。

 そして俺の息子がお昼寝から起きたので、あたらめてお披露目をしていたんだ。今ライラが抱っこしている。なんていうか、母性を感じちゃうのは俺だけか!? ライラは素朴だけど、純粋でとても可愛い男の子だった。社畜時代もそういう素直な感じが、上司から扱いやすいという印象を持たれてしまったらしい。とにかく、そんな素朴なライラに抱っこされているうちの息子が可愛くてたまらん、二人を見て微笑ましくなった。

「ふふ、リリアンったら目がトロトロだよ。ガリアード様が妬いちゃうんじゃない?」
「大丈夫だ、ガリアードも我が子にメロメロだからな!」

 ライラは俺とガリアードの子供、というかガリアードの妹夫妻の三人目の赤ちゃんを見てほほ笑んでいた。俺とガリアードの行き違い最終凌辱決戦の火種にもなった、後継者問題。

 その後継者様が我が家にやって来てひと月。まだ赤ん坊のリアムは手がかかるが、そこは辺境伯領の立派な侍従たちが一生懸命に子育てを手伝ってくれるので、俺とガリアードの夜の生活も守られている。貴族とはそういうものらしいよ? 俺の胸からはお乳は出ないから、リアムには乳母が付いてくれているし、昼間は俺も付きっきりで遊んでいる。

「ライラはどう? あの変態兄貴に虐められていない?」
「変態兄貴って、王太子殿下のこと?」
「そう、変態王太子」
「ふふ、お義兄様もリリアン達夫妻のことを変態伯夫妻って言っていたけど、なんでお互いに変態呼びしてるの?」

 そうか、ライラはあの変態王子の凌辱劇を知らないのだった。俺が生き残るためにしたことはさらっと言っただけで、凌辱劇の内容までは伝えていなかったからな。

 さすがに義弟にあの本性を見せることはしないだろうし、王太子が変態を発揮するのは、この辺境の地でのみなのかもしれない。

「それは、まあ、いろいろあってさ。俺が生き残るために頑張った行為が、凌辱夫を改心させることだっただろ?」
「そうだよね、アニメではガリアード様は本当に酷い凌辱夫だったからね」
「そうだよ、その凌辱夫を凌辱趣味程度に抑えるために、第一王子を騙す時にあえて凌辱を楽しむ過程にだな……と、とにかく王太子は楽しんで情報提供というか凌辱指示を出してきた」
「凌辱指示?」

 う――ん。ライラはなんというかほんわりとした子で、こんな子に俺は義理兄の変態行為、じゃなかった変態指示を教えていいモノか。

「まぁ俺が生き残るために第一王子にはめられる前にはめてやったんだよ、その時に俺が逆凌辱をしてみんなを驚かせたんだ。ガリアードもノリノリで俺に虐められててね、そういう劇をやれと言ったのが、ライラのお義兄様のサリファス様なんだよ」
「そうだったんだ! さすがお義兄様だな、考えることが凄いね。でもリリアンがまさかの逆凌辱をしていたなんて、そっちに驚きだよ!?」
「俺だって命かかっていたからね? 普段はどちらかというと虐められる方って、何言わせるんだよ!?」
「言わせてないよ、自分で言ったんじゃん」

 俺は誘導尋問を勝手にかけられてしまったようだった。あなどれん、転生仲間。そこで俺の愛しの旦那が入って来た。

「リリアン、突然だがライラの旦那が迎えに来た」
「え――! もう? まだそんな時間? ってか旦那が迎えにって何? 殿下が連れてきたの?」
「そうだよ。殿下は妃殿下を愛でにいったん王宮に戻った時に、ライラの旦那に掴まって、自分も連れていけとせがまれてね。面倒くさい男だから、一度リリアンにも会せた方がいいってなって……」
「僕に?」

 ライラがあちゃ――という顔をした。いったい何!?

 とにかくリアムをガリアードが抱っこして、ライラと共に応接室へと移動する時にライラに謝られた。俺は自分の旦那が息子を抱っこする姿にまた見惚れていた最中だったから、特にライラのセリフも気にしていなかった。


 ああ、今日も旦那がカッコいい! 息子を抱っこする姿なんてたまらない!
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