ローズゼラニウムの箱庭で

riiko

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番外編

4、家族になっていく 3 ※

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 桜は、ぴちゃぴちゃといやらしい水音をたてては、なぜか美味しそうに舐めたり吸ったりしている。そのうちに、舌か入り込んできた。

「ひやっ!」
「しばらく使ってなかったからな、じっくりほぐさないと」
「だ、だったら、指でほぐしてよ。そんなとこに、あっん、舌は、はああああっん」

 会話ができないくらい、俺の中がうねってきているのがわかる。確かにずっとつかっていなかったけれど、それでも俺は桜のオメガだ。彼が触ればたちまち思い出す。自分の体がどれだけつがいを求めていたかを。

「ふふ、前もしっかりってきた」
「やっ、さくら、もうだめ。俺体力続く自信ないから、ちゃんと桜ので、イキたい」

 桜の動きが止まった。

「良太、俺だってずっと我慢してたんだ。煽るようなこと言わないで。止められる自信ない」
「えっ、止めちゃうの? やだ、どうして。こんなオメガもう抱けないの? ごめんなさいっ、雫にばかりかまってて子育てに追われていたから、こんな俺にがっかりしたの? これから気を付けるから、お願い。俺をまた桜のつがいとして可愛がって……」

 俺は泣きながら訴えた。

 ここにきて、お預けなんて無理だ。桜が欲しくてたまらない。でも自業自得だ。散々桜のことなんてほっといてきた、何なら俺は雫さえいれば問題ないとも思ったくらいだった、俺はバカだ、こんなに愛おしい人をないがしろにしてきたことに、今気が付いたなんて。

「泣かないで、違うよ。子育てしている良太もきれいだ、がっかりなんてしたことない。愛してるよ」
「じゃ、じゃあなんで、止めるなんていうの? 俺も桜を愛してる、お願いっ、桜が欲しい」

 泣いている俺の目元にキスを落とした桜が、今度は俺の口に、キスをしてくれた。

「んっ、んん」
「良太は疲れているだろう、最後までしたら、明日起き上がれないよ。本当に久しぶりなんだ、だから今日は慣らすだけにして、慣れてきたらまた次の機会に最後までしよう」

 俺を抱きしめて桜は優しく言う。こんな我慢させたくない、桜のあそこは痛いくらいに大きくなってる、抱きしめた俺の腹にあたるから、固くなっているのがすごくわかる。それなのに俺を思って我慢するなんて、なんてできた旦那様なのだろう。でもそんな理性が寂しくてたまらない。

「いやっ、動けなくなってもいい。雫のことは、お義母さんに頼んでみるから、お願い、このまま俺を愛して、めちゃくちゃにして!」
「くそっ、しょっぱなから煽って。明日文句言うなよ」
「言わない、好きっ、さくらっ、ああっ」

 最後の言葉を聞く前に桜の指が俺の後ろに入ってきた。一本、二本と、指が早急に増やされる。それをはくはくって息をはきながら、俺も必死に受け入れる。

「あう、あっ、ああっ」
「大丈夫か? まだいける?」
「いける、いけるから、お願い、もう桜のが、いい。れて……」
「くっ」

 きもちいい、きもちいい。

 それでも苦痛の顔をしながら、桜が必死になって俺の中をほぐす。どうしてそこまで耐えるのだろう、もういいって言ったのに、まだ慎重に進めている。桜のサンダルウッドの香りがぶわって鼻腔に入ると、俺の香りもほのかに出始めた。

「良太、いい匂い」
「さ、さくらっ、もうれてよぅ、もうだめ、いっちゃう」
「だめだ、もっと広げないと。一回だしとくか?」
「やだ、桜のでイキたいっ、もう入る、もう入るから、きて……」

 桜の指がすっと抜けた。

「ああん」
れるよ、良太」
「う、うん」

 ドキドキした。桜が、くる。後孔は期待できゅんって一回しまった。

「こら、良太。こんなにきつくしたら、れられないよ」
「あっ、ごめん」

 桜がクスって笑って、もう一度俺の後ろを撫でた。そして、こんどこそ桜の固くなった先端が俺の入り口に触れた。

「あ……」
「大丈夫そうだね、ゆっくり進めるから辛かったらすぐに言って」

 俺は頷いて、桜が入ってくるのを期待している。宣言通り、もどかしいくらいゆっくりとしか進めてこない。ぎちって音が聞こえそうなくらい、ぎちぎちと進んでくる。

「あ、ああ、あっ」
「んっ、良太、もう少し緩めて、そう、いい子だ」
「ふ、ぅわっ、きてる、桜が……あ、あん」
「くっ、もう少し……、ぜ、全部入った」
「うんっ、ひゃっっ!」

 桜が俺の中に納まった瞬間に、俺はイった。腹に精液を吐き出して、後ろを締め付けた瞬間、桜も俺の腹の中に吐き出した。俺たちは同時に、お互いに驚いた顔で目が合った。

「ぷっ、ふふふ」
「あははっ」

 繋がったまま二人で笑った。初めてなわけでもないのに、れた瞬間二人で果てるなんて。

「しまった、俺としたことが……」
「いいじゃん、俺なんかいつも桜にみだされっぱなしなんだから、なんか嬉しい」
「思った以上に、良太の中がたまらなかった」

 重なったまま、どちらからともなくキスをした。久しぶりのアルファの吐精は長く、緩やかに続いた。キスをしっぱなしでとても心地よくたまらなかった。

「桜、愛してる」
「ああ、良太、俺も愛してる」

 緩やかに続く心地よさのなかに、お互いの香りが交じり合った。

「良太の香り、戻ってきたね」
「うん、子育て中は夢中でフェロモンでてなかったみたいだけど、久しぶりに自分でもこの香り感じた。桜の香りも強くでてる」
「そりゃそうだ、つがいを繋ぎとめたくて必死だからな、ああ良太のローズゼラニウムの香り、たまらないっ」
「俺も、桜を繋ぎとめたくてフェロモンが止まらないみたい、ふふっ」

 繋がりながら、キスをして、途中桜が俺の胸を可愛がり、自然と交わりが開始された。長いアルファの射精がとまっても、それはずっと続いていた。だんだんとまたたまらなく感じてきた。

「あっ、復活した」
「えええ! もう? ああっ、んんんっ、すご、固いっ、あああ、大きくしないで」
「動くよ」
「あああっ、はああっ、んんん、あっ、イク、またいっちゃう。ああ、気持ちいい、桜っ」
「良太、愛してる」

 その晩は明け方までずっと繋がっていた。朝起きた時にも桜が中に入っていてさすがに驚いたが、桜が目覚めてそこからもう一度始まった。

 結局昼過ぎに桜が下に降りていった。俺はもちろんベッドから起き上がれなかった。

 でも、とても幸せだった。




 数日後、お義母さんに指摘されたのには驚いたが、あれから桜を補充できて、俺は最近、とっても肌の調子がいいし、なんなら全ての調子がいい。

「良太君とてもつやつやしてるね、あれからも桜とは仲良くしてるみたいだね」
「あ、その。あの時はありがとうございました。あんなに抵抗していた自分が嘘みたいに、もう今は、俺の方が桜にべったりで……」

 思わず顔が熱くなった。今日も桜の実家へ遊びに来ている。雫がお昼寝したので、お義母さんとケーキを食べていた。

「ううん、いいんだよ。僕たちも息子夫夫ふうふが仲良いのは嬉しいから」
「そ、それでお義母さんに、お願いがあって」
「ん? なになに? 良太君からお願い事なんて珍しいな」
「また、あの、こちらの家にお泊りに来てもいいでしょうか……、雫をお義母さんに見てもらうわけには……あっ、でも。迷惑だったらいいんです」

 お義母さんは驚いた顔をしていた。さすがにそうだろう、これは桜とヤリたいから子供を預かってくれって言っているようなもんだ。

 でも、あれから夜は桜と少しずつ体を重ねるようになったけれど、俺の方が桜に夢中で、雫の鳴き声にさえ気が付かない、桜が途中、雫をあやしに行ってくれるくらいだった。俺は母親なのに情けない、そんな自分も嫌だし、桜がセックスの途中で離れるのがもっと嫌だった。俺だけをみて、なんどそう言ってしまおうかと思ったくらいだった。

 ああ、母親として情けない、だけど桜が集中して俺に夢中になってくれる時間が欲しくてたまらなかった。恥ずかしかったけれど、お義母さんに頼ってみることにした。

「あっ、ごめんね。全然いいんだよ、ちょっと驚いてさ。ずっと桜の方がもう必死って感じだったのに、良太君がそんなこと言うのに驚いただけ、桜に無理やり言わされてる、わけじゃないよね?」
「違うんです。俺、どうしようもないくらい桜が愛おしくて、本当なら桜が仕事にいくのも大学にいくのもついていきたいくらい。あんなにあっさりしていたのに、俺どうしちゃったんだろう。このままじゃ桜にも雫にも嫌われちゃう……」

 言葉が最後、弱弱しくなった。そしたらお義母さんが俺を抱きしめてくれた。

「違うよ。やっと良太君がオメガとして自覚したんだよ、今までずっと大変だったし、それで雫も生まれて。今がやっと全てを終えて桜に向き合えたってことだと思う。オメガなら当然の想いだよ。大丈夫、むしろ嬉しいな。アルファの執着はわかりやすくて単純だけどね、オメガだってつがいへの執着は本来すごいんだよ、それが解放されるのが発情期だけど、それ以外の時だって本当はアルファに負けないくらいの執着心を持ち合わせている」
「えっ、そうなんですか? 俺が異常じゃなくて?」

「そうだよ。僕も楓への想いは凄いよ、だけど楓がすぐ行動に移す人だから僕側の執着はそれほど目立たなくなっているだけ。安心して、それと、いいよ。毎週末泊りにおいで、その方が僕たち夫夫ふうふも楽しいし、雫のことは楓も可愛がりたいってすねてたくらいだからね。夜は僕たち夫夫ふうふが雫と寝るから、週末は桜を独り占めしたらいいよ」

 お義母さんは凄い、とても優しいし、俺のことをとても大切にしてくれるのが痛いほどわかる。本当にありがたかった。俺はまた泣き出してしまった。

「お義母さん……ありがとうございます」
「よしよし、早速今夜からお泊りだね!」

 そうして俺と桜は、週末上條家にお泊りして、義理の両親と桜、雫と楽しく過ごす流れが決まった。そのせいか雫は、実の母親よりもお義母さんにべったりになってしまったのだか、それは仕方ない。

 俺だってお義母さんにべったりだから気持ちはわかるし、桜がそれを見て逆に安心している。息子に俺を取られる心配はないなって、お義父さんも週末くらいは孫に譲ってもいいって大きな心をみせてくれたので、俺たち家族は数年そんなふうに過ごしていた。

 俺は早くに両親を亡くしていたので、俺も実はこの環境を喜んでいる。お二人を今では本当の両親のように慕って頼っている。

 やっと家族という大きなぬくもりを見つけた、そんな今日も俺は幸せだった。



 番外編「家族になっていく」 ―fin ―


 ***

こちらのお話は由香里サイドの物語『高嶺のオメガ』番外編の「愛妻家上條楓の日常4」とリンクしております。桜の父としての楓の心情が少し見えてきますので、良かったらそちらもお楽しみくださいませ☆
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