ローズゼラニウムの箱庭で

riiko

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第七章 決断

167、別れ 4 ※

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 電話を切った後、よく眠れなくて結局いつも通り明け方まで起きていた。

 ようやく眠りについた頃には、外は明るくなっていた。だから、朝はいつも寝坊ギリギリで最近じゃ朝ごはんも食べない。そもそも、シリアルすら先輩が入れてくれていたから美味しく食べていた。自分で用意するのも面倒くさい。

 昼はゼリーをのむ。

 でも夜も、自分のご飯を用意するのが面倒くさくてゼリーやクッキーなどで済ます。

 この数日で体重がだいぶ落ちたし、目の下も常にクマがある。こんなげっそりした艶のない、小汚いオメガ、先輩には見せられないからちょうどよかった。

 そう思って何も気にせずに過ごしていた。勉強だってもうする気もなかった。授業には上の空だったが、この数日は形だけ出ていた状態だった。

「良太、良太、起きて? もう朝だよ」

 俺は寝ぼけていて、本当ならありえないはずなのに、朝だから先輩が起こしにきてくれたんだって思った。

「う――ん、もうちょっとだけ」

 笑い声が聞こえる。先輩の低い心地のいい声に俺は嬉しくなって寝ながら笑った。

「はは可愛いな、もう少し寝させてあげたいけど、でももう限界だよ。早くキスさせて?」

「ん、して?」

 キスくらいしてくればいいのに、俺が起きるのを待っているなんて、可愛いつがいだな。

「でも久しぶりだし、ちゃんと目を見てからしたいよ?」

 久しぶり? いつも朝キスしてたじゃん……。

 っえ?

 一瞬で頭がクリアになって、俺はがばって起きた。

「先輩!? えっ、どして?」
「ふふ、おはよう、良太」

 そこには満面の笑みの、俺の大好きな香りのする愛おしい俺のつがいがいた。俺は戸惑っていたが、すぐにその目を見て、香りを嗅いで、目からはどんどん涙が溢れ出した。

「せんぱい……夢?」

 ぼろぼろと出る涙を先輩が指ですくった。

「夢じゃない、愛してるよ良太」

 そっと、唇が重なる。

 そして深く深くキスをする。

 俺は必死に腕を首に絡めて、わけがわからなかったけどつがいを求めて、自ら舌を絡めていった。夢じゃない、夢じゃなくて、またこの愛おしい人に会えた。俺は歓喜で、それだけで感じて、後ろから蜜を垂れ流した。

「先輩、はんっ、先輩!」

 先輩が俺を抱きしめる、キスの合間に俺の頭を、髪を撫でてくれて、愛おしそうに俺を扱ってくれる。そのまま俺を抱いてほしい、そう思って俺は先輩のボタンを外し始めた。

「良太!?」
「お願い、先輩が欲しい、僕を満たして……」

 俺の体からローズゼラニウムの香りがした。

 俺は意識して目の前のつがいに、香りで淫らに誘った。二度と会えないと思っていた相手が目の前にいる、そのチャンスを逃したくなかった。

「良太、お前が弱ってるって聞いてたし、見てわかったけど、すまないが一度だけ抱かせてくれ。無理はさせないようにするから」
「して、抱いて、先輩の好きに抱いて。お願い、好き、好きっ、好きなの」

 俺は泣きながらも手は止めずにすがりついて、どうしようもなくなった。発情期でもないのに、自分でもおかしくなるくらい乱れている。先輩に呆れられてもいい。これで最後だから、お願い。俺を乱して。無茶苦茶に扱っていいから、お願い。

 先輩は早急に俺の濡れた後ろを指でほぐして、その間も唇は休むことなく俺のいろんなところを愛撫する。指がいいところにあたり、俺はもう限界だった。

「もう、もういいから、お願い、早くれて! ああっ」

 先輩がクッって、俺の中にねじ入れてきた。勢いよく際奥に到達したと同時に俺からも欲望の液が淫らに流れ出した。

「あああ! イクっ」
「うっ、良太、良太、愛してるっ」

 先輩も珍しくすぐにイッた。そのまま俺の中に愛おしいつがいの精液がどくどくと入り込んできた。

「先輩、愛してる……」

 俺の体力はそうとう限界だったらしく、そのまま意識を失った。だけど俺はとても幸せだった。
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