ローズゼラニウムの箱庭で

riiko

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第六章 本心

136、冬の休暇 2 ※

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 学園は終業式を迎えた。

 つがいが多くいる学園だ。みんな思い思いの時を過ごしたいだろうし学園としてもつがい活動を推奨しているので、終業式は簡潔に終わり、冬の休暇となった。

「良太、そろそろ行こうか」
「はい」

 私服に着替え荷物を持ってもらって、先輩と今日から過ごす為に一緒にここを出る。

 そして運転手の伊藤さんに迎えられて車で出かけた。途中、先輩行きつけの服屋……といっても大人の男が入るような、礼服とかオーダーメイドとかのお店、そこに連れられて行った。

「何、ここ……」

 伊藤さんが車を開けてくれて、先輩の手を取り通されたお店、店員さんはお洒落でかっこいい人ばかりだし、俺は場違いじゃないかな? と思いながらも先輩は笑顔でエスコートしてくれて、奥の部屋に入るとそこにひときわ品のいい大人の男が現れる。

 あっアルファだ。俺は一瞬ビクってして先輩の陰に隠れた。

「良太? あぁ大丈夫だよ、この人は俺のスーツをいつも仕立ててくれる人、今日は良太の服を一式作ろうと思って、採寸は他の人にしてもらうから安心して?」

 先輩は俺が怯えたのをちゃんとわかってくれて、俺を隠してその男と話していた。

「桐生様、上條様より承っております。挨拶だけと思っておりましたが、失礼いたしました。すぐに代わりの者をよこしますので、どうぞリラックスしてお過ごしください」

 その人は俺がビビった態度をとっても、気にすることなく優しい口調で宥めるように話してくれた。

「あの、失礼な態度をとってしまって ごめんなさい」

 俺は先輩の陰から謝った。すると、にっこりと笑って可愛らしい方ですねって先輩に言って部屋を出ていった。

「先輩、僕の服ってなんですか?」
「勝手にごめんね、今日行くところドレスコードがあるから、そのスーツとあとは礼服を一着作っとこうと思って」
「えっ、でも礼服なんて、そんなの着る機会ないですよ、それに今日手持ちも少ないし……」

 俺に金を出させるつもりはないし、プレゼントしたいからって言われた。あとつがいになった以上、卒業したらパーティにも連れて行きたいし、お披露目用に今から仕立てても問題ないって言われた。どうせ、俺、成長もう止まっているし……オーダーなんていくらするんだろう、そんな高級品は困るな。

 それにお披露目の場所に行く機会なんて、絶対にこないのに……。

「そんな顔しないで? きちんとしたものを贈りたいんだ」
「じゃあ、お言葉に甘えます」

 俺の心の不安を隠すように、笑顔でそう答えた。オーダーのサイズを測ってもらった。今日着るスーツはもうあらかじめ先輩が用意していたらしいので、試着してみたらぴったりだった。スーツを着て少し歩いて予約していたというレストランへと場所を移した。

 クリスマスのコースディナーを食べて、そして夜景をみて。食後、少しだけ一緒に町のイルミネーションを見に行った。とっても綺麗で感動した。終始俺の目はキラキラと輝いていたって言って、先輩が笑っていた。

 だって、初めて見るものばかりだったし。そして世界で一番好きな人と手を繋いで歩いている。俺は最高に幸せだった。

 先輩の家に行くのかと思っていたら、車は俺でも知っている高級ホテルに到着した。

「クリスマスだからね、ここでゆっくり過ごそうと思って」
「こんな凄いところ……しかもイブによく予約できましたね。ここクラスの人が予約できなかったって言ってた」

 しかもロイヤルスイートを取ったらしい、凄すぎる。

「仕事関係でね、贔屓にしているから。つがいができた年のクリスマスは絶対に開けておいてくれるって、昔からの約束だったんだ」

 凄いな。アルファの世界、すげ――。俺は言葉が出なくてびっくりするばかりだった。

「先輩、僕、幸せです。先輩に愛されてるって自惚れていいですか?」
「知らなかった? 学園の誰もが知ってるんだけどな」
「ふふ、僕が先輩を世界で一番好きだっていうのもみんな知ってるかな? 僕のためにありがとうございます」

 部屋に入る前に抱きしめられた。

 その全貌を見る間もなくベッドルームまで抱きかかえられてキスを繰り返しながらも、優しくベッドに降ろされた。俺も早く欲しくて必死にすがりついて、先輩のキスに応えるように舌をねじ込んだ。優しいつがいは少し驚きつつも俺の舌を迎え入れてくれて包み込んでくれた。

「あんッ、あッ、あっっ」

 胸の突起を弄られ、そして吸われ、そこばかりでずっと止まる先輩。それだけでも気持ちが良くて下腹部がずんってして自然に俺のペニスが立ち上がる。それを確認した先輩が俺のそこを触ってくれた。

「ん、んんッ、きもちいい……」
「良太、可愛い。俺が欲しくてこんなになってくれたの?」

 言われると、後ろからも密がこぼれた。その辺りを先輩がくるくると指で弄っていた。

「はんっ 早く、ください……んんっ」

 先輩の指が後ろにズプっと入ってくる、そして指が一気に増やされて思わず唸ってしまった。いつもよりも少し早急な動きにびっくりしつつも、急いで欲しがってくれている目の前の男に、より欲情をした。

「ごめんね、少し痛かった? 良太が可愛すぎて早く繋がりたくて、俺もまだまだ余裕ないな」
「ううん、びっくりしただけ。先輩が僕を欲しがってくれてるの、わかるから嬉しいです。もうほぐれたから、お願い。それ早くれてください」

「良太! 愛してるッ」
「あ、あああ……ぼ、僕もっ!」

 俺のおねだりに先輩は答えてくれた。愛の言葉を囁きながら繋がったそこは一気に満たされて、そして好きな人が自分の中にいる。そんな充足感に包まれてたまらなく幸せな気持ちになった。優しい動きから俺の中が先輩ので慣れてくると、ゆっくりと動かして、そして激しく揺さぶって、途中の気持ちいいポイントをぐいぐいと刺激したり、俺の愛おしい人の大事なモノは器用に動く。

 ずっと余裕なんてなくてひたすら気持ちいい。先輩は俺を気持ちよくしようといろんなことをしてくれる。先輩だって、我を忘れて自分が気持ちよくなる為だけに動いてくれてもいいのに……少し不安になっていたら先輩がキスを繰り返してきた。

「どうした? もっと俺に夢中になって?」
「はん、あッ、あっ あっ……き、もちいい……先輩、すき。先輩は? きもち、いい?」

「良太! 良太の中は最高だよ。俺もお前が好きだ、 たまらなく……好きだ。うっ、そんなに締め付けたらすぐイッちゃうよ?」
「イッて。僕の中にいっぱい……っ、あ ああッッ」

 俺が達したのを見たら、先輩は荒い息遣いで揺さぶり俺の中で達していた。そこから何度か繋がったと思うけれど、俺は途中で意識を失い、幸せな眠りを迎えた。
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