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番外編
【回帰したシリルの見る夢は、書籍化記念】幼い恋の物語
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先日、フランディルはシリルとの邂逅を果たした……ようだ。
大げさだが、フランディルはすでにシリルに本気だった。あの子、まだ三歳なんだけど? ディーの遺伝子を受け継いでいるだけあって、本気度が見えてしまって怖いわ!
フランディルは生まれた時から王宮で過ごしていたので、大人に囲まれた生活をしている。子どもといえば、ダイスの息子である幼馴染のリアムとしか触れ合ったことがなかった。二人はしっかりと王宮で躾けられているので、身分の違いをすでに理解していて……三歳ながら、なんとも可愛げのない関係性に見えた。
親同士はあんなふざけた関係なのに、どうして子どもたちはあんな立派に育ってしまったのだろうか? 不思議だ。二人にとってはそれが普通であり、不便はなさそうだ。他を知らないから仕方ない。
一般的な子ども同士の触れ合いをフランディルに教えるため、ゼバン公爵家とグレイテス子爵家の息子たちと合わせた。そこで、フランディルはすっかりシリルにメロメロになってしまったのだ。
リアナ様の生き写しのような容姿のシリルは、子どもながら相当可愛い。
フィオナの息子セスはアストン似だったので可愛いというより、大きくなったら男前になるだろうという容姿。内面は、がさつなアストンには似ず、フィオナに似ていてとてもしっかりしている子なので、シリルの幼さが余計に目立っていた。シリルとセスは生れた時から一緒に育っているので、とても仲睦まじい。それに嫉妬を覚えて、前回はフランディルがシリルを独り占めして大変だったが、良く出来たセスは、リアムと遊んでいたのが懐かしい。
それが三カ月前の出来事だった。
今日は初対面の日以来の二人の逢瀬のため、リアナ様がシリルを連れて登城する。
俺に刺繍やらをいまだに教えてくれるので、今日は王太子妃教育の名目で来てくれるのだった。いつもならアランだけ連れてくるのだが、今日はシリルを連れてきてくれるのだ。……フランディルに頼み込まれたので、俺がリアナ様にシリルを連れてきて欲しいと頼んだわけだが。
「母上、シリルがついに我が家に来るのですね?」
「あ、ああ。我が家というか王宮にな」
そわそわしているフランディルにせがまれて、護衛がずらっと並んでいる中、俺とフランディルも外で待っているところだった。手を繋いでいるフランディルが、目を輝かせて言うことが、なんだか執着アルファっぽくて笑った。
「このままずっと、永遠にシリルがここにいてくれないかな?」
「え? あ、それは難しいな」
「どうして? 僕と結婚したらシリルの家はここになるでしょ?」
「け、結婚!? お前まだ三歳だろ。結婚なんて言葉まだ早いだろ。それにシリルは男の子だよ」
息子の言葉に驚き、俺は思わず握っていた手に力を込めて、目線を下に向ける。すると握った手が少し痛かったのか、繋いだ手を外されてしまった。そしてフランディルが、さも当然というように言う。
「え? オメガでしょ? オメガなら男の子でも子どもが産めるからアルファと結婚できるって、授業で習いました!」
「オメガ……まだ判定は出ていないだろう。十歳にならないと検査できないから、シリルを嫁にできるとは限らないよ」
「え?」
確かにシリルはリアナ様にそっくりで女顔をしているし、いかにもオメガっぽい。でも今は幼すぎるので判断がつかないはず。成長したらゼバン公爵のように気難しいアルファにならないとも限らない。……ちょっと想像はつかないけど。
それなのにフランディルは、どうして? と首を傾げる。そしてフランディルが確信したように言う。
「彼はオメガです。僕にはわかるんだ」
「え……な、なんで?」
「だって、いい匂いするし、僕が求めているから」
匂いなどするわけない。
発情期を迎える思春期にならなければ、アルファとオメガはフェロモンを出せない。だからそんなことで判別はできないはず。それよりも、「僕が求めている」という言葉に驚く。フランディルが自分から何かを求めるなど、今まであっただろうか? 教育を受けるのが当たり前というように、いろんなことを素直に吸収していくのを見ていたが、自分からやりたいなどと言ったことはない。
当たり前の教育を王子として経験しているといったところだ。それが、今、なんて言った?
「え、えっと、なんだ? その理論……」
「オメガの母上にはきっとわからないでしょう。あっ、シリルが来た!」
目を輝かせた視線の先に、ゼバン公爵家の紋章入りの馬車が見える。
先ほど大人びた発言をしたとは思えないくらい、今度は子犬のようにはしゃぎだすフランディル。やはりまだ三歳児、ただの子供だ。そのはしゃぐ姿を見て少し安心した。
先ほどの発言は、大人アルファが言ったら怖い言葉だと思い、正直ぞくっとした。しかし、まだアルファやオメガの何もわかっちゃいない、あらかた授業で習ったからその言葉を使ってみたかっただけなのだろう。それにしても、王族の教育、早すぎない? こんな幼い子供に第二性について教育するなんて。
馬車が目の前に停車すると、フランディルがソワソワして待っている。リアナ様、そしてシリルが出てくると、フランディルは興奮して口を開く。
「シリル! 会いたかった!」
「え? うわっ、あ、フラン?」
従者に支えられ、馬車を降りるシリルをフランディルは奪い、抱きしめていた。リアナ様と俺は固まる。シリルは気にしていない様子で、抱きしめた腕を解かれると、にこっと笑った。
「ああ、そうだよ。覚えてる?」
「ふふ、覚えてるよ、たくさん遊んだじゃない」
「今日もたくさん遊ぼう」
「うん!」
二人はあわあわした従者に追いかけられながら、手を繋いで走って王宮内に入って行った。それを見るリアナ様は、笑っていた。
「ふふ、うちの子はまだ作法ができていないんですが、フランディル様は気にされていないみたいですね」
「いや、そういう問題じゃなくて」
リアナ様と並んで歩き、俺たちも王宮内に入り、歩きながら前を進む子どもたちを見て話す。
「あら、妃殿下どういう問題ですの?」
「いや、なんていうか……師匠すいません! 将来シリルを王家に貰うことになるかもしれません!」
リアナ様は王太子妃教育の教師であるので、たまに師匠と呼んでいる。俺の謝罪にリアナ様が驚く。
「え?」
「多分、うちの子、シリルをそういう意味で気に入っています」
リアナ様は生まれながらの上位貴族であるお嬢様なので、こんな話を聞いても動じない。さすがだ。あの姫君の教育係だっただけのことはある。
「あら? さすが殿下のご子息ですね。もうオメガを狙うなんて」
「え? オメガ? まだ判定はできないはずじゃ……」
「シリルはきっとオメガですわ。代々アルファが生まれる王家のご子息が気に入ってくださるなら、そのはず」
「リアナ様はお嫌じゃないんですか? あんなに可愛いシリルをすでにそんな目で見られているの……」
話している内に、王太子妃のサロンに到着した。ここはプライベート空間。だからなのか、いつも通り、少しだけ畏まった呼び方を変えてくれるリアナ様。
「シン君を愛していらっしゃる殿下を見ていたら、王家アルファに愛されるオメガは幸せなんだなって、そう思えるのよ。だから、シリルもきっとフランディル様が本気で求めてくれたら、幸せなオメガになれると思うわ。ただ、シリル溺愛の旦那様が悲しむのは目に見えていますけどね」
リアナ様は、クスクスと笑った。
「ゼバン公爵は、久しぶりにできた二人目だからかな? シリルのこと相当可愛がっているって社交界でも有名だからね。はぁ、ディーがゼバン公爵に怒られそうだ」
「ふふ、大丈夫ですよ。それにシン君がシリルの母親になる未来があるなら、シン君のこともっと私が教育を施さなくてはいけませんね? 今日も休んでいる暇がございませんよ」
「え?」
「前回の宿題はちゃんと終わらせましたか? いい加減、特殊動物ばかり刺繍にしないでくださいな。もっと殿方が貰って喜ぶような愛らしい動物にしてくださらないと。ほら、見せてください」
そう、この鬼教官リアナ様は、諦めずに何度も俺にオメガの嗜み、刺繍を教えてくれるのだが、どうも俺の刺繍が気に食わないらしい。俺は、息子たちのことはもう頭から離れ、前回登城してくれた時に出された課題を提出した。
「ついに俺も刺繍をマスターしました! 見てください!」
「あら、今回も自信満々ですのね。どれどれ」
リアナ様が笑顔で刺繍を受け取ると、顔が固まった。
「えっと、シン君。課題覚えているかしら?」
「はい! 可憐なお花ですよね! どうですか?」
「え? 覚えていたの? でもこれは……岩ではなくて?」
「薔薇です……」
「……」
今日も今日とて、俺の刺繍は謎の刺繍になっていたらしい。リアナ様がうーんうーんとうなる中、フランディルとシリルは顔を近づけて笑いあっている。そして、見つめ合う二人は、額をくっつけた。
「シリル、大好き」
「僕もフランが好きだよ」
俺とリアナ様は二人の会話を聞いてしまった。そしてなんとも清らかなのか淫らなのかわからないラブシーンを見てしまい、お互い目を合わせて時が止まる。
「……」
「……」
子ども同士なのに、なぜか二人が大人になった姿が想像できてしまう。おそるべし、アルファとオメガの本能? もちろん、刺繍の話題はそこで終わった。
ま、まだ幼い子どもだし、今はこのままでいいか。十歳になって、正式にシリルがオメガと判明したら、そしたらゼバン家にお願いにあがろう。
無邪気な子どもたちの幸せを願いつつも、オメガの母親二人は困った微笑みを浮かべるそんな日だった。
――fin――
久しぶりの更新、お読みくださりありがとうございます。
シリルが主人公『回帰したシリルの見る夢は』が書籍になりました!
来月には電子書籍にもなります。その記念に、二人の幼い頃の仲のいい姿を母親のお話でご紹介。
こんな二人が紡ぐ壮絶な愛の物語も良かったら、お楽しみくださいませ♪
riiko
大げさだが、フランディルはすでにシリルに本気だった。あの子、まだ三歳なんだけど? ディーの遺伝子を受け継いでいるだけあって、本気度が見えてしまって怖いわ!
フランディルは生まれた時から王宮で過ごしていたので、大人に囲まれた生活をしている。子どもといえば、ダイスの息子である幼馴染のリアムとしか触れ合ったことがなかった。二人はしっかりと王宮で躾けられているので、身分の違いをすでに理解していて……三歳ながら、なんとも可愛げのない関係性に見えた。
親同士はあんなふざけた関係なのに、どうして子どもたちはあんな立派に育ってしまったのだろうか? 不思議だ。二人にとってはそれが普通であり、不便はなさそうだ。他を知らないから仕方ない。
一般的な子ども同士の触れ合いをフランディルに教えるため、ゼバン公爵家とグレイテス子爵家の息子たちと合わせた。そこで、フランディルはすっかりシリルにメロメロになってしまったのだ。
リアナ様の生き写しのような容姿のシリルは、子どもながら相当可愛い。
フィオナの息子セスはアストン似だったので可愛いというより、大きくなったら男前になるだろうという容姿。内面は、がさつなアストンには似ず、フィオナに似ていてとてもしっかりしている子なので、シリルの幼さが余計に目立っていた。シリルとセスは生れた時から一緒に育っているので、とても仲睦まじい。それに嫉妬を覚えて、前回はフランディルがシリルを独り占めして大変だったが、良く出来たセスは、リアムと遊んでいたのが懐かしい。
それが三カ月前の出来事だった。
今日は初対面の日以来の二人の逢瀬のため、リアナ様がシリルを連れて登城する。
俺に刺繍やらをいまだに教えてくれるので、今日は王太子妃教育の名目で来てくれるのだった。いつもならアランだけ連れてくるのだが、今日はシリルを連れてきてくれるのだ。……フランディルに頼み込まれたので、俺がリアナ様にシリルを連れてきて欲しいと頼んだわけだが。
「母上、シリルがついに我が家に来るのですね?」
「あ、ああ。我が家というか王宮にな」
そわそわしているフランディルにせがまれて、護衛がずらっと並んでいる中、俺とフランディルも外で待っているところだった。手を繋いでいるフランディルが、目を輝かせて言うことが、なんだか執着アルファっぽくて笑った。
「このままずっと、永遠にシリルがここにいてくれないかな?」
「え? あ、それは難しいな」
「どうして? 僕と結婚したらシリルの家はここになるでしょ?」
「け、結婚!? お前まだ三歳だろ。結婚なんて言葉まだ早いだろ。それにシリルは男の子だよ」
息子の言葉に驚き、俺は思わず握っていた手に力を込めて、目線を下に向ける。すると握った手が少し痛かったのか、繋いだ手を外されてしまった。そしてフランディルが、さも当然というように言う。
「え? オメガでしょ? オメガなら男の子でも子どもが産めるからアルファと結婚できるって、授業で習いました!」
「オメガ……まだ判定は出ていないだろう。十歳にならないと検査できないから、シリルを嫁にできるとは限らないよ」
「え?」
確かにシリルはリアナ様にそっくりで女顔をしているし、いかにもオメガっぽい。でも今は幼すぎるので判断がつかないはず。成長したらゼバン公爵のように気難しいアルファにならないとも限らない。……ちょっと想像はつかないけど。
それなのにフランディルは、どうして? と首を傾げる。そしてフランディルが確信したように言う。
「彼はオメガです。僕にはわかるんだ」
「え……な、なんで?」
「だって、いい匂いするし、僕が求めているから」
匂いなどするわけない。
発情期を迎える思春期にならなければ、アルファとオメガはフェロモンを出せない。だからそんなことで判別はできないはず。それよりも、「僕が求めている」という言葉に驚く。フランディルが自分から何かを求めるなど、今まであっただろうか? 教育を受けるのが当たり前というように、いろんなことを素直に吸収していくのを見ていたが、自分からやりたいなどと言ったことはない。
当たり前の教育を王子として経験しているといったところだ。それが、今、なんて言った?
「え、えっと、なんだ? その理論……」
「オメガの母上にはきっとわからないでしょう。あっ、シリルが来た!」
目を輝かせた視線の先に、ゼバン公爵家の紋章入りの馬車が見える。
先ほど大人びた発言をしたとは思えないくらい、今度は子犬のようにはしゃぎだすフランディル。やはりまだ三歳児、ただの子供だ。そのはしゃぐ姿を見て少し安心した。
先ほどの発言は、大人アルファが言ったら怖い言葉だと思い、正直ぞくっとした。しかし、まだアルファやオメガの何もわかっちゃいない、あらかた授業で習ったからその言葉を使ってみたかっただけなのだろう。それにしても、王族の教育、早すぎない? こんな幼い子供に第二性について教育するなんて。
馬車が目の前に停車すると、フランディルがソワソワして待っている。リアナ様、そしてシリルが出てくると、フランディルは興奮して口を開く。
「シリル! 会いたかった!」
「え? うわっ、あ、フラン?」
従者に支えられ、馬車を降りるシリルをフランディルは奪い、抱きしめていた。リアナ様と俺は固まる。シリルは気にしていない様子で、抱きしめた腕を解かれると、にこっと笑った。
「ああ、そうだよ。覚えてる?」
「ふふ、覚えてるよ、たくさん遊んだじゃない」
「今日もたくさん遊ぼう」
「うん!」
二人はあわあわした従者に追いかけられながら、手を繋いで走って王宮内に入って行った。それを見るリアナ様は、笑っていた。
「ふふ、うちの子はまだ作法ができていないんですが、フランディル様は気にされていないみたいですね」
「いや、そういう問題じゃなくて」
リアナ様と並んで歩き、俺たちも王宮内に入り、歩きながら前を進む子どもたちを見て話す。
「あら、妃殿下どういう問題ですの?」
「いや、なんていうか……師匠すいません! 将来シリルを王家に貰うことになるかもしれません!」
リアナ様は王太子妃教育の教師であるので、たまに師匠と呼んでいる。俺の謝罪にリアナ様が驚く。
「え?」
「多分、うちの子、シリルをそういう意味で気に入っています」
リアナ様は生まれながらの上位貴族であるお嬢様なので、こんな話を聞いても動じない。さすがだ。あの姫君の教育係だっただけのことはある。
「あら? さすが殿下のご子息ですね。もうオメガを狙うなんて」
「え? オメガ? まだ判定はできないはずじゃ……」
「シリルはきっとオメガですわ。代々アルファが生まれる王家のご子息が気に入ってくださるなら、そのはず」
「リアナ様はお嫌じゃないんですか? あんなに可愛いシリルをすでにそんな目で見られているの……」
話している内に、王太子妃のサロンに到着した。ここはプライベート空間。だからなのか、いつも通り、少しだけ畏まった呼び方を変えてくれるリアナ様。
「シン君を愛していらっしゃる殿下を見ていたら、王家アルファに愛されるオメガは幸せなんだなって、そう思えるのよ。だから、シリルもきっとフランディル様が本気で求めてくれたら、幸せなオメガになれると思うわ。ただ、シリル溺愛の旦那様が悲しむのは目に見えていますけどね」
リアナ様は、クスクスと笑った。
「ゼバン公爵は、久しぶりにできた二人目だからかな? シリルのこと相当可愛がっているって社交界でも有名だからね。はぁ、ディーがゼバン公爵に怒られそうだ」
「ふふ、大丈夫ですよ。それにシン君がシリルの母親になる未来があるなら、シン君のこともっと私が教育を施さなくてはいけませんね? 今日も休んでいる暇がございませんよ」
「え?」
「前回の宿題はちゃんと終わらせましたか? いい加減、特殊動物ばかり刺繍にしないでくださいな。もっと殿方が貰って喜ぶような愛らしい動物にしてくださらないと。ほら、見せてください」
そう、この鬼教官リアナ様は、諦めずに何度も俺にオメガの嗜み、刺繍を教えてくれるのだが、どうも俺の刺繍が気に食わないらしい。俺は、息子たちのことはもう頭から離れ、前回登城してくれた時に出された課題を提出した。
「ついに俺も刺繍をマスターしました! 見てください!」
「あら、今回も自信満々ですのね。どれどれ」
リアナ様が笑顔で刺繍を受け取ると、顔が固まった。
「えっと、シン君。課題覚えているかしら?」
「はい! 可憐なお花ですよね! どうですか?」
「え? 覚えていたの? でもこれは……岩ではなくて?」
「薔薇です……」
「……」
今日も今日とて、俺の刺繍は謎の刺繍になっていたらしい。リアナ様がうーんうーんとうなる中、フランディルとシリルは顔を近づけて笑いあっている。そして、見つめ合う二人は、額をくっつけた。
「シリル、大好き」
「僕もフランが好きだよ」
俺とリアナ様は二人の会話を聞いてしまった。そしてなんとも清らかなのか淫らなのかわからないラブシーンを見てしまい、お互い目を合わせて時が止まる。
「……」
「……」
子ども同士なのに、なぜか二人が大人になった姿が想像できてしまう。おそるべし、アルファとオメガの本能? もちろん、刺繍の話題はそこで終わった。
ま、まだ幼い子どもだし、今はこのままでいいか。十歳になって、正式にシリルがオメガと判明したら、そしたらゼバン家にお願いにあがろう。
無邪気な子どもたちの幸せを願いつつも、オメガの母親二人は困った微笑みを浮かべるそんな日だった。
――fin――
久しぶりの更新、お読みくださりありがとうございます。
シリルが主人公『回帰したシリルの見る夢は』が書籍になりました!
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riiko
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