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第四章 婚約者
57、ゼバン公爵
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ディーは、俺には婚約者がこの国に入ってきたことは言わない。彼女が来てからディーが忙しくなり、学園で会える日が減ってしまった。明らかにそれが原因だろう。この分だと後宮も早めに閉鎖されるかもしれないと、後宮の侍女たちが言っていた。
恋を楽しむには、遅すぎたらしい。
俺の心はとても初恋を楽しむような気持じゃなくなっていた。ディーに恋をしていると気づいた頃には、すでにディーの周りは動き始めてしまった。
そんなある日、俺とフィオナは王都にある広場に来ていた。お互いに少しずつ後宮での仕事の日が減ったので、気分転換に外に行こうとピクニックをしていた。
「天気が良くてよかった! シン君、ランチは後宮のシェフが作ってくれたんだ。美味しそうだよ」
「ほんとだ、旨そう! 後宮に行った日は食事も楽しみのひとつなんだよな。最近は行く回数も減ったからちょっと残念だったんだけど、まさかお休みの日にも食えるとは」
俺とフィオナはシートを敷いて、サンドイッチとお茶を用意していた。
「ねぇねぇ、こうきゅーってなに? 美味しいところ?」
「「えっ」」
なんと、シートの上には子供が礼儀正しくちょこんと座って、目を輝かせている。
俺とフィオナは、この状況に一瞬で固まった。いったいどこからこの子は来たのだろうか。驚きすぎて何も答えられずにいると、子供が話を続ける。
「おいしそうなサンドイッチだね、お兄ちゃんたちもピクニック? 僕もお母さまとピクニックしてるの」
「えっと、そのお母様はどこにいるの? もしかしてはぐれた?」
フィオナが優しく男の子に聞いた。身なりはとても良さそうだから、貴族の息子だろう。
「ううん、お母さまはね。あっちにいるの。お父さまが邪魔しにきてね、それでイチャイチャして、つまらないから僕はひとりで冒険にきたんだぁ」
「そ、そうなんだ。偉いね、ひとりで冒険できるなんて凄いね」
「うん! 僕は将来有望なんだって、だからなんでもひとりで、できるの!」
「ふふ、凄い凄い」
フィオナが男の子の頭を撫でた。
あっちにいる両親……たしかにあっちに男女が見えるから、この子の親なのだろう。だったら安心か? でもこんな子供をひとりで野放しにして大丈夫なのか? 今日の広場はなぜか貸し切り状態で人がいないから、安心なのかもしれないが。ってか人がいない。俺とフィオナ、そして向こうにこの子の両親がいるだけだった。今日この辺は立ち入り禁止とかだったか? そんな立札はみなかったし、不思議だった。
「お前、親心配してないか? ちゃんとひとりで冒険するって言ったのか?」
「言ったよぉ。遠くに行かないでねって言われた。ここなら見えるでしょ? お兄ちゃん、凄くいい匂いするぅ。僕のお嫁さんにしてあげようか?」
「はは、お前いくつだよ」
「僕は四歳です、アランと言います! お兄ちゃん達のお名前は? 僕のお父さまは偉い人だから、二人とも僕のお嫁さんにしてあげます!」
俺とフィオナは顔を合わせて笑った。
「ありがとな、気持ちだけもらっとくわ。俺はシンで、こっちはフィオナだ」
「シン、フィオ……むむ」
フィオナと発音するのが難しかったらしく、子供はむむむむっと困った顔をしていた。ちょっとおかしくて笑ってしまったら、フィオナが優しく子供に向き合っていた。
「フィーで良いよ、アラン君」
「フィー、好きぃ」
アランはフィオナに抱きついた。どちらかというとフィオナの方がタイプらしいぞ。
「お前はもう昼は食ったか? サンド食うか? あっ、でも知らない人から食べ物をもらうのは怒られちゃうか」
「食べる! こうきゅのサンドイッチ食べるぅ!」
後宮のサンドイッチって、間違っていないけど、これかなり秘密な案件なのに、子供に聞かれるとは困ったが、分かっていないからいいか。
「よし、アラン。一緒に食おうか? その前にお前の親に許可とってからな」
「あい!」
そんな話をしていたら、アランの母親がこっちに気づいたらしく、慌てて駆け寄って来た。
「アラン!」
「お母さま、僕のお嫁さん候補を紹介します」
「ええ!? あの、この子がすいません」
母親は謝ってきた。その親に飛びついたアランは楽しそうにして、すでに嫁として俺とフィオナを紹介していた。
「いえいえ、僕たちは二人でピクニックをしていたところ、アラン君の冒険中に遭遇したらしくて、楽しい時間をいただきました」
「まぁ、そうだったんですね。息子と遊んでくださりありがとうございます」
そこにアランの父親も来た。
「お父さま、僕はシンとフィーをお嫁さんにしたいと思います!」
「ええ? なんだって?」
焦った顔した男はこの間、この広場で見た男じゃないか? よく見たら女性もあの時のひとりだった。ということは、この人たちはレイが話していた王太子妃教育係の女性と、その夫?
「息子が迷惑をかけたみたいで申し訳ない。私はゼバン公爵家のラミスだ。こちらは妻のリアナと息子のアランだ」
「公爵様……ですか?」
フィオナが驚いた声を出した。
そりゃ驚くだろう、普通こんなところに公爵が護衛もつけずにいないだろう。そしてやはり、そうだ! この男は隣国で番を作って国に帰ってこなかった公爵家嫡男ではないか!
「そんな驚かないでくれ。まだ爵位を継いだばかりでそんな大層なことはしていないんだ。しばらく妻の国で暮らしていてね、こちらには戻ってきたばかりなんだ。君たちは?」
公爵様と会話をできるような身分ではないが、俺とフィオナは名乗った。するとアランが父親に無邪気に問いかける。
「お父さま、こうきゅのサンドイッチを一緒に食べていいですか?」
「こうきゅのサンド?」
俺とフィオナは顔を合わせた。フィオナがすかさず公爵に話した。
「あ、あの、職場で作っていただいた子牛とキュウリのサンドイッチですが、良かったらご一緒にどうかとアラン様に話していたのです。まさかアラン様が公爵家のご子息とは知らずに、失礼なご提案をして申し訳ありませんでした」
「ああ、そういうことか。立派な料理人を雇っていられる職場ですね、こんな高級食材を使うとは、それにとても美味しそうだ。いただいてもいいかな?」
フィオナ、ナイス!
今日の具は子牛とキュウリかよ! 後宮の料理人もナイス! たしかに見た目華やかで明らかにいいところのお食事に見える。しかし赤の他人の料理を、高位爵位のアルファが食べると? 嫁と息子にそれを食わすというのか? 俺とフィオナが戸惑っていると、公爵が話を続けた。
「ああ、ごめんごめん。君たちは王宮関係者なのだろう。先ほどから王太子の騎士がこの辺の警護をしているから、高貴な方がお忍びで来ているのかと思っていたんだ。そしたら、君たちしかここには居ないから」
「え、ええ!」
まさかのアレか? 俺に影を付けていたとかいう、アレか!? そんなことを公爵レベルの人にばれていいのか?
「王太子殿下が警護を付けるということは……まぁ、事情は想像がつかなくもないけれど、私は君たちのことを知らないし、詮索するつもりもないよ。ただ、このサンドイッチは安全なものだろうというのは確実に分かったから」
「そ、そうですか。良かったらこちらにお入りください」
そしてなぜかゼバン公爵一家とお食事をすることになった。
アランは楽しそうに母親の膝に乗っている。とても仲の良い親子のようだった。ゼバン公爵とリアナ様は楽しそうにピクニックに参加してくれた。初めて会ったばかりというのに、随分と気さくな方たちだった。聞けばこの国に来たばかりで、とても忙しく、今日はやっと外を楽しむことができてご機嫌な日だったらしい。
「ああ、イケない。私は仕事を抜け出して、妻と息子に会いに来てしまったんだが、もう戻らなくては。良かったらこのまま二人と食事を続けてもらってもいいかな?」
「ええ、かまいません」
「では、先に失礼するよ」
そして公爵はリアナ様とアランにキスをして足早と去っていった。
恋を楽しむには、遅すぎたらしい。
俺の心はとても初恋を楽しむような気持じゃなくなっていた。ディーに恋をしていると気づいた頃には、すでにディーの周りは動き始めてしまった。
そんなある日、俺とフィオナは王都にある広場に来ていた。お互いに少しずつ後宮での仕事の日が減ったので、気分転換に外に行こうとピクニックをしていた。
「天気が良くてよかった! シン君、ランチは後宮のシェフが作ってくれたんだ。美味しそうだよ」
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俺とフィオナはシートを敷いて、サンドイッチとお茶を用意していた。
「ねぇねぇ、こうきゅーってなに? 美味しいところ?」
「「えっ」」
なんと、シートの上には子供が礼儀正しくちょこんと座って、目を輝かせている。
俺とフィオナは、この状況に一瞬で固まった。いったいどこからこの子は来たのだろうか。驚きすぎて何も答えられずにいると、子供が話を続ける。
「おいしそうなサンドイッチだね、お兄ちゃんたちもピクニック? 僕もお母さまとピクニックしてるの」
「えっと、そのお母様はどこにいるの? もしかしてはぐれた?」
フィオナが優しく男の子に聞いた。身なりはとても良さそうだから、貴族の息子だろう。
「ううん、お母さまはね。あっちにいるの。お父さまが邪魔しにきてね、それでイチャイチャして、つまらないから僕はひとりで冒険にきたんだぁ」
「そ、そうなんだ。偉いね、ひとりで冒険できるなんて凄いね」
「うん! 僕は将来有望なんだって、だからなんでもひとりで、できるの!」
「ふふ、凄い凄い」
フィオナが男の子の頭を撫でた。
あっちにいる両親……たしかにあっちに男女が見えるから、この子の親なのだろう。だったら安心か? でもこんな子供をひとりで野放しにして大丈夫なのか? 今日の広場はなぜか貸し切り状態で人がいないから、安心なのかもしれないが。ってか人がいない。俺とフィオナ、そして向こうにこの子の両親がいるだけだった。今日この辺は立ち入り禁止とかだったか? そんな立札はみなかったし、不思議だった。
「お前、親心配してないか? ちゃんとひとりで冒険するって言ったのか?」
「言ったよぉ。遠くに行かないでねって言われた。ここなら見えるでしょ? お兄ちゃん、凄くいい匂いするぅ。僕のお嫁さんにしてあげようか?」
「はは、お前いくつだよ」
「僕は四歳です、アランと言います! お兄ちゃん達のお名前は? 僕のお父さまは偉い人だから、二人とも僕のお嫁さんにしてあげます!」
俺とフィオナは顔を合わせて笑った。
「ありがとな、気持ちだけもらっとくわ。俺はシンで、こっちはフィオナだ」
「シン、フィオ……むむ」
フィオナと発音するのが難しかったらしく、子供はむむむむっと困った顔をしていた。ちょっとおかしくて笑ってしまったら、フィオナが優しく子供に向き合っていた。
「フィーで良いよ、アラン君」
「フィー、好きぃ」
アランはフィオナに抱きついた。どちらかというとフィオナの方がタイプらしいぞ。
「お前はもう昼は食ったか? サンド食うか? あっ、でも知らない人から食べ物をもらうのは怒られちゃうか」
「食べる! こうきゅのサンドイッチ食べるぅ!」
後宮のサンドイッチって、間違っていないけど、これかなり秘密な案件なのに、子供に聞かれるとは困ったが、分かっていないからいいか。
「よし、アラン。一緒に食おうか? その前にお前の親に許可とってからな」
「あい!」
そんな話をしていたら、アランの母親がこっちに気づいたらしく、慌てて駆け寄って来た。
「アラン!」
「お母さま、僕のお嫁さん候補を紹介します」
「ええ!? あの、この子がすいません」
母親は謝ってきた。その親に飛びついたアランは楽しそうにして、すでに嫁として俺とフィオナを紹介していた。
「いえいえ、僕たちは二人でピクニックをしていたところ、アラン君の冒険中に遭遇したらしくて、楽しい時間をいただきました」
「まぁ、そうだったんですね。息子と遊んでくださりありがとうございます」
そこにアランの父親も来た。
「お父さま、僕はシンとフィーをお嫁さんにしたいと思います!」
「ええ? なんだって?」
焦った顔した男はこの間、この広場で見た男じゃないか? よく見たら女性もあの時のひとりだった。ということは、この人たちはレイが話していた王太子妃教育係の女性と、その夫?
「息子が迷惑をかけたみたいで申し訳ない。私はゼバン公爵家のラミスだ。こちらは妻のリアナと息子のアランだ」
「公爵様……ですか?」
フィオナが驚いた声を出した。
そりゃ驚くだろう、普通こんなところに公爵が護衛もつけずにいないだろう。そしてやはり、そうだ! この男は隣国で番を作って国に帰ってこなかった公爵家嫡男ではないか!
「そんな驚かないでくれ。まだ爵位を継いだばかりでそんな大層なことはしていないんだ。しばらく妻の国で暮らしていてね、こちらには戻ってきたばかりなんだ。君たちは?」
公爵様と会話をできるような身分ではないが、俺とフィオナは名乗った。するとアランが父親に無邪気に問いかける。
「お父さま、こうきゅのサンドイッチを一緒に食べていいですか?」
「こうきゅのサンド?」
俺とフィオナは顔を合わせた。フィオナがすかさず公爵に話した。
「あ、あの、職場で作っていただいた子牛とキュウリのサンドイッチですが、良かったらご一緒にどうかとアラン様に話していたのです。まさかアラン様が公爵家のご子息とは知らずに、失礼なご提案をして申し訳ありませんでした」
「ああ、そういうことか。立派な料理人を雇っていられる職場ですね、こんな高級食材を使うとは、それにとても美味しそうだ。いただいてもいいかな?」
フィオナ、ナイス!
今日の具は子牛とキュウリかよ! 後宮の料理人もナイス! たしかに見た目華やかで明らかにいいところのお食事に見える。しかし赤の他人の料理を、高位爵位のアルファが食べると? 嫁と息子にそれを食わすというのか? 俺とフィオナが戸惑っていると、公爵が話を続けた。
「ああ、ごめんごめん。君たちは王宮関係者なのだろう。先ほどから王太子の騎士がこの辺の警護をしているから、高貴な方がお忍びで来ているのかと思っていたんだ。そしたら、君たちしかここには居ないから」
「え、ええ!」
まさかのアレか? 俺に影を付けていたとかいう、アレか!? そんなことを公爵レベルの人にばれていいのか?
「王太子殿下が警護を付けるということは……まぁ、事情は想像がつかなくもないけれど、私は君たちのことを知らないし、詮索するつもりもないよ。ただ、このサンドイッチは安全なものだろうというのは確実に分かったから」
「そ、そうですか。良かったらこちらにお入りください」
そしてなぜかゼバン公爵一家とお食事をすることになった。
アランは楽しそうに母親の膝に乗っている。とても仲の良い親子のようだった。ゼバン公爵とリアナ様は楽しそうにピクニックに参加してくれた。初めて会ったばかりというのに、随分と気さくな方たちだった。聞けばこの国に来たばかりで、とても忙しく、今日はやっと外を楽しむことができてご機嫌な日だったらしい。
「ああ、イケない。私は仕事を抜け出して、妻と息子に会いに来てしまったんだが、もう戻らなくては。良かったらこのまま二人と食事を続けてもらってもいいかな?」
「ええ、かまいません」
「では、先に失礼するよ」
そして公爵はリアナ様とアランにキスをして足早と去っていった。
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