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番外編
2、番になったその後1
しおりを挟む「なあ、今更こんなん着けなきゃだめ?」
「お願い……正樹のうなじをあの男に見せたくない。これでも俺、精一杯に譲歩したと思わない?」
「まあ、そうだけど……」
俺たちは番になったから、もちろん司につけられていた首輪は外していた。久しぶりに首がすっきりして気持ちよかったのにまた今、西条マークの首輪をはめられた。
それには理由があるのだけど。
司はもう櫻井には会わせたくないって言うが、俺としてはあんなことをしでかしたからにはきちんと会って謝罪したいと思う。仮にも俺達は友達だったんだし。
司は一緒に行くと言い張ったけど、そんなカオスな現場はもうゴメンだ。そういうやり取りをした結果、この首輪をはめられた。実はこの首輪にはGPSなるものが付けられていたらしい。
そのお陰で俺が櫻井とこもったホテルを追跡し、そのホテルの支配人に監視カメラ画像を見せてもらうというとんでもないことをしでかして、司の護衛と一緒に乗り込み俺を救出に向かったとのことを後で聞いた。
お前はデカか!?
驚きの行動力の前に、勝手にGPSを仕込んでいたということに怒ることを忘れてしまった。
「俺はもうお前からしたら信用ないかもしれないけど、でも俺が、す、す、好きなのは司っだけで、お前が心配するようなことは何もないからな!」
「正樹! 俺も正樹を愛してる! でもそれとこれは別で、正樹は信用にあたいする男だけど、アルファは狡猾なんだよぉ。ただ俺はチョロ……じゃなかった、素直な正樹が心配なだけで」
ん? 今チョロいって言おうとしなかったか?
「とにかく! これさえ着けてくれれば、俺は安心だから。俺から離れるときは必ずこれを装着して、ほしいな?」
「お、おう。そこまで言うなら仕方ねぇな」
なんだよぉアルファのくせに可愛いじゃねぇか! そんな首を傾けた顔で見られたら、俺っち、鼻血でちゃうよ? 両思いになって、番になって、最近の俺はブレーキをかけることをしなくなったから、もう司がたまらなく好きなんだよな。
ああ、好きになったら負けだって、母さんと見たドラマの奴が言っていた。まさに俺は負けた、司のおねだりなんて可愛くてだめだなんて言えない。もういい、好きになったほうが負け、男真山正樹は潔く負けを認めてやるさ!
俺は西条司が好きだぁぁ――――――――。
「正樹? また夢の世界にでも行った?」
「へ? ああ、ごめん。ちょっと母さんと見たドラマを思い出していた」
「百合ちゃん、好きだよね。俺たちがちょっとでも見つめあうと、百合ちゃん喜んじゃうもんね。正樹はもう少し家族サービスの為に、恥ずかしがらないで普段から俺とイチャイチャした方がいいんじゃない?」
「二人だけの時はしているだろ。俺は日本男児、俺に外国人並みのスキルを求めるな、そして母さんの策略にはまるな」
司がそう言いながら、二人きりなのをいいことに俺の足をさわさわと触ってきてくる。
な、な、なんて破廉恥なお触りをしてくるんだ、こいつは! ここ俺の部屋、父さんから司の我が家への出入りの許可は出たが、そういう行為はこの家では禁止だと司は固く言われていた。
だから俺は触られて、お休み中の息子を起こすわけにはいかない。
「つ、司っ、止めろ。俺に父さんを裏切らせるな」
「何のこと? 俺はただ愛しい恋人と未来についての話をしているだけだろ、全く正樹は堪え性がないんだから。俺に和樹さんを裏切らせないで? 週末のお泊りまで正樹にエッチなことできないんだから、そうやってすぐ誘わないでよ」
「ちょちょちょちょ――っと待てぃ! お前何言ってんの? お前が変な風に触るからぞわぞわするんだろ!? 俺のせいにするな!」
「ふ――ん、正樹はこんな触り方だけでぞわぞわ? しちゃうんだ。ますます他の男に合わせられないな」
という具合に堂々巡りの結果、首輪で妥協したのだった。
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